ガイドコメント
1978年にデビューし常にシーンの革命児としてその名をはせてきたプリンスの、82年発表の5作目。世紀末の夜に向けて作られた、明日なきダンス・ミュージック! 禁断のファンク・ビートに熱いサウンド・メッセージを込めた1枚。
収録曲
011999
ファンクの要素を導入したサウンドを、リレー形式で構成されるキャッチーなヴォーカルと弾んだシンセ・アレンジでポップに聴かせる、とびきりのパーティ・チューン。プリンス流“世紀末の過ごし方”がここに詰め込まれている。
02LITTLE RED CORVETTE
グラマラスな世界観をモータウンからの影響が感じられるサウンドとメロウで艶やかなプリンスの歌声で表現した、ポップなファンク・ナンバー。弾けるようなスネアがアクセントとなった独創的なビートは圧巻だ。
03DELIRIOUS
恋する男心を赤裸々に綴った、ハッピーなフィーリングに満ちたポップ・チューンだ。ニューウェイヴの要素を巧みに取り入れた、ストリングス音を強調したカラフルなアレンジや、メロディアスなヴォーカルに胸が躍る。
04LET'S PRETEND WE'RE MARRIED
「結婚してるふりをしよう」という魅惑的なフレーズが印象深い1曲。軽快なビートに乗ってファンキー・ヴォーカルがなめらかに突き進み、欲望に満ちた世界をリアルに描き出す。多彩なアレンジ・ワークは秀逸。
05D.M.S.R.
リズミカルなクラップ音にホーン調のシンセが絡み、ファンキーなプリンスの歌声とソウルフルな女性コーラスが濃密に重なる8分超の大作。アルバム『1999』のCD初回プレスの際には収録されていないことでも有名だ。
06AUTOMATIC
打ち込みによるストリングス音が強いインパクトを放つエレクトロなファンク・チューン。R&Bテイストが漂うプリンスの躍動的なヴォーカルが魅惑的。終盤に向かってファンク色が濃厚になっていく曲展開は圧巻だ。
07SOMETHING IN THE WATER (DOES NOT COMPUTE)
速いBPMを刻むハットに不穏なメロディを奏でるシンセが絡む、エレクトロな展開のダンサブルなナンバー。いつ聴いても斬新に感じられるリズムやアレンジは比類がない。中盤のアーシーなシャウトも印象的。
08FREE
自由であることの喜びを歌った、社会的メッセージを含んだストレートなバラード曲。メロウな鍵盤の旋律を、温かみのある美しいヴォーカルが優しく包み込む。後半に広がる、ゴスペル調の壮大な音世界が感動的だ。
09LADY CAB DRIVER
しなやかなビートとファンキーなベース・ラインが印象的なトラックに、美しいメロディを持つプリンスのなめらかな歌声と女性コーラスが重ねられた、洗練されたファンク・チューン。中盤に展開されるラップも聴きどころだ。
10ALL THE CRITICS LOVE U IN NEW YORK
楽曲のほとんどがリズムのみで構成されたミニマルなエレクトロ・ファンク・チューン。効果音的に挿入される語りかけるようなヴォーカルのループがクールに響く。プリンスの音楽性の幅広さを裏付ける作品だ。
11INTERNATIONAL LOVER
自分との恋を飛行機の旅にたとえて誘惑するメロウ・チューン。ゆったりしたビートに美麗な鍵盤やギターなど、音数少なめの上音を絡め、プリンスの甘美なファルセット・ヴォーカルの魅力を最大限に強調している。