ミニ・レビュー
とくに際立つ術を施すわけでもなく、ただひたすら“歌”を届けたいという気持ちを形にした作品が並んだ10枚目のアルバム。どの楽曲も、ドラマティックに表情豊かにと作り上げている。もちろん歌に寄り添うという形を取りながら、すべてが輝いている。
ガイドコメント
2006年3月発表の通算10枚目となるオリジナル・アルバム。爽快なポップ・チューン「one summer day」やアッパーなロック曲「エンドロール」など、デビュー11年目の意気込みを感じさせる好楽曲が満載。
収録曲
[Disc 1]
01零と宇宙
ポンと背中を押してくれるような勢いのあるクラップから始まる、爽快なポップ・ロック。自由で突き抜けた感のあるバンド・サウンドが小気味い。作曲した都のポジティヴなキーボード・プレイが印象的だ。
02まるごし
ギターとベースのリフが激しく絡むロック・チューン。熱をはらんだ松岡のヴォーカルが「まるごし」というタイトルとは裏腹に、声という武器を思う存分に振りかざしながら、アクティヴに動き回っている。
03growing up
11枚目のアルバム、そして11年目を迎えた彼らの歩みとオーバーラップさせたくなるリリック。切なさと懐かしさをブレンドし、ネクスト・ステージへ向けた想いを昇華させた、メロディアスなミディアム・チューン。
04one summer day
デビュー10周年を記念する特別企画の第3弾としてリリースされたシングル。全編を彩るストリングスが、疾走感のあるヴォーカルと絡んで、夏の空気感を引き出している。爽やかだけど切ない彩りを持ったナンバー。
05願いよ 届け
松岡のヴォーカルがひたすら優しい。静かに心に染み入るスロー・バラード。ピアノとストリングスをメインにしたサウンドで、饒舌になりすぎない熱を持ったリズム隊もしっかりとボトムを支えている。
06Whatever
爽やかに展開するミディアム・チューンで、ベースの黒柳の手によるクセのない素直なメロディが心地いい。歯切れのいいサウンドがポップ感を高めている。さりげないラブ・ソングっていう雰囲気のリリックがいい。
07sunday diary
ジル(豊田)の曲らしくギターが全面に押し出され、アウトロまで手を緩めることなくディープに迫る。ダークな色彩を纏ったサウンドはSOPHIA流歌謡ポップといったところか。聴けば聴くほど病みつきになりそう。
08brother&sister
畳み掛けるように加速するギター・リズムに、鬱屈とした時代を駆け抜けるヤング・ジェネレーションの衝動を叫ぶ。ヴォーカル松岡充の頑固ロッカーぶりがとにかく小気味良く、やり切れない破壊的自我が切ないナンバー。
09game
人生を戦い抜くための強い信念を歌った、スピード感溢れるロック・チューン。沸点まで達した松岡のヴォーカルがいきなり先制攻撃を仕掛ける。息もつかせぬまま攻め立てるバンド感全開のサウンドが熱い。
10エンドロール
2006年リリースの通算29枚目のシングル。未来への希望を抱いて別れを決めて、力強い第一歩を踏み出していく僕と君のすがすがしい姿を、軽やかに唄うナンバー。サックスのフレーズが斬新。
11ANSWER-イチバンタダシイコタエ-
デビュー10周年第1弾シングルとなったミディアム・チューン。松岡の紡ぐ言葉が透き通るような純粋さを感じさせながら、サビへと向かう。ヴォーカルを優しく見つめるようにバックで鳴るピアノの音が美しい。
[Disc 2]〈DVD〉2004年カウントダウンライブ「三都物語」大阪編(ライブ&ドキュメンタリー映像)