ガイドコメント
ブライアン・ウィルソンがビートルズの『ラバー・ソウル』に感化されて制作した1966年の歴史的名盤。ブライアンの頭の中にあるすべてが凝縮され、旋律、演奏、楽曲、ポップさなどあらゆる面で完璧と言われる。
収録曲
01WOULDN'T IT BE NICE
02YOU STILL BELIEVE IN ME
ブライアンのハミングと一本弦のピアノによるイントロが美しい。メランコリックな情感が付きまとうファルセット主体のブライアンのヴォーカルに、壮大な滝の如きコーラスが折り重なるドラマティックなエンディングはまさに圧巻。
03THAT'S NOT ME
エコーの海に反響するパーカッシヴなサウンドをバックに、マイクが「あれは僕じゃないよ」と歌う。エコーの海を泳ぐようなオルガンやギターの音色も心地よい。エキゾチックでトロピカルなフィーリングは往年のマーティン・デニーを想起させる。
04DON'T TALK (PUT YOUR HEAD ON MY SHOULDER)
ブライアンのダブルトラックのヴォーカルのみで歌われるバラッドの名曲。沈痛なオルガンや悲痛なストリングスが歌声の背景を丹念に描いている。喋らずに何をするかというと、男の肩に女が頭を乗せるだけ、というイノセントな歌詞もブライアンらしい。
05I'M WAITING FOR THE DAY
ブライアンの歌声にオーボエやフルートが絡み、ティンパニーが劇的な展開を演出する。弦楽四重奏からティンパニーを経てエンディングへと雪崩れ込む終盤の編曲も鮮やか。失恋した女の子を慰める唄だが、語り手の男の設定はかなりイタい。
06LET'S GO AWAY FOR AWHILE
07ALOOP JOHN B
08GOD ONLY KNOWS
09I KNOW THERE'S AN ANSWER
ウッディな木管楽器とメタリックな鍵盤+タンバリンとの競演によるユニークなサウンドを背景に、ブライアンが「答えがあるのは知っているけど」と歌う。当初の歌詞はもっと救いがなかった。その頃のこの曲の題名は「Hang On To Your Ego」。
10HERE TODAY
『ペット・サウンズ』の中では比較的シンプルな曲だが、恋のときめきと愛の儚さを象徴するかのような、魅惑的なメロディとめまぐるしいサウンド展開が楽しめる。いったい何を考えているのかよくわからない唯我独尊のベース・ラインがとりわけスリリング。
11I JUST WASN'T MADE FOR THESE TIMES
チェレスタやティンパニが鳴り響く荘厳なサウンドの中で木霊するブライアンの一人多重録音ヴォーカルがこの曲の、そして彼自身の強烈な疎外感を増幅する。テルミンの儚い音色も美しい。名曲だらけの『ペット・サウンズ』の中でもベストの名曲。
12PET SOUNDS
13CAROLINE NO