ガイドコメント
最高傑作との呼び声高い、1971年発表作。実験的なアプローチ、アグレッシヴな演奏といったすべての面が絶妙なテンションを生んでいる1枚。「ビハインド・ブルー・アイズ」「無法の世界」など彼らの代表曲を収録。
収録曲
01ババ・オライリィ
ミハー・ババとテリー・ライリーを合体させた曲名を持つ稀有な傑作。シンセサイザーの自動演奏から始まり、雄々しい歌声や躍るようなドラミングがバンドを力強く先導。終盤の狂騒的なアイリッシュ・ジグがザ・フーのサウンドを未知の高みへと引き上げる。
02バーゲン
キースのドラム・オーケストラが炸裂する強烈なロック・チューン。ロジャーとピートがヴォーカルをシェアし、それぞれの役割を見事に演じている。やや複雑にも感じられる構成だが、鳴っている音そのものを積極的に楽しんでいけば、彼らの進むべき道は見えてくる。
03ラヴ・エイント・フォー・キーピング
04マイ・ワイフ
ジョンがザ・フーのために書いた名曲のひとつ。作者のジョンがヴォーカル、ベース、ピアノ、フレンチホルンを受け持っている。恐妻家の被害妄想を大袈裟に戯画化した歌詞が面白い。シンプルなサウンドがメロディと歌詞の個性をより強調している。
05ソング・イズ・オーヴァー
幻の名盤『ライフハウス』の中核を担うはずだった名曲。ピートとロジャーがヴォーカルをシェアし、それぞれの能力を最大限に発揮している。ザ・フーならではの躍動感あふれる演奏と複雑で劇的な構成が素晴らしい。盟友ニッキー・ホプキンスのピアノも好演。
06ゲッティング・イン・チューン
幻の名盤『ライフハウス』に収録されるはずだった曲。ニッキー・ホプキンスのピアノから穏やかに始まるが、すぐにキースのタフなドラムスが乱入し、最高の歌声を披露するロジャーを力強くサポートしている。音楽的な比喩を多用した歌詞も楽しい。
07ゴーイング・モービル
幻の名盤『ライフハウス』に収録されるはずだった曲。カントリー・ロック調のドタバタしたサウンドに乗って、ピートが移動住宅の楽しさを陽気に歌う。この手のサウンドでのキースのドラミングは画期的なまでに新鮮。歌詞の“空調ジプシー”という表現が面白い。
08ビハインド・ブルー・アイズ
09無法の世界
10ピュア・アンド・イージー
11ベイビー・ドント・ユー・ドゥ・イット
12ネイキッド・アイ
13ウォーター
14トゥー・マッチ・オブ・エニシング
15アイ・ドント・イーヴン・ノウ・マイセルフ
シングル「無法の世界」B面収録曲。当初は幻の名盤『ライフハウス』に収録されるはずだった曲らしい。マウスハープから始まるカントリー・ブルース調の曲だが、ハード・ロッキンなパートからコーラス主体のパートへの転換の鮮やかさはさすが。
16ビハインド・ブルー・アイズ