ミニ・レビュー
ブラジリアン・ミュージックの巨匠、セルジオ・メンデス。10年ぶりのアルバムは、旬のブラック・アイド・ピーズ、ウィル・アイ・アムをプロデューサーに迎えた意欲作。ヒップホップ/R&Bテイストを取り入れたハイブリッド・メンデス。“タイムレス”な楽しさにあふれる。★
ガイドコメント
ブラジル音楽界の巨匠、セルジオ・メンデス。今作はプロデュースにブラック・アイド・ピーズを迎えて制作。ブラジル音楽とヒップホップとの斬新な融合に成功している。ゲストも豪華だ。
収録曲
01マシュ・ケ・ナダ (フィーチャリング・ブラック・アイド・ピーズ)
1966年に発表し、爆発的大ヒットを飛ばした代表曲を、BLACK EYED PEASを迎えてセルフ・カヴァー。原曲のテイストは残しつつも、ヒップホップの先鋭的なビートを得て、フレッシュに生まれ変わっている。
02ザット・ヒート (フィーチャリング・エリカ・バドゥ&will.i.amオブ・ブラック・アイド・ピーズ)
ブラジル66の「SLOW HOT WIND」をサンプリングし、ウィル・アイアムが書き下ろしたナンバー。エリカ・バドゥの妖艶な歌声が、全身に絡み付くような艶かしさで、リスナーに迫ってくる。
03ベリンバウ/コンソラソン (フィーチャリング・スティーヴィー・ワンダー&グラシーニャ・レポラーセ)
誰もが知るブラジルの名曲を盟友・スティーヴィー・ワンダーを迎えてカヴァー。ボサ・ノヴァ調のゆるく、陽気なハッピー感を全面に押し出し、そっと高揚感をもたらしてくれるアレンジは流石の手腕。
04ザ・フロッグ (フィーチャリング・Qティップ&will.i.amオブ・ブラック・アイド・ピーズ)
ジョアン・ドナート作曲、自身でもカヴァーしたことがある往年の名曲「ザ・フロッグ」をウィル・アイアムとア・トライブ・コールド・クエストのQ-Tipを招いてリメイク。バウンシーな掛け合いが刺激的な連鎖反応を生み出している。
05レット・ミー (フィーチャリング・ジル・スコット&will.i.amオブ・ブラック・アイド・ピーズ)
バーデン・パウエル作曲、ブラジル66時代に多くの人を魅了した最高のラブ・ソングをセルフ・カヴァー。ジャジィでムーディなサウンドに乗せて、ジル・スコットの歌声が甘く香る。暑い夜を演出する一曲だ。
06バナナイラ (バナナ・トゥリー) (フィーチャリング・ミスター・ヴェガス)
ブラジルのスタンダード・ナンバー、「バナナイラ」をダンスホール・レゲエの帝王、ミスター・ヴェガスが猛烈レゲトンにアレンジ。腰を刺激するビートの即効性にフロアが炎上すること間違いなしのキラー・チューンに変貌している。
07サーフボード (フィーチャリング・will.i.amオブ・ブラック・アイド・ピーズ)
ボサ・ノヴァの巨匠、アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲をアッパーなヒップホップへ大胆にアレンジ。高揚感を煽るフレーズと掛け声の応酬。それらを導くかのようなウィル・アイアムのラップがあまりにも熱い。
08プリーズ・ベイビー・ドント (フィーチャリング・ジョン・レジェンド)
ジョン・レジェンドを迎えたボサ・ノヴァ調の心地良いナンバー。南風のように温かく、ゆるやかなメロディにジョン・レジェンドの伸びやかな歌声が加わり、ロマンティックな空気を醸し出している。
09サンバ・オブ・ザ・ブレッシング (フィーチャリング・マルセロ・デードイス)
ブラジル人ラッパー、マルセロ・デードイスを迎えた、ジャズ&ボサ・ノヴァ・フレイヴァーな一曲。こぼれ落ちるようなピアノのフレーズの美しさも秀逸だが、マルセロのラップがアクセントとして、曲に花を添えている。
10タイムレス (フィーチャリング・インディア.アリー)
オーガニック・ソウルの大物、インディア・アリーが参加したアーバンな一曲。ジャズ、ソウル、ボサ・ノヴァなどの多くの要素を含みつつ、すっきりとまとめた音は、聴き易さとは裏腹に実に奥深い。
11ルース・エンズ (フィーチャリング・ジャスティン・ティンバーレイク、ファロア・モンチ&will.i.amオブ・ブラック・アイド・ピーズ)
ジャスティン・ティンバーレイク、ファロア・モンチ、ウィル・アイアムという最強の布陣で書き下ろされた新曲。ブラジル66の「SO MANY STARS」をサンプリング。珠玉のR&Bバラードへと変貌を遂げた。
12フォー・ホップ (フィーチャリング・ギンガ&マルセロ・デードイス)
ブラジル人ギタリスト、ギンガとブラジル人ラッパー、マルセロ・デードイスを迎えた正統派のブラジル・サウンドな一曲。陽気なビートとシンガロング必至なメロディが、太陽の熱さのごとく、身体をじりじりと熱くする。
13ラメント (フィーチャリング・マオガニ・カルテット)
ブラジル・スタンダード・ナンバーをブラジル屈指のギター・カルテット、マオガニ・カルテットを迎えてリメイクした一曲。ラテン・フレイヴァーなギターの熱さを内包しつつ、ハウス、クラブ・ジャズを飲み込んだ屈指のダンス・チューン。
14ヘイ・ガール
ジョアン・ドナートによる名曲をクラブ・ジャズ&ボサ・ノヴァ風味にカヴァー。陽気なブラスとシンプルなメロディの反復というミニマルな曲の構成が高揚感をもたらす。お洒落でありつつも、ブラジル魂を感じさせる。
15イエス・イエス・ヨー (フィーチャリング・ブラック・ソート・オブ・ザ・ルーツ、チャーリー・ツナ・オブ・ジュラシック5、デビ・ノヴァ&will.i.amオブ・ブラック・アイド・ピーズ)
ボブ・ドロウの「COMIN' HOME BABY」をサンプリングした書き下ろし曲。ザ・ルーツよりブラック・ソート、ジュラシック5よりチャーリー・ツナ、そしてウィル・アイアム、デビ・ノヴァが参加という豪華布陣。