ガイドコメント
2005年発表の12thアルバム。シングル「四次元 Four Dimensions」からのナンバーをはじめ、「LOVE」の言葉では括れない感情やカタチを記号に込めた本作。圧倒的なスケール感を持ったサウンド、詞が楽しめる。
収録曲
01Worlds end
リズム隊が刻む解き放たれたビート、何かが始まる予感、期待、そしてときめき。イントロで、すでに高揚感に満ちた衝撃を与えてくれるナンバー。導入部で描かれるリアルな情景は、聴く者をその世界にナチュラルに誘う。
02Monster
ダークでヘヴィな印象を与えるハード・チューン。確かな熱を含みながらも淡々と始まるのは、サビで爆発するための布石なのか? 誰の心にも潜んでいる怪物の存在、混沌とした狂気を感じとって欲しいナンバー。
03未来
アコギとブルース・ハープの音が目立つ。フォーキーな雰囲気でありながら、拡がりのあるサビのメロディではポップさも顔を覗かせ、バンドとしての一体感がストレートに伝わってくる。ポカリスエットCMソング。
04僕らの音
ストリングスに彩られたアコースティックなサウンド、心が満たされとても優しい気持ちになる。桜井独特の言い回しで、言葉のひとつひとつが素敵に響くラブ・ソング。“恋するだけの阿呆”になってみたいものです。
05and I love you
桜井のファルセットが周りの空気の色を優しく変える。“LOVE”の想いを記号に込めたアルバムで重要なポジションを占める、シンプルだけど深みのあるラブ・ソング。日清カップヌードル「NO BORDER」CMテーマ・ソング。
06靴ひも
会いたいという気持ちがポップなメロディにのってどんどん膨らんでいく。青春の香りを漂わせるナチュラルなサウンドが、穏やかにきらめく。何気ない日常でも、それを彼らが切り取って作品にすれば、鮮やかなドラマになるのだ。
07CANDY
タイトルだけを見るとポップでカラフルなナンバーと思いがちだが、ストリングスを用いたドラマ性のあるイントロからはじまる、深い味わいをもった正統派バラード。甘酸っぱさとほろ苦さ、恋する心模様は複雑な色を描く。
08ランニングハイ
「未来」「and I love you」とともに、シングル「四次元 Four Dimensions」に収録されたナンバー。さまざまな葛藤を抱えながらも、ポジティヴに明日に向かうことを歌うアグレッシヴなポップ・ロック。映画『フライ,ダディ,フライ』主題歌。
09Sign
“イントロ・フレーズの名手”小林武史のピアノが奏でる冒頭のフレーズが切なさたっぷり。プロデューサーも含め、バンドとしての一体感を強く感じさせる曲だけに、2004年レコード大賞受賞も納得。
10Door
シャウトする桜井のヴォーカルがハンドクラップと絡み合う。熱い想いを真空パックしたかのように生々しく伝わる臨場感、息づかい。深読みできそうなリリックもメロディにはまっている、ブルースを色濃く打ち出したナンバー。
11跳べ
歌詞に“みのもんた”が! 「みのもんたの逆襲」(とんねるず)以来かも。タイトルにマッチした浮遊感のあるアレンジといい、解き放たれた感が伝わってくる。メッセージ性を受け止めるというよりはノリで聴きたいナンバー。
12隔たり
テーマは少子化問題、それとも男女の心の機微? “0.05ミリ”の隔たりは単に物理的な壁ではなく、想いの距離でもあるのかも。そんなことを感じてしまう。衝撃のリリックと美しいメロディに彩られたラブ・バラード。
13潜水
生きていることの実感が桜井らしい言葉で表現されているミディアム・バラード。暗くなるのでも、はしゃぐわけでもない、ナチュラルなヴォーカルが聴き込むほどに深い余韻を残し、ゆったりとした気分にさせてくれる。