ミニ・レビュー
「3月9日」「アカシア」「モラトリアム」「南風」というシングル曲を含むセカンド・アルバム。メンバー三人によるシンプルなサウンドにこだわってきた彼らが、自らの音楽性を広げるべく、ストリングス〜打ち込み〜鍵盤といった要素をどん欲に取り入れた意欲作。
ガイドコメント
『朝顔』に続く、レミオロメンの2ndアルバム。「モラトリアム」「南風」といったシングルのほか、新世代ロック・サウンドを強く印象づける、フレッシュな楽曲が満載された充実盤。
収録曲
01春夏秋冬
ストリングスの美しい音色で幕を開け、彼ららしいギター、軽快なドラムス&ベースが重なっていく。印象的だけれど嫌味じゃないヴォーカルも爽やか。サザン級のキャッチーさ&海っぽさを持ったポップなラブ・ソング。
02モラトリアム
スマッシュ・ヒットを記録した疾走感あふれるアッパー・ロック・チューン。ヴォーカル藤巻の広い青空を連想させる、伸びやかで憂いのある声が素直に気持ちいい。
03春景色
ざらついた変態ギターと変則的で畳み掛けるようなリズムを刻むドラムが、ハードでアグレッシヴ。しかしサビでは一気にレミオロメンらしいキャッチーさを獲得する、快感度の高いロック・ナンバー。
04アカシア
ミスチルでおなじみ・小林武史プロデュースの3rdシングル。“どんなことだって起こるさ 好きに生きるよ”というメッセージがリスナーを前向きにしつつ、彼ら自身の決意表明ともとれる痛快なロック・ナンバー。
05永遠と一瞬
ピアノの悲しげな音色が切ない、ミッド・テンポの青春ソング。メロディックなベースがギター以上に感情を表現して心に響いてくる。希望を見つめ前に進んでいこうとする思いを甘酸っぱく歌い上げている。
06深呼吸
キラキラ系のギターが優しい、ミディアム・チューン。ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」をも彷彿とさせる、牧歌的な開放感あふれるサイケデリック・ワールドが美しい。
07ドッグイヤー
懐かしいような哀愁漂う歌謡曲的なメロディとギターのフレーズが印象的。平坦なヴォーカルが、サビのリズミカルなドラミングにあわせるようにテンポを上げていく時の、ユーモラスな感覚が心地良いナンバー。
08五月雨
スペイシーな4つ打ちビートに、伸びやかでメロディックなヴォーカル・ラインが乗ったポップなナンバー。スピッツを彷彿とさせる切なくポップなメロディが、青春の疾走感たっぷりだ。
09コスモス
何かが始まるような期待感、胸の高鳴りを感じさせる穏やかな空気あふれるポップ・チューン。短編小説のごときストーリー性のある歌詞が、その景色を眼前に示してくれるようなリアリティと臨場感のある作品。
103月9日
“3月9日”に結婚をする友人のために作られたという美しいスロー・バラード。また、2005年3月9日に行なわれた初の武道館ライヴのラストでも演奏された、レミオロメンにとって何かとメモリアルな曲。
11南風
“君をもっと愛をもっと欲しいのさ”という照れるくらいストレートな歌詞にハートを射抜かれる、幸福感にあふれた作品。曲に躍動感を与える裏打ちのビートや抜けのいい声がライヴの臨場感を出している。
12海のバラッド
ピアノ&ヴォーカルで静かに始まり、リズム隊が景色を広げるように音を重ねる。途端に温かさが体中に伝わっていくような包容力たっぷりに仕上がった、珠玉のバラード・ナンバー。