ミニ・レビュー
2001年に結成された4ピース・バンド、Base Ball Bearのインディーズ時代の代表曲を集めた作品。80年代ニューウェイヴ・バンド(特にXTC)からの影響を感じさせるコード感と先鋭的かつ攻撃的なビートの融合は、2000年代のバンドの中でも圧倒的な個性を放つ。
ガイドコメント
4人組ロック・バンドのプレ・デビュー盤。“ポスト・ナンバーガール”と評判の高い彼らのインディーズ時代の代表曲を中心に収録。紅一点の関根史織(b)は映画『リンダリンダリンダ』の出演でも知られる。
収録曲
01CRAZY FOR YOUの季節
アルバム『バンドBについて』の幕開けを飾る、爽快なアッパー・チューン。小出の抜けのよいしっかりしたヴォーカルと紅一点ベーシスト関根の脱力系コーラスとの“CRAZY FOR YOU”のハモりは、絶妙なハズシ具合。
02ラビリンスへのタイミング
ドラムが叩きだす4つ打ち〜16ビートの波の上に激しいギター・カッティングが乗っかった、性急なダンス・ナンバー。思春期ゆえの希望と不安定な感情をあらわす言葉が入り乱れ、曲のムードが実にミステリアスなものになっている。
03極彩色イマジネイション
ざわめく街の風景を生き生きとした言葉で切りとった、賑やかなダンス・ロック・チューン。南国ムード漂うパーカッションやスウィンギーなギターを用いた、心躍る音色がいっぱい。音や歌詞の隙間から“楽しい!”という気持ちが溢れている。
04サテライト・タウンにて
オープニングのザラついたギター・リフなどの音から、彼らが公言する“ナンバーガール・フォロワー”であることが感じとれるナンバー。だが、4つ打ちなどナンバーガールにはない要素も組み入れて、彼ららしいダンス・ロックに仕上げている。
05彼氏彼女の関係
彼らお得意の4つ打ちダンス・ロック・ナンバーだが、ワウ・ペダルなどを使っていささかソウル風味の味つけに。内容は男女のすれ違いという重めの題材だが、小出の純朴な歌声のおかげで清潔感のある恋愛ソングになっている。
06YUME is VISION
1stシングルになった躍動感溢れるざっくりとしたロック・ナンバー。曲の構成や音数のシンプルさは、バンドの未熟さゆえ狙ったかは不明だが、“夢すなわちヴィジョン”と言い切る曇りのない歌詞の勢いを加速させている。
07夕方ジェネレーション
思春期の少年少女の気持ちの揺れを、“夕方”の切ない情景で表わしたミディアム・ナンバー。爽やかなギター・ストロークが楽曲全体に配され、非常に心地よい。また、“夕方”を“You gotta”とかけた言葉遊びも語感よく耳に入ってくる。
08SAYONARA-NOSTALGIA
幻想を捨てて“今日も普通がいい”と現実主義をうたった一曲。そんな歌詞とは反対に、小気味いい16ビートやリヴァーブがかかったギターなど、音はいたって明るめ。ゆえに普通=自然体でいこう、というメッセージにも解釈できる。
仕様
CDエクストラ内容:彼氏彼女の関係 (LIVE映像 SHIBUYA-AX 2005.11.6)紙ジャケット仕様