ミニ・レビュー
NYのロウワー・イーストサイドのバー“リビング・ルーム”から誕生したおしゃれで楽しいポップ・グループ。W.ネルソンらのアメリカン・クラシックをモダンなカントリー・タッチで楽しませる。驚くなかれ、のびやかなヴォーカルはノラ・ジョーンズ!
ガイドコメント
ノラ・ジョーンズ率いる5人組バンドの1stアルバム。オリジナル曲の他、ウィリー・ネルソンやエルヴィス・プレスリーのカヴァーを披露。各メンバーの実力もさることながら、やはりノラの圧倒的な存在感が光る。
収録曲
01ROLY - POLY
跳ねるような陽気なインストから始まり、ノラとリチャードの息のピッタリ合ったヴォーカルが絶妙なウェスタン・スウィング・ナンバー。メンバーのかけ声も入ったりと楽しい雰囲気に満ちているこの曲は、食べることを我慢できない少年の歌。
02I'LL NEVER GET OUT OF THIS WORLD ALIVE
ハンク・ウィリアムスが最後にレコーディングしたという逸話つきの曲で、カントリーとR&Bを融合させたかのようなビートが効いたミドル・テンポ・ナンバー。リチャードのヴォーカル、ノラのハーモニー、ジムのエレキの絡み合いが心地良い。
03LOVE ME
エルヴィス・プレスリーのヒット曲をノラがブルース心を添えて軽やかに、そして、熱い気持ちで歌うブルージィなナンバー。演奏はノラのサポートといった感じで溶け込んでいて、やはり彼女が弾くピアノが何よりも魅力的だ。
04IT'S NOT YOU IT'S ME
ゆったりと漂うほんわかしたカントリーをイメージさせるリズムに、対照的ともいえるような別れを告げる内容の歌詞を、ノラが少し寂しげに歌うナンバー。ノラに寄り添うようなリチャードのハーモニーや静かに物語るギターが心を魅了する。
05BEST OF ALL POSSIBLE WORLDS
クリス・クリストファーソンが70年に発表した1stアルバムからの曲で、リチャードのヴォーカルが見事にはまったカントリー・ソング。リズム感覚抜群なドラミングが演奏をリードしていき、お互いの楽器が会話をしているかのように鳴り響く。
06NO PLACE TO FALL
テキサス・フォークの最重要人物、タウンズ・ヴァン・ザントの曲。それぞれの音の質がクリアに伝わったシンプルな構成のサウンドに、リチャードの儚げなヴォーカルが胸を締めつけるバラード・ナンバー。ノラのハーモニーがそっと添えられている。
07ROLL ON
ベーシスト、リー・アレキサンダーのオリジナル曲。ニューヨーク・テイストが効いたフォーク〜カントリーを凌駕するスウィート・ナンバー。ノラの透き通るようなヴォーカルに柔らかいエレキ・ギターが全体を包み込む。
08I GOTTA GET DRUNK
ウィリー・ネルソンの曲をノラの放つ独特なヴォーカルでさらに魅力的なものとなったカントリー・ソングのカヴァー。ジム・カンビロンゴによる陽気なギター・フレーズが、とめどなく溢れてくるさまも必聴ポイント!
09STREETS OF BALTIMORE
トムポール・グレイザーとハーラン・ハワードの共作。テネシーからボルティモアにかけてのストーリーが、リチャードによって情緒豊かに歌われるポップ・ナンバー。爽やかに跳ねるピアノとハーモニーはノラによるもの。
10EASY AS THE RAIN
ジムとリチャードによる共作。ジムの両親のために作曲した曲でもあり、二人の解釈がとても美しいストーリーを描くバラード・ナンバー。リチャードとノラのデュオによるイマジネーション豊かなヴォーカルに魅了されて楽しい楽曲だ。
11TENNESSEE STUD
「1,2 ,」とかけ声で始まる南部男の物語が、安定したリズム隊とリチャード&ノラによって陽気に歌われるカントリー・ナンバー。曲間のギター・ソロがたまらなくかっこいい! 民謡歌手、ジミー・ドリフトウッドのナンバーのカヴァー。
12NIGHT LIFE
メンバー全員がリスペクトしているというウィリー・ネルソンの代表曲のカヴァー。ノラのブルージィな歌声が辺りに響きわたるかのごとく輝いているブルース・ナンバー。楽器群は各々のブルースを追及した美しさを秘めている。
13LOU REED
リチャードとリーが長い距離のドライヴで笑いながら作曲した、という冗談の中から生まれた曲。リチャードとノラによる遊び心溢れるヴォーカルに、ゆったりとした陽気な演奏が微笑ましいポップ・ナンバー。