ガイドコメント
フランス語で“不器用な”という意味のタイトルを冠した、2002年発表の4作目。セルフ・プロデュースの本作、脱泣き虫宣言にふさわしい強力パワー・ポップ・アルバムとなっている。
収録曲
01アメリカン・ジゴロ
何をやってもファンから批判される状態に業を煮やし、ついにファンへの復讐を宣言したナンバー。80年代のキャッチーなヘヴィメタル・バンドを思わせる、にぎやかなリフとサウンドが魅力だ。この曲もまたファンの賛否両論を呼んだ問題作。
02ドープ・ノーズ
ドラッグ使用を示唆したようなタイトルどおり、実際に興奮剤をテキーラで服用した際に書かれたナンバー。MTV世代にこそウケそうな80年代テイストあふれるハード・ポップ・サウンドで、冒頭の能天気なコーラスも◎。
03キープ・フィッシン
バタンゴロンと転げるようにスウィングするリズムでのゆっくりとした曲調が、1分を経過したあたりでほんの少しだけ“泣きメロ”づいて疾走する。力強いサウンドのハード・ポップ・ナンバーだが、歌詞にはいままで同様の青臭さが。
04テイク・コントロール
メタル・ナンバーのカヴァーかと思わせるイントロを経て、これまでとはあまりに筋肉の付きようが異なる肉厚なプレイが展開される。サビへの道程やメロディの魅力はいつもどおりなのだが、肉付きの良さにやや困惑。
05デス・アンド・デストラクション
リヴァースのソフトなヴォーカルが印象的なスロー・ナンバー。失恋を歌ったらしき歌詞は、批判が絶えないファンとの関係性の暗喩でもあるだろうか。中盤では、わりとコテコテなギター・ヒーロー風のソロが聴ける。
06スロブ
北欧メタル・バンドの演奏かと疑いたくなるほど、ドラマティックで“どメタル”な曲調。彼らのシンプルなサウンドを土台にメタル風ワビサビを注入したアイディアが光るが、努力は報われず旧来のファンからはブーイングだった。
07バーント・ジャム
リズミカルなギターで軽やかにスタートするナンバー。まるでボサ・ノヴァのようなリラクシン・サウンド&ヴォーカルを展開しているが、ここでも登場するのはお約束のメタル・リフ。ソフト&ハードに振幅する異色作だ。
08スペース・ロック
いささか音圧が強すぎるものの、聞こえてくるのは王道ウィーザー節。文字どおりスペーシーなサウンドが楽しめる。冒頭では、「キッズを相手にしていると泣きたくもなる」と、ファンを批判するボヤキ節を展開。
09スレイヴ
ビター・スウィートな1960年代ポップスを、ディストーション多めのハード・ロック・リフでプレイしているかのようなナンバー。メタル・サウンドとともに『マラドロワ』の象徴となった“ウーウーフーフー”のコーラスも活躍する。
10フォール・トゥギャザー
ブームにかなり遅れてやってきたグランジ・バンドのようなヘヴィ・リフでスタート。ヴォーカルもコーラスも気だるげなムードを終始漂わせ、最後はほとんどブツ切り状態で終幕。それもまた気だるげな気分の演出か。
11ポシビリティーズ
メタル方向に寄っていた針を、今度は極端にエモ・パンク方向へと振り切ったナンバー。ジャスト2分間を疾走に次ぐ疾走で駆け抜けながら、この時期の主武器“ウーフー”コーラスも投入。歌詞では過去最大級の女々しさが爆発している。
12ラヴ・エクスプロージョン
ブリット・ポップをプレイしているかのような雰囲気のあるキャッチーなナンバー。サビでの展開やエンディングのリフに、なんともオアシスを揶揄しているような空気が……。歌詞は被害妄想ここに極まれりといった内容。
13ディセンバー
『マラドロワ』はアウトでも、この曲だけにはセーフの判定を下したファンも少なくないナンバー。シンプルなコードを活かしたメロディは美しく、浜田省吾作品とオーヴァーラップする瞬間も。歌詞は彼らの現状を暗喩したものか!?
14アイランド・イン・ザ・サン
15リヴィング・ウィズアウト・ユー
仕様
エンハンストCD内容:the quiet storm〜ドープ・ノーズ (LIVE)〜デス・アンド・デストラクション (LIVE)〜バーント・ジャム (LIVE)〜the cobo challenge〜キープ・フィッシン〜テイク・コントロール