ミニ・レビュー
オリジナル・アルバム10枚目は、自身のロックへの恍惚ぶりをあらわにした問答無用のホテイ・ショー。痛快なロカビリーあり、妖艶さを放つブラス・ロックあり……と、ロックンロールへの命懸けの思いがビシビシ伝わってくるパーティ・アルバム。
ガイドコメント
2005年6月発表のオリジナル・アルバム。村田陽一などの豪華なバック陣を率いた、彼らしいギターが光る痛快ロック・ナンバーが満載。『エレクトリック・サムライ』の流れか、インスト曲が4曲も収録されている。
収録曲
01MONSTER DRIVE
アルバムのタイトルにもなっているアップ・テンポなロックンロール・ナンバー。軽快なシャッフル・リズムや炸裂するエレキ・ギター、キャッチーなリフなど、どこをとっても布袋ならではの突き抜けるようなサウンドが満載。通算10作目という記念すべきアルバムの冒頭を飾るのにふさわしい、究極のパーティ・チューンだ。
02IDENTITY (Album Mix)
2005年2月にリリースされたシングル曲。ソロ・デビュー作『GUITARHITHM』の頃を彷佛とさせるパンキッシュでストレートなロックンロール・サウンドが魅力。ギター・キッズが飛びつきそうな超絶速弾きソロから粋なフレーズまで、“布袋ギター”の魅力に満ちたナンバー。
03PARTY KING
映像が浮かんでくるような怪しげな雰囲気のミディアム・ナンバー。トロンボーン奏者・村田陽一率いるブラス・セクションとソリッドなギターのユニゾンや、オールド・ファッションで重量感のあるリズムが絶妙に“王様の夜”を演出。パンク歌手や俳優としても活動する人気作家・町田康が手掛ける歌詞にも注目したい。
04CHASE!!!
アルバム『MONSTER DRIVE』の特徴のひとつであり、作品全体に彩りを添えるブラス・セクションをフィーチャーしたインスト曲。映画のサントラのようなスリルに満ちたナンバーで、緊迫の“チェイシング・シーン”を想像させる。グルーヴィなワウ・ギターやアグレッシヴな打ち込みのリズムなど、粋なアレンジが際立った仕上がり。
05BARBARELLA
魅惑の女性とそれに魅せられた男が掛け合うハイテンションなデジタル・ロック・ナンバー。今井美樹が“BARBARELLA”役で参加するファンキーこのうえないAメロから、泣けるほどキャッチーなサビへの展開が見事。豊富なアイディアや英語・日本語の絶妙な使い分けなど、布袋寅泰の衰えることのない才能を感じさせる。
06BITCH
イカしたギターのカッティングではじまる極上ファンク・ナンバー。お洒落や化粧で本性を隠す最近の若いギャルへ、やや皮肉を含ませながら大いに応援するユーモラスな作品。CAPTAIN FUNK名義で活躍するオオエタツヤと人気トロンボーン奏者・村田陽一という豪華なラインナップ。ライヴで盛り上がりそうなナンバーだ。
07火の玉BOOGIE
底抜けに明るいロカビリー・ソング。言葉遊びや自由自在な言い回しが光る町田康による歌詞と、楽曲の痛快さが実にマッチしていて“布袋ワールド”に新たな息吹きを与えている。相変わらず大暴れする布袋のギターほど目立たないが、村田陽一アレンジによるブラス・セクションも効果的に楽曲に華やかさを添えている。
08FINGER SKIPPIN' JIVE
怒濤のパーティ・チューン満載のアルバム『MONSTER DRIVE』の中で、ホッと一息をつかせてくれるような小気味良いインストゥルメンタル。古き良き時代のアメリカを連想させる分かりやすいフレーズと構成が魅力のジャイヴ・チューンで、ギター、ベース、ドラムの3人によるこじんまりとした演奏の中に“音楽を楽しむ心”を感じさせる。
09LIBERTY WINGS (Album Mix)
2005年4月にリリースされたシングル曲。村田陽一やオオエタツヤといった一流ミュージシャンを従えてのブラス・ロック・ナンバーで、“夢に向かって自由を勝ち取る”という布袋らしいポジティヴなメッセージを放つ。キャッチーなサビや変化に富んだ曲展開など、ベテランらしい完成度。
10月光ピエロ
熱いスパニッシュ・ギターとフラメンコのような手拍子ではじまるインスト・ナンバー。歌謡演歌にも通じるコテコテなフレーズと布袋の高度なギター・テクニックが独特の土臭さを引き出しながら、日本人特有の琴線に触れるような“泣きの展開”を繰り広げる。ユーモアさえ感じさせる布袋流“哀愁ソング”といったところだ。
11永遠の花
アルバム『MONSTER DRIVE』中、唯一のバラード・ソング。往年のロック・バラードのような恥ずかしいほどに純粋な愛を綴った珠玉のラヴ・ソングで、Simon Haleアレンジによるムーディかつドラマティックなストリングスが涙を誘う。派手なパーティ・ロックが多いだけに、アルバム中でも一際美しい輝きを放っている。
12MIRROR BALL
3拍子基調のゆったりとしたリズムが心地いいインスト・ナンバー。タイトルからもわかるように70〜80年代のディスコ時代を彷佛とさせるムード音楽で、不思議と過去のさまざまな思い出が頭をよぎる。布袋寅泰自身がギタリストとしての趣味の広さをエンジョイしていると同時に、ベテランならではの懐の深い歌心を感じさせる。
13PUSSY CAT
シングル「LIBERTY WINGS」にカップリングとして収録の軽快なラヴ・ソング。意中の女性を“ネコ”に、自分を“野良犬”にたとえ、アッパーなロカビリー・サウンドに乗せてその恋心を描く。村田陽一率いるブラス・セクションを従えたハッピーなサウンドで、13曲に及ぶアルバム『MONSTER DRIVE』のラストを締めくくる。
仕様
CDエクストラ内容:「LIBERTY WINGS」 (PVダイジェスト)〜MONSTER DRIVE号壁紙〜布袋スペシャル・スクリーンセーバー