ガイドコメント
アコースティックとカントリー・ロックを合わせたサウンドで、シンガー・ソングライター・ブームの時代に鳴り響いた1972年発表の4thアルバム。ニール・ヤングならではの哀愁漂う名盤だ。
収録曲
01週末に
マウスハープとペダル・スティール・ギターをフィーチャーしたカントリー調サウンドをバックに、ヤングが淡々と歌うラブ・バラード。新しい街で新しい生活を始めようか、と考えながらも、失った恋人のことが忘れられない、という微妙な心情が巧みに描かれている。
02ハーヴェスト
哀しい片想いを象徴的な表現で歌ってみせたヤング流カントリー・バラード。男と女の感じ方の違いについて歌っている、ともいえる楽曲。こんな風に不器用な表現しかすることができない、というニュアンスがいかにも初期のヤングらしいラブ・ソング。
03男は女が必要
ジャック・ニッチェ編曲のロンドン交響楽団による壮大なオーケストレーションをバックに歌われる、風変わりで感動的なラブ・バラード。「男にはメイドが必要」という一見女性蔑視的な歌詞に込められた想いは深い。過剰すぎるサウンドも効果的に響く。
04孤独の旅路
“黄金の心”を探し求める旅を続ける覚悟を歌ったヤング流カントリー・バラード。力強いアコースティック・サウンドをバックに、ヤングが決意を秘めた歌声を披露する。マウスハープとペダル・スティール・ギターの音色も効いている。
05国のために用意はいいか?
ペダル・スティール・ギターを変則的にフィーチャーした曲。ヤングならではのユーモラスなニュアンスと気だるいサウンドが楽しめる。徴兵制度を真正面から批判しているわけではなく、君自身の態度を明確にしろ、と歌っているところがいかにも彼らしい。
06オールド・マン
バンジョーやペダル・スティール・ギターをフィーチャーしたカントリー調のバラード。父親と思われる“老人”に語りかけるこの歌には、“黄金の心”を探し求める「孤独の旅路」で感じられたような“覚悟”にも似た強さを持っている。
07世界がある
ジャック・ニッチェ編曲のロンドン交響楽団による荘厳なオーケストレーションをバックに歌われる“個”の讃歌。ヤング版「世界にひとつだけの花」ともいえないことはない歌詞だが、過剰なまでに大仰なサウンドのせいで意味が逆転してしまうところが面白い。
08アラバマ
「サザン・マン」の続編のような曲。エキセントリックなエレキ・ギターとメロウなペダル・スティール・ギターとの対比が効果的。人種差別主義者のアラバマ州知事を辛辣に批判した歌詞が話題になり、レーナード・スキナードのアンサー・ソングを生んだ。
09ダメージ・ダン
UCLAのロイス・ホールでライヴ録音されたアコギの弾き語りによるアンチ・ドラッグ・ソング。1972年11月にドラッグの過剰摂取で急逝する、元クレイジー・ホースのダニー・ウィットンのことを歌ったものだと思われる。名盤『今宵その夜』の予告編のような曲。
10歌う言葉
歌うことに対する覚悟を感じさせる曲。未来への決意を秘めたヤングの凛々しい歌声が素晴らしい。変則的なリズム・パターンや即興的なギター・ソロをフィーチャーしたインストゥルメンタル・パートも圧巻。名盤『ハーヴェスト』の最後を飾るにふさわしい曲。