ガイドコメント
2006年の単独来日ツアーを記念した企画ベスト・アルバム。バンドの中心人物J.マスシスがセレクトしたベスト曲の他、2005年のライヴ音源も収録。オルタナ代表格ならではの轟音ギター&美メロを堪能できる。
収録曲
01LITTLE FURY THINGS
いきなり飛び込んでくる歪んだ轟音ギターの圧倒的な迫力に息を飲んだかと思えば、憂いを含んだメロディとヴォーカルが体中を包み込む。糖分を多く含んだキャンディのように中毒性が高い、混沌としていながらもポップなサウンドだ。
02REPULSION
ルー・バーロウの野太いベースがスタートを切って落とし、乾いたギター音が駆け抜けるロック・チューン。酔っぱらったようにフラフラと千鳥足を踏むJのヴォーカルが、今にもキーを外しそうでハラハラさせられるのはご愛嬌。
03FREAK SCENE
疾走感のあるギターが時折フィードバック・ノイズを吐き出しながら走り抜けていくナンバー。UKシューゲイザー的な桃源郷サウンドでありながらも、ソニック・ユースなどのUSオルタナティヴなパンチ力も兼ね備えており、実に面白い。
04JUST LIKE HEAVEN
ベースを軸にし、アコギ、ファズ・ギター、ノイズが絡み合ってカラフルなサウンドを構築。中盤でいきなりシャウトやメタル的なラウド・ギターが炸裂して驚かされる、「変人」J.マスキス率いるダイナソーJr.らしい遊び心あふれたナンバー。
05FORGET THE SWAN
ギター、ベース、ドラムが最低限の音だけを鳴らし、高密度なバンド・セッションを繰り広げるナンバー。いつもならファズ・ギターでガツンと聴かせるダイナソーらしからぬアプローチだが、ややフォーキーなサウンドからあふれ出す叙情性はかなりのものだ。
06BUDGE
ミサイル爆撃のように豪快な轟音ギターが耳をつんざくナンバー。轟音ギター・ミーツ・パンクとも言うべき破壊力とスピードは、通過した後に塵ひとつ残さないほどの圧倒的なパワーをはらんでいる。
07THE LUNG
ヴォーカルはほとんどなく、ファズを歪ませたギターがとにかく唸りまくる爆音世界。美しいアルペジオから破壊的なノイズへと移行するさまは、あまりにダイナミックで興奮せずにはいられない。ライヴでも人気の高いナンバーだ。
08BULBS OF PASSION
フリーキーなギターに乗せてJがフラフラ歌い出したかと思えば、グランジ、ハードコアばりの超絶プレイを繰り広げるというという、躁鬱の激しい一曲。突然襲ってくる爆音はハンマーで後頭部を殴られたかのような衝撃を与えてくれる。
09RAISANS
心地良い疾走感をともなったファズ・ギターが心地良いナンバー。膨大なギター・ノイズがダムが決壊を起こしたようないきおいで、こちら側に一気になだれ込んでくるサウンドの迫力はとにかく凄まじい。クライマックスで披露されるJのギター・テクも必聴!
10NO BONES
ルーズなリズムに乗せて紡がれるダークでメランコリックなロッカ・バラード。暗いサウンドの中に浮かび上がるJの憂鬱なヴォーカルが、聴く者をどこまでも深い闇へと誘う。不安や怒りが一気に爆発するような後半のギターの暴走っぷりはかなりカオティック。
11GARGOYLE
暗黒のギター・サウンドと呪うかのようなJの歌声。元々憂いを含んだJのヴォーカルだが、この曲では特に低いので、化けて出そうなぐらい本当に怖い。悪魔的な恐ろしさと魅惑をもったダーク・サイドなロックンロールだ。
12IN A JAR
ブンブンしなるベースの音が全体を牽引する、ローファイ・サウンドが特徴的なナンバー。一気に毒の抜けた感じがするが、ダイナソー独自の甘いメロディが際立った曲ともいえる。後半はもちろん得意の爆音ギターが炸裂。
13YEAH WE KNOW
メタルかと思うくらい音の壁が迫ってくる重厚なナンバー。かなりヘヴィなサウンドを吐き出しているにもかかわらず、そう感じさせないのはメロディが美しいから。シューゲイザーとメタルの奇跡的な融合といえる一曲。
14SLUDGE FEAST
ファズ・ギターとフィードバック・ノイズが描き出す爆音のブルース。空間という空間を埋め尽くすほどの音の洪水の中に灯る、メランコリックなJのヴォーカルが美しい。破壊と再構築が繰り返される音の絵巻に酔いしれる一曲だ。
15FORGET THE SWAN
16FREAK SCENE