ガイドコメント
約1年半ぶりとなるオリジナル・フル・アルバム。個人的な視点と感情から創作された楽曲群でありながら、聴き手の心を揺さぶる強さと輝きに満ちている。シングル「超特急」なども収録。
収録曲
[Disc 1]
01リアル
7thアルバム『リボン』のオープニング・トラックは、これまでにはなかった打ち込みのビートとシンセが大胆に導入された1曲。性急なテンポ感のなかにもゆずらしさである、ハーモニカやアコギの音色を要所に配している。
02もうすぐ30才
常に等身大の唄を歌ってきた北川らしい1曲。「もうすぐ30才」と、2007年1月になる自身のリアルな心情を至極ストレートに歌にのせる。マンドリンの軽快なフレーズや跳ねるピアノが、バランスよく響く。
03冷めたコーヒー
考え事やらため息の多そうなゆずの“陰”、岩沢による1曲。喫茶店で物思いにふける情景、冷めたコーヒーをすする岩沢……。どこを切ってもナイーヴな彼の心情が覗ける内容に。アコギの巧みなイントロ・リフやコーラスにも注目。
04超特急
人気バラエティ番組『あいのり』の主題歌に起用された、2005年発表のシングル。諺の「光陰矢のごとし」をゆず風に言えば、「超特急」。ホーンのアレンジが鮮やかにポップで、メロディアスな楽曲をひときわ華やいだものに仕上げている。
05しんしん
ピアノとストリングスに彩られた、雪の降る季節の恋模様。センチメンタルな北川がここではアコギを横において、ヴォーカルに徹する。別れから愛する喜びと苦しみを知ったと歌う、切ないラブ・ソング。
06ニンジン
ニンジンを目の前にぶら下げられた馬に、自分の人生を投影した1曲。エレキ・ギターの音色を強く打ち出し、「たづなを断ち切って走り出せ」と熱く歌う。北川のロック・サイドが存分に発揮されたナンバーだ。
07ヒーロー見参
ホーンとハモンド・オルガンで奏でられる、洒脱でオトナな雰囲気。脱力タイトルとは裏腹に、どこかジャジィなテイストもしのばせて、ハーモニカの音色もジャムるパートの一部に聴こえるから面白い。
08チェリートレイン
バンド・アレンジにホーンの音色を加えて、軽やかに聴かせるミディアム・ポップ・チューン。間奏にゲストで参加した南海キャンディーズのコントのような喋りを挿入させた、サウンドとのアンバランスさが絶妙。
09ダスティンホフマン
「もし、ダスティン・ホフマンだったらこの部屋を飛び出して……」と、彼が出演した映画『卒業』のラスト・シーンに喩えて終わった恋を憂いだ1曲。タイトルからして分かりやすい、ウブなラブ・ソング。
10夕立ち
フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドを意識したであろう分厚い音像が印象的な1曲。ギターにストリングス、キーボードetc...単調にならぬように工夫が施されたサウンド・メイキングに拍手。
11陽はまた昇る
2005年発表の両A面シングル曲で、ゆずの肯定的精神姿勢を存分にアピールしている1曲。力強いサックスのブロウが効果的に響く、テンポ感のよいメロディアスな楽曲だ。フジテレビ系『めざましテレビ』のテーマ・ソング。
12一っ端
年を重ねたからこそでてくる不安や悩み。些細なことではあるが、「いっぱし」と呼ばれるのはどこからなんだろう? とまたもや自問自答を繰り広げる、岩沢作のシンプル・ナンバー。素朴なアレンジがとても新鮮だ。
13女神
「元町口でまってた」など、御当地を歌詞に覗かせるあたりが、ゆずの飾らない雰囲気をかき立てる。お腹に子どもを宿した「君」を「女神」と青臭く歌う、哀切入り混じったラブ・ソング。北川悠仁作。
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