ガイドコメント
全世界のトータル・アルバム・セールスが4,000万枚を超える個性派女性ヴォーカリストの最高峰、アラニス・モリセットの10年の軌跡を1枚に集約した待望のベスト盤。シールのカヴァー「クレイジー」も収録。
収録曲
01THANK U
ありがとう、インディア。インド旅行体験がアラニスにもたらしたのは、すべてのものへの“感謝”の念。怒り、嫉妬、憎しみ……、精神の壮絶なカオスを生き抜いた者だけに訪れる真の魂の浄化を描いた、壮大なスピリチュアル・バラード。
02HEAD OVER FEET
大地を踏みしめるようなどっしりとしたギター・リフに、軽やかなハーモニカ。そんな青空が良く似合うフォーキーなロック・サウンドの中に、恋人との精神的な絆を高らかにかざした、初期のアラニスとしては、やけに健やかな作品。
038 EASY STEPS
インド趣味炸裂の瞑想的つぶやきから、怒涛の疾走へと展開する爽快ロック・チューン。インド旅行を通して“悟り”を得た、まさに鬼に金棒のアラニスがここにいる。彼女の精神的成長過程を凝縮したような、ドラマティックな作品だ。
04EVERYTHING
人間の二面性をモチーフにした、双子座のアラニスらしい作品。あなたがいい奴だろうが嫌な奴だろうが、そのすべてを受け入れる包容力が、この歌声にはある。まるで聖母のごとくやさしいオーラを放つ、珠玉のスロー・バラード。
05CRAZY
シールのヒット曲を、原曲をしのぐ迫力でカヴァー。デジタル処理を施した重厚なサウンドが渦巻く中、スリリングに綴られるこの世の狂気。クラブ・サウンドの強烈なグルーヴと彼女の圧倒的な歌唱力が相まった、超強力ロック・チューン。
06IRONIC
人生とは皮肉なオチの繰り返し。それでも、私たちは生きていく。そのやるせなさを歌にぶつけた、初期のアラニスらしいヘヴィなロック・チューン。アコースティックをほどよく織り交ぜた、センスあふれるサウンド・メイキングも絶妙だ。
07PRINCES FAMILIAR
MTVアンプラグド・ライヴで披露した未発表曲。アコースティック・サウンドに、彼女のオーガニックな歌声が映える秀逸のテイクだ。爽やかな中にも女の毒気を随所でちらつかせる、アラニスならではの危ういラブ・ソング。
08YOU LEARN
「生きて、学ぶのよ」……。想像しがたい絶望を経験した彼女が、自分へと宛てた死にもの狂いのメッセージ。人間本来の生命力を呼び覚ますような、持ち前の筋肉質なヴォーカルが響きわたる、ダイナミックなロック・バラード。
09SIMPLE TOGETHER
添い遂げられなかった恋人への想いを綴った、哀しくも美しいバラード・ナンバー。包容力を湛えた深い歌唱は、母性さえ感じさせる。髪を振り乱し、憎しみとともにデビューを飾った彼女に、誰がこんなやわらかな作品が想像できただろう。
10YOU OUGHTA KNOW
裏切られた瞬間、愛は壮絶な憎悪と化す。グランジの退廃的なサウンドに乗せて、不実な恋人へ叩きつけられる怒り。それは心に癒えぬ傷を抱えた世界中の男女に、身震いするほどの共感を与えた。女のロックの金字塔にして、彼女の最高傑作。
11THAT I WOULD BE GOOD
「大丈夫、私は大丈夫」……。辛くて、惨めで、死にそうな時、誰しもが贈る自分へのエールを、この美しいバラードに昇華させた。アウトロのフルートは自身によるものだが、その歌声同様、魂から湧き出る何かがある、心打つ音色だ。
12SISTER BLISTER
女たちが秘める、毒々しい力強さ。奥底でうごめくその不気味なエネルギーを歌に叩きつけた、アラニス節全開の超ヘヴィなロック・チューン。2002年の作品だが、95年のデビューが蘇る、まさに鳥肌モノのド迫力ナンバー。
13HANDS CLEAN
3rdアルバム『アンダー・ラグ・スウェプト』収録のシングル曲。実際に言われた台詞を取り上げながら、昔のボーイフレンドに語りかける。ギター・サウンドが、二人の秘密を守るかのように眩しく“クリーン”だ。
14MERCY
人間の9つの精神をテーマとしたジョナサン・エリアスのアルバム『The Prayer Circle』に収録されている、アラニスがハンガリー語で参加したナンバー。魂を打ち震えさせると同時に、浄化されていく安らぎをも覚える、圧巻のスピリチュアル・バラードだ。
15STILL
自らも神の役で出演した、映画『ドグマ』への提供曲。愚かな人間のすべてを受け入れる神の眼差しを描いた、インド・テイストの壮大なバラード。神聖にして神秘的な歌唱には、深い感動を禁じえない。映画は爆笑コメディだったのに……。
16UNINVITED
映画『シティ・オブ・エンジェル』の主題歌にして、グラミー賞2部門獲得の珠玉作。ストリングスの尋常ならぬサウンド・スケールをバックに、素足で大地を踏み締めるかのような力強い歌声を響かせた、圧巻のバラード・ナンバー。
17LET'S DO IT (LET'S FALL IN LOVE)
自らも特別出演した、映画『五線譜のラブレター』の挿入歌。巨匠コール・ポーターによるスタンダード・ナンバーを、まさにブロードウェイ然とした華やかさで歌い上げる。ドレスとハイヒールが似合う、いつになくシックな歌声は絶品。
18HAND IN MY POCKET
人間性って両極端。人生もまた、幸と不幸の背中合わせ。あなたが片手で何やってようが、ポケットの中の手は希望でいっぱいなはず。そんなアラニスの粋なメッセージが心を打つ、ヒッピー・テイストあふれるロック・チューン。