滴草由実 / 花Kagari

ミニ・レビュー

R&B系シンガーのサード・アルバム。アプローチは多彩だが、バラード～ミディアムの曲が多いしっとりした作品で、せつなくセンチメンタルなメロディばかり。彼女のヴォーカルは広い声域を生かして表現力に富み、特にバラードでの情感を込めた歌声が見事。

ガイドコメント

ドラマ主題歌となった「花篝り」や、iTunes Music Store限定発売の「Communication break out」が話題となったシンガー、滴草由実の3rdアルバム。小気味良いグルーヴが心地良いR＆Bナンバーなどを収録。

チャート

収録曲

01Tonight be my love～待ちきれない～

スクラッチを効果的に挿入したヒップホップ系のトラックと太いグルーヴを感じさせるメロディが融合したダンス・チューン。スムースにドライブしていくヴォーカルには、品のいいセクシャリティが宿っていて、気持ちいい。

02花篝り（はなかがり）

ほんのりと和風のテイストを活かしたノスタルジックな旋律が、聴く者の心を捉えるミドル・バラード。好きな人を深く深く思い、“逢いたい”という感情がゆっくりと溢れ出す様子を繊細な言葉遣いで綴った歌詞も、印象的。

03時よ

アコースティック・ギターの土っぽい香りを含んだ響き、パーカッションによる素朴なビートがひどく心地いい、アーシーな雰囲気のナンバー。曲の全体に配されたコーラスも、楽曲に美しい奥行きを与えていて、秀逸。

04君の涙を無駄にしたくない

デリケートに震えるエレクトリック・ギターの歪み、大らかな力を感じさせるストリングス、ロック的ダイナミズムをガツンと伝えるビート……綿密に構築されたサウンド・メイクが刺激的なナンバー。伸びやかなヴォーカルも、いい。

05Who you gonna be

最新鋭のダンス・ビートを導入したトラック、意外性に満ちた展開、そして、一度聴いただけで口ずさめるようなポップな旋律。全体的にはR＆B系のポップ・チューンなのだが、随所に豊かなアイデアが盛り込まれていて、楽しい。

06I'm sorry mom

スパニッシュなイメージのギター、ラテン・フレイヴァー溢れるリズム・アプローチが切ない心情をくっきりと浮き上がらせる。母親に対する“ごめんなさい”と感謝をストレートに描いた歌詞とのバランスも素晴らしい。

07Baby fall in love

どんなに気持ちにストップをかけようとしても、どうしても“君”のことを想ってしまう……。キュート＆ラブリーな恋愛感情をテーマにした楽曲。ソウル・ミュージックの要素をセンス良く取り入れたサウンドも心地いい。

08You're my life

ブラック・ミュージックのフレイヴァーを採り入れたアレンジメント、ゆったりと快楽を呼び起こすリズム、きっちりと洗練されたメロディがバランスよく配された、AOR風ナンバー。大人っぽい雰囲気のヴォーカルも、いい。

09Do you love me?

一番知りたいことは、あなたが私を愛してるかどうかってこと。切ない心情を美しい旋律がくっきりと描き出す、バラード・ナンバー。リリカルなイメージのピアノと温かいストリングスを中心とした音作りも、よく似合っている。

10甘い記憶

ダウン・トゥ・アースな雰囲気のパーカション・アレンジ、ノスタルジックにして土着的なアコースティック・ギターの音色、そして、ゆったりと浮遊していくメロディ・ライン。実験的かつ根源的なサウンドが印象的なナンバーだ。

11傷ついても

傷ついてもいい、いつまでも君のそばにいたい。深い愛情と切実な決心が同居したミディアム・バラード。繊細な震える感情と大らかに解放されていく愛情を表現するヴォーカルが絶品。クラシカルなストリングス・アレンジも素晴らしい。

タイアップ

アーティスト

滴草由実
鹿児島生まれのシンガー。コンピレーション・アルバム『Lady Mastersoul』収録の曲「Don't Say Don't Love」がUSENインディーズ・チャートで初登場1位を記録して話題となる。2003年7月、シングル「Don't ……

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