ガイドコメント
マーク・ボラン生存中に発表された唯一の公式ベスト・アルバム。ベストとは言え、ほかのアルバムに未収録の曲が多く、オリジナル・アルバムといっても過言ではない内容。
収録曲
01TELEGRAM SAM
イントロのロックンロールの教科書的なギター・リフで、一気に曲の世界へと引き込んでいく。女性の視点で歌う意中の男性に対する想いを、華やかな女性コーラスをスパイスとして効かせて表現した、痛快なロックンロール・ナンバー。
02JITTERBUG LOVE
タイトルどおり、ジルバのリズムを取り入れた陽気なブギー・ナンバー。3分弱のタイトな時間だが、T.レックスのポップ・センスを存分に楽しむことができる。後半、マーク・ボランのいつもの中性的な歌声とはかけ離れたマッチョなシャウトにも注目。
03LADY
クリーンなギターのストロークとマーク・ボランの中性的なヴォーカルで聴かせるミディアム・ナンバー。シンプルな歌詞とコード進行の繰り返しがかえって新鮮で、楽曲の世界に引き込まれてくようだ。
04METAL GURU
T.レックスの代表曲ともいえるミディアム・ロック・ナンバー。イントロの女性コーラス&マーク・ボランの微妙に音域を外したシャウトのクールさが、一気にリスナーを楽曲の世界へと引き込む。親しみやすく誰もが歌いたくなるようなメロディがいい。
05THUNDERWING
ギター・リフからマーク・ボランの「Yeah!」の号砲で幕を開けるブギー・ナンバー。ミディアム・テンポに乗せたクラップが心地よい。リラックスしたグルーヴ感にセクシーなヴォーカルが絶妙にマッチしている。
06SUNKEN RAGS
軽快なミディアム・ロックンロール・ナンバー。要所でフィーチャーされる鍵盤とコーラスの存在感が印象的。周囲と折り合いがつかない自己への葛藤を歌う内容も、マーク・ボランの手にかかると、極上のグラム・ロックとなる。
07SOLID GOLD EASY ACTION
小気味良いリズムはT.レックスの楽曲の中でも随一で、「Hey!Hey!Hey!」のフレーズは思わず口ずさんでしまうほど。キャッチーなサビのフレーズはCMなどにも多用され、時代を超えた普遍性を持つT.レックスの代表曲のひとつ。
0820TH CENTURY BOY
グラム史のみならずロック史にその名を刻んだT.REXの名曲。両性具有やアイデンティティの解放を歌うグラム・ロックの精神をストレートに表現した歌詞と耽美的なサウンドは、永遠に色褪せることはないだろう。
09MIDNIGHT
中性的で妖艶な世界観が魅力のT.レックスだが、この楽曲ではマーク・ボランの激しいギター・プレイを全面にフィーチャーし、男のフェロモン全開のヘヴィ・ロックを展開。しかし、ヘヴィでありながらもメロディのキャッチーさはゆるぎない。
10THE SLIDER
アルバム『ザ・スライダー』のタイトル・トラック。スロー気味のテンポで展開される比較的地味な印象のナンバーだが、ファンの間では根強い人気を持っている。ストリングの重厚なアレンジが壮大だ。
11BORN TO BOOGIE
「僕はブギーをするために生まれたのさ」という、マーク・ボランのテーマ曲ともいえるナンバー。イントロからエンディングまで、ブギーの王道がこの曲に集約された、教科書的なナンバーだ。
12CHILDREN OF THE REVOLUTION
のちに数々のアーティストにカヴァーされることになる、T.レックスの代表曲のひとつ。重厚なストリングス、ヘヴィなAメロからキャッチーなサビへの展開、心の奥に眠っているものを呼び起こすような歌詞など、どこをとっても非の打ちどころがない傑作だ。
13SHOCK ROCK
Aメロでマーク・ボランの悪魔的な低音ヴォイスが炸裂するミディアム・ロック・ナンバー。楽曲自体はポップだが、マーク・ボランの鼻にぬける震えるようなヴォーカルが、不気味な世界観を作り上げている。
14THE GROOVER
イントロの「T! R! E! X!」の掛け声がライヴ感満点のヘヴィ・ロック・ナンバー。力強いドラムや暴れ馬のようなギター・リフなど、マーク・ボランの中世的なヴォーカルを引き立てるアレンジ力が秀逸だ。