ガイドコメント
元SUPER BUTTER DOGの永積タカシによるソロ・プロジェクトの3rdアルバム。ゲストにクラムボンの原田郁子や元ロッキングタイムの今野英明が参加。書き下ろしとカヴァー曲をバランス良く織りまぜるなど、充実した内容。
収録曲
01ティップ ティップ
本人が「子供向き」という通り、覚えやすいメロディに乗せた「Tip Tip LaLa-Pu Lui Lua」のリフレインは、子供番組で歌われても違和感がなさそう。しかし 、実はクラブでのいわゆる“お持ち帰り”を歌っている。
02督促嬢
督促状を「かわいこちゃん」に擬人化したユニークな曲。深刻な状況を歌っているはずなのに、そんな状況をちゃかすかのような歌詞とほのぼのとしたメロディが印象的。永積タカシのユーモア・センスが存分に発揮されている。
03かえる
ヴォーカル、ギターはもちろんのこと、ピアノ、そしてジュース・ハープまでこなす永積タカシの多才さと振幅の大きさが実感できる曲。子守唄やわらべ歌を彷彿とさせるような、どことなく懐かしいメロディが印象的。
04僕は君じゃないから
とかく周りの意見や流行に迎合してしまいがちな現代人たちへ送るメッセージ・ソング。「僕は君じゃないから」こそ「君のいいこと知っている」し、「君を好きになれる」。この曲で救われる人がきっといるはず。
05男の子と女の子
2002年に発表されたくるりのアルバム『THE WORLD IS MINE』収録の、くるりファンの中でも人気の高い名曲をカヴァー。岸田繁による歌詞とメロディに独自の解釈を交え、ハナレグミ節にしてしまうあたりは流石。
06ねむるのまち〜tidur tidur〜
永積タカシの囁くような優しいヴォーカルと、温かみのあるギタレレの音色が心地良いスロー・ナンバー。まるで宮沢賢治の童話を読んでいる時のように、どこか不思議で懐かしい雰囲気に包まれる。タイトルの通り、眠る前にはピッタリの曲。
07ハナレイ ハマベイ
ハワイのカウアイ島にあるハナレイ・ビーチをイメージしたというインストゥルメンタル曲。ギターやマンドリンの音色と永積タカシのスキャット、コーラスが溶け合い、聴く者をハナレイの白い浜辺へと誘う。
08踊る人たち
98年に発表されたスーパー・バター・ドッグのアルバム『333号室』からのセルフ・カヴァー曲。クラブで「踊る人たち」をフロアの片隅から見つめては物思いに耽る……。そんな永積タカシの詩人としての魅力が発揮されている。
09ボク・モード キミ・モード
99年に発表されたSUPER BUTTER DOGのアルバム『ハロー! フィード☆バック』からのセルフ・カヴァー。アレンジにシャッフル・ビートを採り入れたことで、オリジナル曲以上の躍動感を生み出すことに成功している。
10はなれ びいと
アフリカの民族楽器カリンバの透明感のある不思議な音色と、ワウ・ギターの泣き声が見事に絡み合うインストゥルメンタル曲。独特の歌声と歌詞をあえて封印することで、サウンド・メイカーとしての永積タカシを再認識できる。
11明日へゆけ
ハナレグミをはじめて聴くならこの曲から。少しだけハスキーな独特の歌声と繊細なタッチで奏でられるアコースティック・ギターの優しい音色、彼にしか生み出せない歌詞、メロディ、世界観。全ての魅力が凝縮された1曲。
12ありふれた言葉
2005年に活動を停止したロック・ステディ・バンド、Rocking Timeのカヴァー曲。声、歌詞、メロディ……曲全体から温かさが伝わってくる。作詞・作曲を手掛けた今野英明がウクレレで参加。
13Happy Birthday To You
「友達の誕生日にみんなで受話器に向かって歌った歌を面白いからそのまま録った」という正真正銘のバースデイ・ソング。音楽は理屈や理論ではなく、音を楽しみ、そして音で人を楽しませるものだと実感できるハッピーな曲。