ミニ・レビュー
持ち前の疾走感、メロディ・センスにボサ・ノヴァやダブなどの新機軸を盛り込んだ3作目。英語と日本語をチャンポンにした歌詞も絶好調で、後ろ向きな事柄を歌いながら前向きなムードを演出するなど、どの曲にもひねりが利いている。アツくて爽やか明朗快活パンク。
ガイドコメント
『REALIFE』から約1年半ぶりとなるアルバム。コンピ盤参加曲を中心に、ロックやパンク、ヘヴィ・メタルやヒップホップ、さらにレゲエといった様々なサウンドをミックスした勢いのある1枚。
収録曲
014REST
かっ飛んだメロディが心地良いパンキッシュ・ナンバー。おちゃらけて生きることを良しとせず、真っ直ぐと生きることを厳しく訴えかけながらも、「時には涙を見せていいんだよ」と人の弱さを肯定してくれる視線が優しい。
02MONKEY
退屈で何もない日々に押し潰されそうになってる人々に向けた応援歌的な一曲。単純に「頑張れ」と鼓舞するのではなく、「笑える明日は君次第できっと来る」と投げかけるのが何ともユニーク。スラッシュ・メタル調のギターも印象的。
03VIBES BY VIBES
「辛いときは話を聞いてやる!」という親友的スタンスで胸を貸す、パンキッシュ・ナンバー。関西弁の歌詞が関西弁ならではの親近感や可笑しさを醸し出しており、疲れた心に染み渡る。夜明けまで友達と語り合った日々を思い出す一曲だ。
04BUZZING
エモーショナルなギターとメランコリックなメロディが涙腺を刺激するロックンロール・ナンバー。優しさを求めている人には、届かない詩でも歌う。届かなくても歌うという無償の愛とも言えるスタンスを叩き出す胸の広さに感服。
05LITTLE MORE THAN BEFORE
全英歌詞のメランコリックなバラード。オアシスを彷彿とさせるUKロック的泣きメロをこれでもかと聴かせてくれる、まさに「泣きの一曲」だ。10-FEETの歌の力を十二分に味わえる名曲と言っても過言ではないだろう。
06BE NOTHING
スラッシュ・メタルな激重Aメロから、これぞメロコア! な壮快なサビへの転調の急激さには面食らうが、そこから得られるカタルシスは他では得られないほどの素晴らしさ。フロアを熱狂させるのは必至のキラー・チューンだ。
07IOWA
タイトルはアメリカ中央部に位置する「アイオワ」だが、サウンドは直球な西海岸メロコア・サウンド。乾いたメロディとスピード感あふれる爽快なパンクが胸を透く。拳を振り上げてシンガロングしたい一曲だ。
08HEY!
メロコア、ラップ、レゲエという多様な音楽を取り込んだ10-FEETサウンドの真骨頂とも言うべき完成度を誇る素晴らしきミクスチャー・ロック。ほぼ9割が英詞だが、唯一日本語詞の部分が深く胸に突き刺さる。
09exodus
ギア・チェンジで緩急を自在に操り、聴かせるところは聴かせ、アゲるところはアゲる。一曲で喜怒哀楽のすべてを突き破り、同時にすべてを内包するサウンドは一粒で何度も美味しい味わい深さがある。
10MOVING is CHANGING
スラッシュ・メタル・ミーツ・ダブ/レゲエという異色の取り合わせな不思議なサウンドながら、ロックとしてもレゲエとしても完全フロア対応のキャッチーさを誇っている。後半はストレートなパンクのメロディで、飛ばすことも忘れていない。
11Freedom
ヘヴィなギター・リフとラップ、抜けの良いサビと、まさに正統派なミクスチャー・ロック。変化球が多い彼らだけに、こういうど真ん中の曲を聴かされると一瞬面を食らうが、鉄壁のバンド・セッションの前に理屈など全部吹き飛んでしまう。
12GOING CRAZY
乾いたアコースティック・ギターを主体に、軽やかに駆けていくメロディと、ビーチ・ボーイズのような美しいコーラス。夏に吹く海風のような潔さを伴って、青い空に溶けていく音楽が、ただただ気持ちいい。