ミニ・レビュー
21世紀に入って最高の収穫と言える女性のひとり、アリシアがMTVの“アンプラグド”に挑戦。ライヴでも変わらぬ、艶やかな才気を感じさせる。前作から除外された(5)が新曲としてヒット。マルーン5のアダム・レヴィーンとローリング・ストーンズの(11)をカヴァーする。
ガイドコメント
数々のスーパースターが登場した人気音楽番組『MTV UNPLUGGED』にアリシア・キーズが登場。コンサートでは必ずピアノの弾き語りをフィーチャーするなど、シンプルなプレイには定評があるだけに、これは必聴だ。
収録曲
01INTRO ALICIA'S PRAYER
2005年7月14日、ニューヨーク・ブルックリンのハーヴィー・シアターで収録されたライヴ・アルバム『アンプラグド』のオープニング・イントロダクション。“Father……”と神に感謝を捧げるトラディショナルなゴスペルを披露している。
02KARMA
迫力あるホーンと激しく揺れる心の機微を描くストリングスが耳に強く残る曲で、オリジナルは『ダイアリー・オブ・アリシア・キーズ』に収録。ライヴ特有の躍動感あふれるアレンジが秀逸。2005年7月14日、NYハーヴィー・シアターでの公演。
03HEARTBURN
アルバム『アンプラグド』に収録の前曲「カルマ」からメドレーで展開されるファンキー・ソウル。アシッド・ジャズ風に豪華なホーンと男女コーラスとアリシアとの掛け合いによって生まれる高揚感がたまらない。2005年7月14日、ニューヨークでの公演。
04A WOMAN'S WORTH
男女バック・コーラスを軸に据えた、原曲以上の生命力を感じさせるミディアム・ソウル。アイズレー・ブラザーズの「Footsteps in the Dark」をさりげなく採り入れたアレンジに、彼女のソウル・ミュージックへの愛着を感じる。
05UNBREAKABLE
エディ・ケンドリクス「Intimate Friends」のフレーズ使いがニクイ、モータウン風の要素も採り入れたミディアム・スロー・ナンバー。ショウビズ界のスターの名を挙げ、永遠に続く愛や絆について愉しげに歌うメッセージ・ソング。
06HOW COME YOU DON'T CALL ME
オリジナルもジャジィでセッション風なソウル・ナンバーだが、さらにコール&レスポンスなど奔放にアドリブを加えて演じた、プリンスのカヴァー曲。曲調を変化させた終盤のクライマックスでみせる、懐の深いヴォーカル・パフォーマンスは格別だ。
07IF I WAS YOUR WOMAN
原曲はグラディス・ナイト&ピップス「イフ・アイ・ワー・ユア・ウーマン」の歌詞を替えた曲だが、そのグラディス・ナイトに捧げて披露したナンバー。しっとりとしながらも艶のある、ややスローなアレンジで、アリシアのヴォーカルを最大限に活かしている。
08GOODBYE|BUTTERFLYZ|IF I AIN'T GOT YOU
ピアノ・バラードのメドレー。1st『ソングス・イン・Aマイナー』のラブ・バラード2曲は、美しいピアノの旋律をより切なく奏で、MC後の「イフ・アイ・エイント・ガット・ユー」では、迫力あるコーラス・アレンジで、より扇情的なヴォーカルを披露している。
09EVERY LITTLE BIT HURTS
アレサ・フランクリンやブレンダ・ハロウェイが歌ったことでも知られる、ソウル・クラシックのカヴァー。まったく臆することなく、力強いヴォーカルを披露しているアリシアには、プレッシャーをひれ伏させるような凄みさえ感じてしまう。
10STREETS OF NEW YORK (CITY LIFE)
オリジナル・ヴァージョンのラップに代えて、自身の詩集『Tears For Water』の一節をポエトリー・リーディングした後に楽曲へと展開する、実験的なナンバー。ジャズ・セッション風のバック・サウンドから、ホーンを強調したファンキーなコーラス部への展開は圧巻の一言。
11WILD HORSES
マルーン5のアダム・レヴィーンを迎え、ローリング・ストーンズの1971年のアルバム『スティッキー・フィンガーズ』収録の名曲をカヴァー。アコギとピアノをバックに披露されるハーモニーは、悠久な時の流れを感じさせてくれるよう。
12DIARY
オリジナルにも参加のヴォーカリスト、ジャーメイン・ポールとデュエット・スタイルで演じた、『ダイアリー・オブ・アリシア・キーズ』収録曲。フルートを配したアレンジが秀逸で、クライマックスの2人のヴォーカルは燃えさかる炎のように情熱的だ。
13YOU DON'T KNOW MY NAME
ザ・メイン・イングリーディエントの「Let Me Prove My Love To You」をサンプリングした、アリシアの代表曲。陽性的なジャム・セッション風サウンドで、ハートフルながら活力がみなぎるアレンジとなっている。
14STOLEN MOMENTS
アルバム『アンプラグド』に収録のオリジナル曲でアル・グリーンとの共作。繊細なフルートの音色に導かれるコーラスが、若い青年と少女の秘めた恋を描くのに充分な効果を発揮している。絶妙な緊迫感で覆われたアダルトなソウル・ナンバーだ。
15FALLIN'
オリジナルは『ソングス・イン・Aマイナー』に収録のセルフ・プロデュース曲。彼女が持つ躍動感と豊かな表現力が存分に発揮されたソウル・バラード。バック・バンドからコーラスまで総動員したスケールの大きなアレンジは、まさにライヴの醍醐味といえる。
16LOVE IT OR LEAVE IT ALONE|WELCOME TO JAMROCK
『アンプラグド』のラストを飾るメドレー。コモンとモス・デフをゲストに迎えた、ブランド・ヌビアンの楽曲をモチーフにしたナンバーのあとは、ダミアン・マーリィを加えて、彼のレゲエ・ナンバーで大団円へ。グルーヴあふれる楽しさ満載のエンディングだ。