ガイドコメント
超ロングセラー『ケツノポリス3』から約1年半、「涙」「君にBUMP」「さくら」というヒット・シングル3曲を含む4作目。ケツメイシの変わらないスタイルに、人間として音楽人としての成長度を透徹した1枚だ。
収録曲
01ドライブ
オープンカーに乗ってさわやかな風を一身に受けているような、疾走感のあるトラックだ。実際にドライブ中に聴けば最高の気分になれるだろう。これほどキャッチーなメロディのヒップホップ・ナンバーも珍しい。
02歩いてく
タイトル通り、歩く調子に合わせたかのようなゆったりとしたテンポが、聴く者の親近感をグッと引き寄せる。彼ら特有の、美しいメロディとラップの融合スタイルは、こういう曲でこそ真価を発揮するのだろう。
03さくら
切ない日本叙情をふんだんにちりばめたメロディが、ヒップホップ・サウンドに違和感なく乗っているというだけでも驚愕の楽曲。モンスター級の大ヒットを記録したことも更なる驚きで、日本の音楽シーンを変えたともいえる1曲だ。
04そばにいて
レゲエのリズムをベースに、ゆったりと落ち着いたバラードを聴かせる曲。甘酸っぱくキャッチーなメロディとラップが交互に訪れるスタイルは、ここでも変わることなく、よりポップスに近づいたナンバーとして秀逸。
05上がる
有名な曲しか知らない向きにとっては、こういった男気あふれる雰囲気の曲だと、かえって新鮮に感じるかもしれない。だが、こちらこそ彼らが昔から聴かせていた元々のスタイルに近い曲といえるだろう。
06朝日
彼らとDragon Ashがどこか地続きのような気がしてしまう雰囲気の曲だ。さまざまなジャンルを内包する音楽性で共通項はあるものの、こちらの曲のほうがよりマイルドに仕上がっており、聴き比べても面白い。
07No Lady No Life
メロディだけを取り出してみると、なんと聴きやすく親しみやすいのか、と改めて驚かずにはいられない。レゲエのリズムをベースにした本作は、インパクトのあるコーラスを武器に、リスナーの耳をひきつける。
08君にBUMP
ゆるい感じで体を揺らしたくなるダンス・チューン。音楽、お酒、そして女の子さえあれば楽しい夜が過ごせれるという男なら誰しも共感できる、2004年夏の大ヒット・ナンバー。
09ケツメンサンバ
サンバといえば昔からいくつもの代表曲があるが、どんな音楽性であっても、ケツメイシのスタイルに持っていってしまうのは、実に爽快きわまる気分だ。それだけ音楽的な実力がある証拠で、遊び感覚も優秀。
10三十路ボンバイエ
ワイルドでソリッドなギターが響きわたるが、どこまでもさわやかなスタイルのヒップホップを聴かせてくれるナンバー。音楽を楽しみ、思う存分遊んでいる雰囲気が感じられて、曲を聴いているだけでもポジティヴな気持ちになれる。
11涙
涙は人間なら誰にでも一度は自然と流したことがあるもの。そんな涙を流れるような切ないメロディで包み込んでくれるナンバーだ。涙を流すことは決してかっこ悪くないと思わせてくれる。
12東京
このタイトルの曲は数多くあれど、これほど切なく、叙情的な雰囲気があふれる楽曲がかつてあっただろうか。リズムは控えめだが、聴き続けていくと徐々に高揚していき、より切ない気持ちが高まっていく魔法のようだ。
13願い
さまざまなサウンド・スタイルに挑戦する姿勢が、このような三味線の導入にも繋がるのだろう。歌われている世界観にふさわしい音として選択された結果だからこそ、奇をてらった感じもなく、むしろ自然に溶け込んでいるという曲だ。
14アウトロ
アルバムのラストを飾るインストゥルメンタルとして、「さくら」のメロディを再び現出させるトラック。トータル・コンセプト感を打ち出すと同時に、アルバムを聴き終わってしまうのに名残惜しい感覚が湧き上がる美しい小品だ。