ミニ・レビュー
R.ケリー、リル・ジョンらとの共演、スタイリスティックスやアイズレーズの耳を奪うサンプル……話題やサウンドはいろいろ。が、その多彩さに紛れることなく、キュートさ滲む声での歌唱・表現は思いを強く伝える。アトランタ出身23歳女性R&B歌手、3年ぶりの2作目。
ガイドコメント
グラミー賞にもノミネートされた「ドント・メス・ウィズ・マイ・メン」などのヒットを持つ、女性R&Bシンガー、ニヴェアの2ndアルバム。本作にはリル・ジョンほか、多数の豪華ゲストが参加している。
収録曲
01RAIN
02COMPLICATED
アルバム『コンプリケイテッド』のイントロから雷鳴とともになだれ込む、繊細なメロディと情感あふれるヴォーカルが魅力のスウィート・ソウル。夫でもあるテリアス“ザ・ドリーム”ナッシュのプロデュースによるアルバム・タイトル・チューン。
03OKAY
プロデュースを手掛けたリル・ジョンにヤングブラッズを迎えた、アルバム先行シングル。坂本九「スキヤキ」のフレーズも飛び出すクランク・ビートを駆使しつつも、ニヴェアの肌質にあったキュートなダンス・チューンに仕上げているところがミソ。
04PARKING LOT
“Get Crunk”(ハジケて)というフレーズの連呼が耳に飛び込む、ジャーメイン・デュプリのプロデュース作。マライア・キャリー作品のような、爪弾くギター音に打ち寄せる波のようなバスドラムのビートが重なる、落ち着いたミディアム・バラード。
05FULTON COUNTY CORRECTIONAL CALL
06I CAN'T MESS WITH YOU
ザ・スタイリスティックス「ユー・アー・エヴリシング」を大胆に拝借したミディアム・ソウル。制作のプラチナム・ブラザーズに加え、ニヴェア本人もヴォーカル・アレンジを担当。ザ・ドリームのラップや“今でも愛している”というコーラスの多彩さが魅力だ。
07BREATHE (LET IT GO)
失恋の対処法は“大きく息を吸って吐き出し忘れること”、と諭すように歌うミディアム・チューン。チェンバロ風サウンドが奏でるメロディの上を、急かすようなヴォーカルと飛行機の離陸時風のSEが、“戻ってきて”という焦燥感を巧みに表現している。
08QUICKIE
元ダ・ケイパーズのフィメール・ラッパー、ラシーダのキレのあるフロウをフィーチャーした、プラチナム・ブラザーズ制作のハード・テイストなR&Bチューン。TLCを彷彿とさせるアグレッシヴなヴォーカルとビート・サウンドで、“早くシテ”と欲求している。
09INDIAN DANCE
テリアス“ザ・ドリーム”ナッシュ制作による、アコギがグッド・アクセントの哀調ラテンR&B。インディアンを想起させる“ヘイ、アイアイアイ……”や“オゥオゥ”と掛け合うフック、腰が揺れるブレイクダウンなどが活き活きとしている、ダンスホール仕様トラック。
10NO MORE
“もうイヤ……”と周囲の悪環境にウンザリと嘆く、ミディアムR&B。何といっても、“ノー・モア……”のスムースなコーラスにかぶさる、ニヴェアの熱いシャウトが圧巻。ヴォーカルを際立たせる抑えめなビート・トラック制作は、プラチナム・ブラザーズによるもの。
11GANGSTA GIRL
R.ケリーがプロデュースし自身も参加した、彼ならではのラテン調アッパー・チューン。メリハリの効いたバウンス・ビートの上でR.ケリーに引けをとらない存在感を誇示する、ニヴェアのスムースなヴォーカルが最大の魅力。R.ケリーとの相性も抜群だ。
12OKAY REMIX
13SO FAR
プラチナム・ブラザーズのプロデュースによる、“そばにいてもあなたの心はどこか上の空……”と彼との遠くなった距離を嘆くミディアム・チューン。悲しくも強い情念が感じられるニヴェアのヴォーカルとなめらかなコーラスのコントラストが秀逸。
14IT'S ALL GOOD
夫であるテリアス“ザ・ドリーム”ナッシュのプロデュースによる、複数のシンセ・サウンドを配したリードが心地よいノリを生んでいるアッパー・チューン。その上をなめらかに運ぶニヴェアのヴォーカルに、高いスキルが感じられる。
15MY FAULT (GHETTO APOLOGY)