ミニ・レビュー
ベスト・アルバムのコンプリート盤。リマスタリング音源に加え、後期シングル曲網羅のお得な2枚組。トリッキーな楽器部隊が、自由奔放なYUKIのヴォーカルをさらに魅力的に助長させる。そのバランスが絶妙だったガールズ・ロックの金字塔サウンドを今一度。
ガイドコメント
200万枚を売り上げたベスト・アルバム『FRESH』が完全盤として再登場。シングル・ヒット満載の17曲に加え、JUDY AND MARYとして最後の1年間に発売した記念すべきシングル4曲を追加収録。
収録曲
[Disc 1]
01POWER OF LOVE
JUDY AND MARYの記念すべきデビュー曲。夢を持ちながら現実とのギャップに悩む、20代後半の世代が持つ独特の焦燥感や絶望感を表現している。挫折を経験した彼らの率直な心情が胸を打つ秀作。
02BLUE TEARS
初々しさの残る、シンプルなバンド・サウンドが響く2ndシングル。切ない歌詞と、爽やかで明るい曲調の鮮やかな対比が、強く胸を締めつける。YUKIの澄んだ歌声が、曲全体に漂う「冬」を引き立てている。
03DAYDREAM
緊迫感溢れるメロディが印象的な3rdシングル曲。畳み掛けるようなマイナー・コードが、聴き手を何かに追われているような感覚に陥れる。白昼夢のようでありながら、リアルな切迫感のある歌詞にも注目。
04Hello!Orange Sunshine
2ndアルバム『ORANGE SUNSHINE』収録の、どことなくチープな雰囲気のあるパンキッシュ・ナンバー。四六時中バカ騒ぎしているような、女の子らしいパワーに満ちたバンド初期の代表曲の一つ。
05RADIO
06小さな頃から
2ndアルバム『ORANGE SUNSHINE』に収録された、彼らの代表的なバラード・ナンバー。誰もが感じる行き詰まりのようなネガティヴな感情を乗り越えて行こうという力強さが、落ち着いた曲だからこそ伝わってくる。
07自転車
2ndアルバム『ORANGE SUNSHINE』収録。中学生くらいのころを思い出させるような、センチメンタルで胸がキュンとなるような曲。曲中に自転車のベルの音を使ったりと、遊び心もチラリと見える。
08Over Drive
“走る雲の影を 飛び越えるわ”というサビのフレーズが有名な、YUKIのイメージに合った元気いっぱいのロック・ナンバー。一般的には、この曲によって彼らがブレイクを果たしたと言われている。
09KYOTO
10ドキドキ
3rdアルバム『MIRACLE DIVING』に収録。元気のいいギターのリフに始まり、さらに元気のいいYUKIのヴォーカルが映えるポジティヴな(?)失恋ソング。タフな女の子のイメージをうまく表わしている。
11そばかす
3rdアルバム『MIRACLE DIVING』に収録。それまでの曲とはちょっと歌い方の違うYUKIのヴォーカルが印象に残る曲。これほどキャッチーなナンバーをたった3日で作り上げたというのだから恐れ入る。
[Disc 2]
01クラシック
ベスト・アルバム『FRESH』にも収録された、彼らの代表曲の一つ。「今アツイキセキが〜」というキャッチーなサビの部分は誰もが聴き覚えのあるメロディだろう。バンドのキャリアにおいて最大のセールスを記録した。
02くじら12号
サッカーW杯フランス大会の頃にさまざまなメディアでへヴィ・ローテーションされた、彼らの代表曲の一つ。弾けるような若さが詰まったパワー・ポップで、とことんポジティヴなエネルギーに圧倒される。
03散歩道
5thアルバム『POP LIFE』に収録された、切ないミディアム・テンポの楽曲。ガールズ・パンク的なイメージから出発し、その後もノリのいいロック・ナンバーを作ってきた彼らの、ある意味到達点とも言えるだろう。
04ミュージック ファイター
5thアルバム『POP LIFE』収録の、98年にYUKIが喉を手術した後に初めてレコーディングしたロック・ナンバー。歌詞は“シュビドゥビ”ばかりで意味不明だが、とにかく歌いたいというエネルギーにあふれている。
05LOVER SOUL
5thアルバム『POP LIFE』収録。曲の構想は2ndアルバム制作の頃にできていた、という蔵出し的名曲。「だんだん不思議な夜が〜」という特徴のある歌い出しが印象に残る、バンド活動終盤を代表するヒット曲。
06Brand New Wave Upper Ground
07ひとつだけ
韻を踏んだ歌詞の響きが美しい、メロディアスなミディアム・チューン。めまぐるしいメロディ展開と包み込むような優しい歌詞が心地よく感じられる。夏が近付いてきた頃の季節によく似合う爽やかな楽曲。
08motto:
09ラッキープール
6thアルバム『WARP』収録。いかにも夏が似合いそうな元気いっぱいの曲で、YUKIのロリータ的な魅力が爆発している。その一方で解散をほのめかすような歌詞に、ファンは胸が詰まる思いだったろう。
10PEACE (strings version)
JUDY AND MARY最後のオリジナル楽曲としてリリースされた22thシングル曲。フル・オーケストラをバックに、表情豊かにゆったりと歌うYUKIの声は、このバンドの軌跡と成長をそのまま表わしている。