ミニ・レビュー
ゴスペラーズ一員の初ソロ作。得意のファルセット歌唱が甘美に響き渡るソウル/R&Bナンバーのみならず、夏川りみとのデュエット(6)でも伸びやかな歌声の魅力を放散。終始メロウに攻め倒す必殺バラード(7)に、今宵もどれだけの女性が泣き腫らすのであろうか。
ガイドコメント
ゴスペラーズの黒沢薫がソロ・デビュー。ラブ・ソングをテーマに、ヴァラエティに富んだ8曲を収録したミニ・アルバムで、ゲスト・ヴォーカリストに夏川りみ、SOYSOULが参加した、デビュー作にして大傑作だ。
収録曲
01Windy Love
鈴の音で始まるアップ・テンポなラブ・ソング。タイトルが表わす通り、風が吹いているように爽やかなサウンドが、気がつけば体がリズムを刻むような心地良さで響いてくる。時折奏でられる管楽器の音色が効果的なアクセントとなり、軽快さをさらに増しているのもイイ。
02電話のむこう
イントロで聴こえるプッシュホンの音や留守番メッセージの効果音が、近づきたいのに近づけない恋しい人との距離を演出。ゆっくりとしたメロディに重なる黒沢のヴォーカルが、恋しい人との縮まらない距離を表わすように、もどかしく切なく響くナンバー。
03After the Rain
「Rain〜」と歌うところ以外にハモリがみられず、時に語りかけるように、時に力強く、黒沢が歌い上げている。ゴスペラーズではハーモニーの美しさで定評がある彼が、自身の歌唱力を改めて深く感じさせると同時に、存在感を誇っているナンバー。
04Love a flava (featuring SOYSOUL)
軽快なリズムに流麗な女性コーラスがたゆたい、その上でしなやかに伸びる黒沢の声が、心地良く引き立っている。SOYSOULとのラップの掛け合いが、穏やかに歌うイメージのある黒沢のポップな一面を垣間見せている、魅力あるナンバーだ。
05Groovin'
軽快なビートが刻まれるなかで歌われる「Everybody 踊りだせ〜」という詞から、アッパーなメロディを想像させる。だが、意外にもゆったりと流れるようにスローで、そのギャップがクセになる。楽しい時が終わりなく続くと思わせる、グルーヴ感がたまらないナンバー。
06満天の星の夜 (duet with 夏川りみ)
夏川りみとのコラボレーション作品。静かに響くピアノの音色に夏川の透き通るヴォーカルが乗ると、目を閉じれば、どこまでも続く星空が浮かんでくるような雰囲気を携えている。さらに、夏川と黒沢の声が重なると、星の輝きが増すように曲も厚みを増し、しなやかにその世界観を広げていく。
07遠い約束 (Love Anthem Mix)
アルバム『Love Anthem』の先行リリース・シングルをアルバム・ヴァージョンとしてリミックスした作品。オリジナルよりもスロー・テンポで、ピアノ、ハープ、ストリングスというシンプルな構成が、メロディの美しさをいっそう引き立てている。
08Late-blooming
アルバム『Love Anthem』のエンディングにふさわしい、明るくアップ・テンポな作品。手拍子とコーラスが響くなか、伸びやかな黒沢のヴォーカルが心地良い。黒沢の魅力がふんだんに溶け込んだ、存在感あふれるナンバー。