ミニ・レビュー
5枚目のアルバムは、タヒチ80、リップスライムのSU、アグリー・ダックリングら豪華ゲストが参加のアッパー・ポップ絵巻。ストイックさは影をひそめ、ひたすらファニーでキュートなサウンド、ハッピーな世界が“想像”される仕上がり。みんな気になる「軽くヤバい?」CMソングは(5)です。
ガイドコメント
2006年2月リリースのオリジナル・アルバム。“Sound Concierge”シリーズの第7弾にも収録された「Tell Me」をはじめ、彼らしい高品位なトラックが満載。韓国の注目株CLAZZIQUAI PROJECTの参加にも注目。
収録曲
01シャンシャン
田中知之のソロ・ユニット、ファンタスティック・プラスチック・マシーンが、2006年2月にリリースしたアルバム『イマジネーションズ』のオープニング・ナンバー。シンプルにただ、中国語で淡々とリスナーに語りかけ、幕開けを飾るにふさわしく、ふつふつとアルバムへの期待を増幅させる。
02ファンファーレ (feat.TAHITI80)
タヒチ80をフィーチャーした、FPMならではのピコピコ・ハウス・テクノ・サウンド。ポップでありながらも、入念に作り込まれた精緻なアレンジと、クールに歌われる英語詞がマッチしている。
03ドンチューノウ? (feat.CLAZZIQUAI PROJECT)
クラジクワイ・プロジェクトをフィーチャーした近未来サウンドが心地よい。全篇を通じて鳴らされる印象的なギター・リフ、囁くように歌われるヴォーカル、心臓の鼓動のように淡々と4分打ちされるバスドラにトリップすること間違いなし。
04テルミー (feat.BENJAMIN DIAMOND)
ベンジャミン・ダイアモンドをフィーチャーしたハードかつ前衛的なナンバー。無機質に刻まれる歪んだギター・ノイズと4分打ちのバスドラ、奇妙に歪んだ歌メロ&ヴォーカル……。SF的な世界に連れて行かれるような錯覚に陥る1曲。
05パパルワ
各種ノイズ、楽器のサウンドをコラージュしたアルバム『イマジネーションズ』中の佳品。「軽くヤバイ!」でお馴染みのサッポロ「スリムス」CM曲としてヘヴィ・ローテーションされていたので、耳にした方も多いはず。聴いているだけでニンマリしてくるユーモラスな1曲だ。
06ダンス・ダンス・ダンス・ダンス (feat.SU (RIP SLYME))
RIP SLYMEのSUをフィーチャリング。一聴すると「レコードの音飛びか!?」と勘違いしてしまうような編集が魅力の1曲。たったひとつの単語にリズムを与えるだけで立派に音楽として成立させた手腕は、お見事の一言。
07ヒア・イン・マイ・マインド (introduction to “slippin' on down”)
アルバム『イマジネーションズ』の8曲目、「slippin' on down」へのイントロダクション・トラック。ボブ・アーキンのナレーションが淡々と流れるだけなのに、そこから感じる奇妙な“サウンド”はいったい何だろう。
08スリッピン・オン・ダウン (feat.BOB ARKIN)
体内に流れる自然のリズムを揺り動かすベース・ラインに寄り添うよう、にユニゾンで語り歌われるボブ・アーキンのヴォーカルが胸にしみるナンバー。アコースティック・ピアノの和音(自然)と打ち込みのリズム(人工)の調和が見事。
09ア・ワールド・ウィザウト・ラヴ (feat.BONNIE PINK)
強烈な個性を放つ孤高の歌姫、BONNIE PINKをフィーチャーしたバラード・ナンバー。重く陰鬱なピアノの和音と重々しく刻まれるハイハットに、BONNIE PINKの色気あるヴォーカルが絡み合う。
10フレンチ・キス
総演奏時間10分弱にも及ぶ、アルバム『イマジネーションズ』最長のナンバー。ハウスチックな打ち込みサウンドを核にしたインストゥルメンタルで、単純でありながら精緻に構成されたリズムに、熱いサックスが真っ向勝負を挑み、聴く者を痛快にトリップさせてくれる。
11オブセッション
どこまでも淡々と、人間の息づかい、体臭、鼓動、感情を排し、究極のデジタルを指向したようなインスト・ナンバー。ミクロの音要素を計算し尽くした配置で提示し、まるで無菌室に入ったかのような錯覚に陥らせる。
12テイク・ミー・アウェイ (feat.UGLY DUCKLING)
アグリー。ダックリングをフィーチャーしたチャーミングなヒップホップ・ナンバー。ブギウギ・ピアノを彷彿とさせるコミカルな鍵盤と、聴いているだけで口元が緩んでしまう愉快なヴォーカルが楽しい1曲。
13エンド・ロール
クラリネットのコミカルでありながらどこか寂しげなサウンドで、1枚のアルバムのエンディングを表現。道化であるピエロがなぜか物悲しく見えるのと同じ感覚だ。この曲で、アルバム『イマジネーションズ』の世界にお別れ。