ミニ・レビュー
久々に音楽活動を再開した近藤真彦の25周年記念ベスト。ヒット曲10曲と本人選曲の名曲7曲の構成。「あの曲が入ってない」という部分もあるが、「こんないい曲もあったんだ」という新しい発見もできる一枚。フォーク調の(3)からメタルな(6)まで広い音楽性に驚く。
ガイドコメント
デビュー25周年記念企画第4弾。『MATCHY TRIBUTE』に収録された曲のオリジナルに加え、マッチ自身がセレクトした全15曲を収録。新旧マッチ・ファン大満足の決定版ベストだ。
収録曲
01ケジメなさい
ケジメのない自分に向けたワーニング・ソング。キラキラ色を放つキーボード、要所に入る女性コーラスが華やかさを演出。強気なわりにあどけないヴォーカルに不思議な魅力を感じるナンバー。
02情熱★熱風せれなーで
82年のヒット・ナンバー。当時、ツッパっている印象の強かったマッチが穏やかに歌っている点がポイント。恋の高揚感がテーマだが、カタカナや英語をふんだんに交えることで、アイドルらしくキュートな仕上がりに。
03夕焼けの歌
89年にシングル・リリースされたフォーク・バラード。恋人と過ごした町を出ていく際の、寂しさと悔しさの入り混じったやり切れない感情が綴られる。マッチのヴォーカルと哀愁漂う楽曲の相性が意外なほどに良い。
04ブルージーンズ メモリー
81年6月発表の3rdシングル曲。都会へ旅立つ恋人との別れのシーンを描いたポップ・ロック・ナンバーで、聴きどころはマッチが力強く叫ぶ“ばかやろう〜”。作家陣はデビュー曲以来続く、松本隆・筒美京平の黄金ペア。
05アンダルシアに憧れて
真島昌利が作詞作曲した89年のシングル曲。マフィアの男が酒場の女とのデートを果たせぬまま撃たれて死ぬという、映画のような1曲。“マーシー節”全開のサビやフラメンコを取り入れたアレンジなど、味わいどころが多い。
06ミッドナイト・シャッフル
妖艶な魅力たっぷりの悩ましいロック・ナンバー。エッジの効いたギターが縦横無尽に鳴り響き、スピード感を崩さない。どこか暗さを帯びた独特の曲の出す色、雰囲気がベテランのなせる技か。渋くキメます。
07スニーカーぶる〜す
80年発表のデビュー曲。作詞・松本隆、作曲・筒美京平という強力作家陣が手掛けたキャッチーなポップスで、大ヒットを記録。当然それなりの歌唱だが、80年代トップ・アイドルの醍醐味を味わうことができる。
08愚か者
日本レコード大賞を受賞したヒット・ソング。痛切な歌詞のバックで、心情を表わしたかのようなハードなギターが鳴り響く。男と女の所業の無常さを吐露したダークなテーマを、一アイドルが歌い上げる。
09ハイティーン・ブギ
ラメ入りのような派手なギターの音色が乱れ飛ぶ、踊れるロック・チューン。若いからこそ可能なハイテンションな歌詞、曲調が眩しく、やや気恥ずかしいところもある。ツッパリの心意気を潔く歌いあげる。
10ギンギラギンにさりげなく
誰もが1度は耳にしたことがあるであろう、マッチの代表曲。あどけないマッチの歌唱が愛らしい。その裏で、ギラついた赤を思わせるギターが唸る。こんな熱苦しい男の一直線ラヴ・ソングも、アイドルなら万事OK。
11哀しきハイスクール
松本隆・筒美京平の黄金ペアによるシャッフル基調のライト・バラード。電話で告白するが相手の娘に一笑に付された上、みんなに知れ渡ってしまうという酷な失恋ソング。1stアルバム『Thank 愛 you』収録曲。
12五月雨Good-bye
83年発表のアルバム『RISING』に収録された上品なポップ・ナンバー。五月の雨の中で迎える別れの歌で、スムーズな女性コーラスや洒落たアレンジが大人の雰囲気を演出。佐久間正英(作編曲)のセンスの良さが光っている。
13青春
86年7月発表のシングル曲。ろくでなしだった青春時代を後悔の念を持って振り返る哀愁ロック。歌謡曲風のメロディだが、ベタに聴こえないのはマッチが感情を込めて歌っている上、声質と楽曲がマッチしているからだろう。
14イヴの告白
竹内まりやが作詞したクリスマス・ソング。過度の演出もなく、打ち込みを効果的に使用しながらスムーズな展開を見せる品の良いポップ・ナンバーで、抑え気味に歌うマッチのヴォーカルも非常に味わい深い。
15夏のエアメール
89年7月にリリースされたアルバムのタイトル曲。かつて友人の女を好きになってしまったことで3人の関係を壊してしまった男の歌。美しいストリングスとマッチの落ち着いた声が、その傷をやさしく癒しているかのようだ。
16うそのない言葉
きわめて純度の高い愛を表現したバラード・ナンバー。童謡のようなオーソドックスなメロディも含むが、マッチの高音域での震える歌声が泣けるくらいに良い。彼を歌の下手なアイドルだと思っている人は一聴の価値あり。
17少年のこころ
嘘っぽいAORにならない程度のオシャレ感を有する高品位なポップ・ナンバー。“少年のこころ”、つまり物事を本気で楽しむ心や感動できる心を持ち続けたいと願う歌。「忙しい」と不平を垂れる大人に是非聴いて欲しい1曲。