ミニ・レビュー
女優として味のある演技を見せる一方、シンガーとしても実力を発揮する彼女の1年10ヵ月ぶり2作目。11曲中9曲の歌詞を自作。(3)や(10)などタイトルからして独特の言葉の使い方がリスナーの心にいい意味で引っかかっていく。和のテイストを隠し味に含んだサウンドも面白い。
ガイドコメント
『蜜』から1年10ヵ月ぶりとなる柴咲コウの2ndアルバム。彼女自身の作詞曲「Glitter」「Sweet Mom」「memory pocket」といったヒット・シングルを中心に、バラードからアップ・テンポのナンバーまでヴァラエティに富んだ内容となった。
収録曲
01恋愛感染経路
アルバム『ひとりあそび』全11曲中9曲を柴咲コウ本人が作詞。なかでもオープニングを飾る本曲は、彼女の世界観が良く現われている仕上がり。REOによるトラックも彼女の歌詞を活かしたトラックで、好感が持てる。
02memory pocket-メモポケ-
メロディ的には8ビートのシンプルなメロディだが、倍のBPMで作成されたトラックが見事にあいまってユニークなサウンドに形成されている。クールな彼女のヴォーカルも良い。
03不自然な空気と果実
ハネ気味のファンキーなトラックと、あまりハネない彼女のヴォーカルとの相性がユニークなミディアム・チューン。恋愛の難しさを描いた歌詞はもちろん彼女によるもので、才能の高さをうかがわせる。
04Graybee
ハイ・テンポのBPMながらメロディアス。個性的なセンスを持った歌詞は、ヴァース部分に顕著。歌詞の内容もさることながら、ヴォーカル・スタイルやサウンドも含めて彼女のキュートな面が強調されている。
05合わせ鏡
どことなく和の雰囲気を持った歌詞は柴咲コウによるものではなく、V6や上戸彩などへの歌詞の提供で知られるMIZUEによるもの。ゆったりとしたメロディを、優しい歌声で聴かせてくれる。
06Glitter
J-POPでは珍しい、ジャズで多用される6/8のリズムを持ったナンバー。ジャズ・ナンバーではないものの、ジャズの影響を多分に受けたスウィング感たっぷりのナンバーに仕上がっている。
07Strange space
アルバム『ひとりあそび』での前曲「Glitter」に続く3連系の曲。テンポ的には12/8という感じだが、雰囲気的には早めのワルツといった感じ。ファルセットと地声を使い分けたヴォーカル・センスはさすが。
08濡れた羽根
2曲ある柴咲コウ以外の作詞曲のひとつ。個性的なシンガー・ソングライター、荘野ジュリとベテランの作詞家の松井五郎による歌詞は、柴咲の世界観とは少し雰囲気が違っていて、アルバム『ひとりあそび』のアクセントになっている。
09漆黒、十五夜
早めのテンポのワルツながら、キュートな音色のピアノや、チープな雰囲気のドラムといったユニークなアレンジによって、個性的なトラックに仕上げている。日本語の良さを活かした歌詞もすばらしい。
10若手クリエーター
柴咲コウのヴォーカリストとしてのセンスが垣間見られるナンバー。アルバム『ひとりあそび』の前曲「漆黒,十五夜」の大人っぽいヴォーカルとは違った、少しピッチが高いようなキュートな歌声で表現力豊かに歌っている。
11Sweet Mom
先にシングルとしてリリースされたナンバーで、アコースティック・ピアノをバックに歌う雄大なバラード。決して派手になり過ぎない、歌を聴かせることに主眼を置いたアレンジに好感が持てる。