ミニ・レビュー
2005年結成10周年を迎えたドイツのユニットの2年ぶりの5枚目のアルバム。ポップとクラシックの融合、という彼ら特有の試みは本作でも健在だが、ルックスもキュートなジェイドの歌にさらに女性らしさが加わったのも印象的だ。浜崎あゆみ提供曲5曲をセルフ・カヴァー。
ガイドコメント
5枚目のオリジナル・アルバム。CMソングとして話題となった「Addicted」やバッハの“無伴奏チェロ組曲”を引用した「Here Comes〜」など、クラシカル・ダンス曲を中心に、彼ららしい個性的なポップスを聴かせる。
収録曲
01GRACELAND
2006年3月にリリースされた4thアルバム『アディクテッド』のオープニングを飾るナンバー。3連のリズムをバックに、3代目ヴォーカリストのジェイドがセクシーに歌い上げる。クラシカルでありながらポップな表現が魅力の1曲だ。
02ADDICTED
チェロとヴァイオリンの壮烈なイントロが印象的な4thアルバムのタイトル・チューン。全編にストリングスを配したスウィートボックスお得意のアレンジが冴えわたる。ジェイドの華麗でありながらセクシーなヴォーカルがぴったりフィットした大人のナンバーだ。
03HERE COMES THE SUN
バッハのプレリュードを大胆にアレンジして楽曲に採り込んだテクノ・ナンバー。クラシックの名曲とジェイドの歌うポップ・ナンバーが、同時に流れていながらお互いに影響し合い絡み合う、絶妙のアレンジは彼らならでは。
04PRIDE
堅めの音色に設定したアコースティック・ピアノのアルペジオをバックに、ほとばしる感情をヴォーカルに乗せて表現した荘厳なバラード・ナンバー。当時20歳そこそこだったジェイドのヴォーカリストとしての表現力にただただ脱帽。
05BOLD & DELICIOUS
ハウス風味のリズム・トラックをバックに、大人の雰囲気を醸し出すナンバー。浜崎あゆみ提供曲のセルフ・カヴァーで、パナソニック「D-Snap」CM曲としてオンエアされ、ご存じの方も多いはず。セクシーかつリズミックなヴォーカルと、緻密に計算されたアレンジが聴きどころだ。
06EVERY STEP
失恋した女性の心の苦しみ、愛しい男性への忘れ得ぬ思い、眠れぬ夜の辛い感情を切々と歌い上げるミディアム・バラード。淡々と流れる打ち込みのリズム、全編通して流れる荘厳なストリングス、感情豊かに歌い上げるヴォーカルが何とも美しい。
07BREAK DOWN
愛する男性への募る思い、伝わらない気持ち、上手く付き合えない心の苛立ちを切々と歌い上げた大人のラブ・バラード。女性なら誰でも経験するであろう、愛する男性への感情を美しいメロディに乗せて表現している。
08DREAMS
淡々とした打ち込みのリズムが気持ちいい、ラブ・ポップス・ナンバー。アコースティック・ピアノの美しい演奏とジェイドの歌う素直な感情が相まって、切ない気持ちにさせられる。メロディが素晴らしく美しい1曲だ。
09LADIES NIGHT
激しい打ち込みのリズムにヒップホップ風の投げっぱなしヴォーカルを乗せた、ポップなエレクトロニカ・ナンバー。リズムを強調した前半部分と美しいメロディを前面に押し出した後半部分の対比が効果的なポップ・ソングだ。
10VAYA CON DIOS
ジャングル風のとげとげしいリズム・パターンが全編を貫きながらも、美しいメロディと可憐なジェイドのヴォーカルがかわいらしい雰囲気を醸し出しているハウス・ナンバー。コーラスとピアノのアレンジが何とも美しい。
11BEAUTIFUL GIRL
8分で刻むディストーション・ギターとオーソドックスなロック・パターンのドラムに乗せて歌われる、お手本のようなミディアム・ロック・ナンバー。キャッチーなメロディを可憐に歌い上げるジェイドのヴォーカルがかわいらしい1曲。
12OVER & OVER
深めにかけたディレイが印象的なシンセのアレンジに、美しくキャッチーなメロディが絡み合った、テクノ・ポップ・ナンバー。音楽好きの誰が聴いても気に入ること請け合いの、良質のポップ・サウンドだ。新緑がきれいな初夏にぴったりの1曲。
13HAPPY TEARS
逆境にあっても力強く自分を励まし続ける思いを感情込めて歌い上げた、シリアスなバラード・ナンバー。荘厳なストリングスとスケールの大きいジェイドのヴォーカルに圧倒され、胸打たれてしまう。失恋した女性にオススメ。
14MILLION MILES
アコースティック・ギターのコード・ストロークに乗せて歌われる、フォーク・ロック調のバラード・ナンバー。100万マイル、100万の嘘、100万の夜に100万の傷……。何度も歌われる“100万”の言葉に秘められた思いは深い。