ミニ・レビュー
2004年にデビュー20周年を迎えた吉川晃司。本作は96年から2005年までのシングル曲を中心に構成されたベスト・アルバムなのだが、この時期の吉川はほぼすべての作詞・作曲・編曲を手がけている。ギター・リフとメロディで勝負! という心意気が偉い。
ガイドコメント
ファン垂涎のオリジナル音源によるベスト・アルバム3レーベル合同企画シリーズの徳間ジャパン編。その一番最近の軌跡を追った96〜2005年にかけてのベスト・セレクションで構成されている。
収録曲
01アクセル
軽快なエレクトロ・ロック・ナンバー。シンセ・ベースのスクエアな8ビートとメロディアスなサイド・ギターが醸し出す心地良いグルーヴが魅力。Aメロからサビまでのスムーズな流れなど、センスの良い曲構成も光る。
02SPEED
96年9月にリリースされた通算22枚目のシングル曲。タイトル通り、スピード感あふれるキャッチーなロック・ナンバーで、バンドらしいタイトなアンサンブルとハーモニーの美しいツイン・ギターなどが特徴的。
03エロス
ポリドール移籍後初となるシングル。Bメロからサビへの滑らかな展開とツボを抑えたキャッチーなメロディが魅力の軽快な8ビート・ロック。テレ朝『ビートたけしのTVタックル』ほか、数々のタイアップ曲となった。
04RUNAWAY
軽快なロック・ナンバー。スピード感を演出するなにげない打ち込みトラックやきわめてポップでキャッチーなサビ、吉川晃司の世界観を踏襲した松井五郎の歌詞など、聴きどころが満載。ポリドール移籍第2弾シングル。
05Glow In The Dark
疾走する16ビートが魅力のロック・ナンバー。聴き手の気を引くイントロやヒネリの利いたリズム、ハモリの美しいギター・ソロなど、聴きどころ満載。リリース当時、ヒゲを生やしたジャケット写真が話題になった。
06ナイフ
29枚目のシングル曲。きわめてキャッチーで軽快なロック・ナンバー。シンプルなバンド・アンサンブルや往年のデヴィッド・ボウイのようなハリのあるヴォーカルなど、吉川晃司が若返ったかのような印象を与える。
07パンドーラ
初TVドラマ主演の合間を縫って制作されたロック・ナンバー。エロティックな言葉の裏にあるエネルギッシュな精神性と媚びない程度にキャッチーなメロディが魅力。ソロ名義では、本曲で通算30作目となった節目のシングル。
08恋のジェリーフィッシュ
“吉川節”が炸裂した軽快なポップ・ロック。クラゲをモチーフにしたユニークなラブ・ソング。洋楽のような雰囲気のイントロやCHIROLYN(b)ほか、一流ミュージシャンによるタイトなアンサンブルが聴きどころ。
09狂った太陽
デビュー20周年を記念して発表されたこの曲は、吉川史上初となるミディアム・テンポのシングル曲として野に放たれた。ボブ・ディランの歌詞を吉川なりに解釈した歌詞に、彼の物ごとを斜めに見るスタンスが投影されている。
10愛にそのまま
オーソドックスなミディアム・ラブ・バラード。全編、低めのトーンで歌うヴォーカルが普段とは異なるセクシーな雰囲気を醸し出し、また松井五郎が手掛ける歌詞も吉川晃司特有のトゲトゲしさがなく、新鮮に聴こえる。
11FLASHBACK
吉川晃司がラップ風ヴォーカルも披露するゴシック・テイストのロック・ナンバー。ワルツ調の穏やかなサウンドから一変する間奏は、遠い過去の断片がフラッシュバックしたかのよう。13thアルバム『HOT ROD』収録曲。
12Ever Blue
4ビート基調の穏やかなポップ・ナンバー。肩ひじを張らずに伸びやかに歌い上げる吉川晃司のヴォーカルが魅力。2002年1月リリースのCDと本をセットにした企画作品『ウィンター・グリーティング』の収録曲。
13もしも僕が君ならば
アコギの温もりに満ちたサウンドが印象的なライト・バラード。ファルセットを交えたサビ・メロディが実に美しく、満天の星の下で恋人が寄り添う光景が目に浮かぶよう。CDブック『ウィンター・グリーティング』収録曲。
14TOKYO CIRCUS
徳間ジャパン移籍第1弾アルバム『PANDORA』の冒頭を飾るアグレッシヴなロック・チューン。エネルギッシュなヴォーカルとノリノリなギターによるパワーみなぎるサウンドがCOMPLEX時代を彷彿とさせる。
15Fame&Money
若き日のハングリー精神を今一度取り戻そうと高らかに歌うロック・ナンバー。吉川晃司らしいキャッチーでポップなメロディとアグレッシヴでリアルな歌詞が魅力。14枚目のアルバム『PANDORA』収録曲。
16The Gundogs
14thアルバム『PANDORA』収録の軽快なロックンロール・ナンバー。Aメロからサビまで全編キャッチーなメロディとモチベーションの高い歌詞が魅力。元BOφWYの松井常松(b)と高橋まこと(ds)が参加している。
17KATANA FISH
アルバム『Jellyfish&Chips』に収録されていた「Milky Way」の歌詞を変えてリテイクした曲。ソリッドな8ビートと音圧のあるギター&ベースが特徴的。原曲と聴き比べるのも面白いだろう。
18真夜中のストレンジャー (ライヴヴァージョン)
デビュー・シングル「モニカ」にカップリング収録されていた曲のライヴ・ヴァージョン。2005年2月の武道館公演での演奏で、バッキングはギター1本のみ。吉川晃司が表現者としていかに成長したかがよくわかる名演だ。