ガイドコメント
86年のデビュー以来、常にシーンの第一線で活躍する彼らの2005年発表のベスト・アルバム。デビュー曲「Fight for Your Right」から2004年の「Ch, Check It Out」までを網羅した手頃かつ究極のセレクション。
収録曲
[Disc 1]
01ソー・ワッチャ・ウォント
ストレートなラップにオルガンをフィーチャーしたエキサイティングなトラック。ジミ・ヘンドリックス風ヘヴィ・ファンク・ナンバーだが、アダムが弾いてみせたギター・リフは、むしろ不調時のジミに近くて微笑ましい。
02ブラス・モンキー
03チ、チェック・イット・アウト
04ノー・スリープ・ティル・ブルックリン
05ヘイ・レイディース
ブラック・ミュージック検定試験にも使えそうなほど、サンプル素材が具だくさんなディスコ・ラップ。王貞治まで引き合いに出したナンパなリリックは、ヒップホップのマチズモ(=男性優位主義)な姿勢を茶化すための逆説的産物かもしれない。
06パス・ザ・マイク
ジョン・ボーナムのプレイを参照したドラム・ループに、ロン・カーターの即興ベース・プレイ。サンプリングながらも刺激的な顔合わせ。複数のジャンルを融合ではなく隣接させた、三食パン的な味わいのヘヴィ・トラック。
07アン・オープン・レター・トゥ・NYC
08ルート・ダウン
ジミー・スミスのライヴ盤『ルート・ダウン』に触発された曲で、同ライヴでのベース・ラインをそのまま使ったグルーヴィな作品。実際にジミー・スミス・バンドの伴奏でラップしたようなリアリティがたまらない傑作。
09シェイク・ユア・ランプ
アルフォンス・ムザーンのドラミングなど、津々浦々の音盤から採取した素材をつなぎ、美学さえ感じさせる不連続なビートとして結実させたファンキーな傑作。ダスト・ブラザーズの細密な仕事は、もはや寄木細工職人並みだ。
10インターギャラクティック
11シュア・ショット
ジェレミー・スタイグ吹奏のフルートをループさせ、ファンキーな香りを強めてみせたストレートなヒップホップ・ナンバー。ファンクなサウンドに対し、リリックはパンク。これまでの女性蔑視な物言いをラップで自戒している。
12ボディ・ムーヴィン (ファットボーイ・スリム・ミックス)
彼らがファットボーイ・スリムの「ロッカフェラ・スカンク」を気に入ったことから実現した顔合わせ。原曲も能天気なファンキー・トラックだが、そこにコミカルでキャッチーなエッセンスを加えたことで別種の曲調に生まれ変わっている。
13トリプル・トラブル
14サボタージュ
ツッコミどころ満載の刑事ドラマ風PVも最高だった傑作ナンバー。ファズ・ベースを薬味にした轟音ハードコア・サウンドは、たとえるならばファンキーなブラック・サバス。芯となるメロディらしき存在がないところも出色。
15ファイト・フォー・ユア・ライト
[Disc 2]〈DVD〉
01収録全15曲のPVまたはライヴ映像