ガイドコメント
2005年発表の初ソロ・アルバム。N.E.R.Dやネプチューンズのメンバーとしてあらゆるジャンルでヒットを生んで来た彼が満を持してリリース。Jay-Zやグウェン・ステファニーなどの豪華ゲストが多数参加した強力作。
収録曲
01キャン・アイ・ハヴ・イット・ライク・ザット (feat.グウェン・ステファニー)
乾いたドラムと“レディース&ジェントルメン!”のフレーズで鼓舞してくるヒップホップ・チューン。底を這うビートの上で展開されるファレルのクールなラップに、“どうなのよ?”とでも言いたげなグウェン・ステファニーのやさぐれた掛け合いが絶妙。
02ハウ・ダズ・イット・フィール
怒濤逆巻くホーンと“ホゥ!ホゥ!”という掛け声で扇動する高速トラック。クールな面持ちを保ちつつも、体内からジワジワとにじみ出てくるホットな感情に、“我慢しきれないぜ!”といった風で畳み掛けるファレルのラップが展開していく。
03ラスピー・シット
ファンキーで明朗陽性なギター・リフと緩めのキックのループをバックに展開するヒップホップ・トラック。ミディアム・テンポのなかで余裕を感じさせるライミングを披露しているが、タイトルは“耳障りな+クソ”。フックでの“ラスピー”なマウス・スクラッチにも注目。
04ベスト・フレンド
ネプチューンズ風の粘着質なベース・ラインが展開するミディアム・スロー・ヒップホップ。陰湿ではないマイナー調トラックにつられ、声もクールというより湿っぽいが、フックでの“LET IT OUT P!”(P=ファレル)の連呼でしっかりアゲてくれる。
05ユー・キャン・ドゥー・イット・トゥー (アディショナル・ヴォーカル:ジェイミー・カラム)
ジェイミー・カラムをフィーチャーした、深い哀愁が漂うマイナー調ソウルを基盤にしたスロー・トラック。ジャジィなベースとドラムが演出する濃密な空間を前に、ポーカーフェイスで“ヤクを売るお前も夢を掴める”とラップを展開。終盤では希望を感じさせるコーラスも。
06キープ・イット・プレイヤ (feat.スリム・サグ)
スティーヴ・トーマス名義でライティングにも加わった、スリム・サグをフィーチャー。ビヨンセ「ワーク・イット・アウト」が思い浮かぶチープなギター・リフのループとあくまでも淡々としたラップとのギャップが楽しい、ミディアム・ヒップホップ。
07ザット・ガール (feat.スヌープ・ドッグ)
スヌープ・ドッグを迎えたメロウなソウル・トラック。“ヘィ”という女性ヴォイスや、チャチャチャなどで使われる民族打楽器・ギロの“ギー”という音が絶妙なアクセントとなって、ムーディな熱帯夜の雰囲気を演出している。
08エンジェル
アルバム『イン・マイ・マインド』からのシングル・カット第2弾。陽気な曲調の上でクネクネとしたファルセットを披露しながら、“彼女は天使だぜ!”と歌う。アルバムでは、中盤のこの曲以前がヒップホップ・サイドで、これを皮切りにR&Bサイドがスタートする。
09ヤング・ガール/アイ・リアリー・ライク・ユー (feat.ジェイ・Z)
前半ではジェイ・Zをフィーチャー。フットワークの軽いやや速めのトラックにお馴染みのファルセット・コーラスが乗る。後半は、スティーヴィーを思わせるソウルフルなメロディにファルセットの大盤振る舞い。どちらも80年代風のシンセ・サウンドが魅力だ。
10テイク・イット・オフ (ディム・ザ・ライツ)
初期ジャム&ルイス風のポコポコとしたリズム・サウンドが、キュートなアクセントとなっているスロー・チューン。暑い夏の夕暮れを感じさせるAOR的要素を含んだメロウなサウンドのなかで、ファレルが涼しげなヴォーカルを披露している。
11ステイ・ウィズ・ミー (feat.プッシャー・T)
クリプスのプッシャー・Tを迎えた、メロウなミディアム・チューン。これまで盟友・クリプスと組むファレルは変態的で粘着質なサウンドを生んできたが、本作に限ってはその度合いも少なめ。バランスの良いファルセット加減で、ドリーミーなムードを演出している。
12ベイビー (feat.ネリー)
野性的なパーカッション系のリズムと硬質なギターのフレーズを巧みに挟み込んだダンス・トラック。それほどナヨナヨしていないヴォーカルが聴けるのは、大御所ネリーをフィーチャーしているからか。安定感抜群のネリーはさすがの存在感で、ファレルも一念発起。
13アワ・ファーザー
即効性はないが、中毒性の高い刺激的なビートを繰り出すダンサブル・トラック。サウンドはネプチューンズでもみせる高品質なものだが、異なるのは娯楽的ではなくファレルの内省を歌ったこと。“ファーザー”には神の意味もあり、“ジーザス”という詞も登場。
14ナンバー・ワン (feat.カニエ・ウェスト)
アルバム『イン・マイ・マインド』の最大のトピック、カニエ・ウェストとの共演によるシングル・カット第3弾。ミッド系のシンセをバックに、身軽なフットワークで駆け抜けるダンス・トラックは、マイケル・ジャクソンのヒット曲を彷彿とさせるクオリティの高さだ。
15ショウ・ユー・ハウ・トゥ・ハッスル (feat.ローレン)
スケートボード・P名義での、アルバム『イン・マイ・マインド』のエクストラ・トラック。次第に上昇するシンセをバックに、武骨なラップを展開。ローレンの語り風の絡みや、ブリッジでの打楽器によるアジアンなエスニック・サウンドが新鮮なダンス・チューン。
16スワガー・インターナショナル
中毒性の高い、インド風音階を思わせるキーボードのフレーズのループに先導されるヒップホップ・チューン。低温でうねる重厚なボトム・ラインがチープさを絶妙に抑え、タイトル同様スワガー(=威張った)なラップをかましている。