ガイドコメント
当時恋仲にあったレニー・クラヴィッツの全面サポートを得て完成させた、92年発表の3rdアルバム。20歳とは思えない力強い美声で世界中を魅了、女優としても活動する一方、90年代を代表する傑作を生み落とした。
収録曲
01ナチュラル・ハイ
レニー・クラヴィッツのプロデュースで脱アイドル・ポップを図った、3rdアルバムのメロウなオープニング・トラック。メランコリックなメロディに、あどけなさと妖艶さを兼ね備えたロリータ・ヴォイスが絶妙にフィット。
02ウェイティング・フォー・ザ・マン
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの珠玉曲を好カヴァー。原曲のサイケな質感を削ぎ、キュートなカウボーイといった感の乾いたアメリカン・ロックに仕上がった。ロリータ姫があえて“ゲイ”という題材に挑んだ、その内容は実は強烈。
03銀と金
“何人もの子供が死んでいく”と、世界の行く末を憂うシリアスなアコースティック・ナンバー。暗鬱なメロディをなぞるメロウな歌声は、荒野をさすらう孤高のガンマンのよう。脱ロリータを果たした、クールなヴァネッサをご堪能あれ。
04ビー・マイ・ベイビー
女の子のもどかしい恋心を綴った、3rdアルバムのポップな日本盤タイトル・トラック。ダイアナ・ロスのシュープリームス時代が蘇ったかのような、キュートでスウィートな歌声は絶品。乙女力アップには、この一服を処方!
05ロンリー・レインボー
ピアノとストリングスの美しい旋律がヴァネッサの繊細な歌声をしっとりと包み込む、珠玉のバラード・ナンバー。孤独に耐えたその果てには、甘美な愛がきっと待っている……。そんな希望を与えてくれる優しいラヴ・ソング。
06サンデイ・マンデイズ
爽やかな昼下がりのお散歩にぴったりな、フレンチ・ポップの香りあふれるハッピー・チューン。しかしそのポップなメロディの裏にある真意は“現実逃避”。プレス・バッシングに苦しんできた彼女の心情を、実にリアルに汲んだ作品だ。
07ユア・ラヴ
それは、古き良きモータウンに咲いた、フレンチ・ポップの可憐な花。プロデューサー、レニー・クラヴィッツの絶妙なる音創りの結晶である。レトロなサウンドに甘美なロリータ・ヴォイスが映える、なんとも酔わせるスロー・ナンバーだ。
08フューチャー・ソング
無機質なドラムに心もとなく彷徨うエレキ・ギターという、メランコリックなテクノ・サウンドに乗せ、人類の魂の復活を切実に訴えるシリアスなナンバー。ロック・シンガー然とした、ひと皮剥けたクールな歌唱を披露している。
09パラディ (インストゥルメンタル)
10あなたがいる限り…
ハッピーなゴスペル・コーラスをバックに、その歌声は若き日のダイアナ・ロスのごとくキュート、しかしほどよくアンニュイな色気。モータウンの濃縮果汁のようにポップなサウンドと、ヴァネッサの強烈な個性のバランスが絶妙のトラックだ。