ミニ・レビュー
ハード・ロックとダンス・ミュージックをかけあわせたスタイルで、ケレン味たっぷりに突っ走る確信犯バンド。これがメジャー1作目だが、メロディは文句なしにキャッチー、サウンドはカラフル、そして歌詞は意外とセンチメンタルと、世界観はがっちり出来上がってる。
ガイドコメント
『We in Music』以来、約2年ぶりのフル・アルバム。DOPING PANDAの作品のなかでも特に華やかで攻撃的で強烈にポップな、エンターテインメント・ロックの金字塔的作品だ。
収録曲
01High Pressure
怪しげなベース・ラインと訳の分からぬ喘ぎ声がこれから起こる何かを予言させる、メジャー・デビュー・アルバム『Dandyism』のオープニング・ナンバー。静かに、そして確実に聴き手の高揚感を煽るセンスはさすがだ。
02Introck
冒頭からエンジン全開のポップ・パンク・チューン。シンプルながら、ソリッドなギターが一直線に突き抜けていくさまは、3ピース・バンドの醍醐味だ。わずか1分半、ひたすら走り続ける潔さが気持ち良い。
03Blind Falcon
ユニークなギター・リフと、奇妙に優しげなヴォーカル。不思議なムードに聴き入っていると、サビで急にポップ全開のキャッチーなメロに突入、と一筋縄ではいかない彼ららしい楽曲だ。この展開の面白さは病みつきになる。
04MIRACLE
メジャー第1弾シングル。キャッチーなメロとひねくれたギター・リフが楽しい作品。序盤で並外れたポップ・センスを見せておきながら、終盤にかけエレクトロ・サウンドを駆使したゴチャマゼ状態を作り上げる。その実験精神に脱帽。
05The Fire (Alarmix)
グルーヴィなベース・ラインとエレクトロ・サウンドとの掛け合いが加速するにつれ、この刺激的なダンス・チューンの全貌が明らかに。楽器隊に負けじと叫び続けるヴォーカルもまた秀逸で、こちらのテンションを煽ってくれる。
06Get You
レトロとさえ思えるヘンテコなピコピコ・エレクトロ・サウンドもさることながら、気の抜けたヴォーカルも特徴的だ。彼ららしい予測不可能な展開も用意されていて、徹底的にエンタテインメントを追求した楽曲。
07Moralist
エレクトロとパンクのイメージが強い彼らだが、ここではフレンチ・ポップを思わせるしっとりしたノスタルジックなナンバーを聴くことができる。とはいえ、持ち前のポップ・センスをもったいぶるわけではなく、聴きやすくストレートに表現している。
08Hi-Fi
これぞダンス・チューンといってしまいたくなるノリノリなナンバー。気持ち良いほどに弾むドラムとグルーヴィなベースに、ついつい体を動かさずにはいられない。壮大な世界を想起させるプログラミングにも注目だ。
09I'll give (this happy time for you)
実力派3ピース・バンドのメジャー・デビュー・アルバム収録曲。唯一無二のクールなベース・ラインは、何度聴いても新鮮味を失わない。ファンを楽しませることをモットーとする彼らが、タイトル通り幸せな気分にさせてくれる。
10Snow Dance
ジャジィなようであり、ファンキーなようでもあり、子守唄のような優しささえ見せる。ジャンル分け不能、豊富なアイディアに溢れた作品。サイケデリックに絡まりあう終盤への流れは、やはりただ者ではないと思わせる。
11Tell Me My Speaker Box
ピアノを効果的に使った色彩豊かな楽曲。サビで突然現われるキャッチーなメロディに思わず笑顔になってしまうことだろう。さらに圧巻なのが終盤、それぞれの楽器が重なり合い、音の壁のように迫りくる。圧巻としかいいようのない瞬間だ。
12Teenage Dandyism
異空間で鳴っているかのような近未来的エレクトロ・ポップ。ヴォーカルやコーラスの工夫に、エンターテインメントを軸に活動する彼らの心意気がうかがえる。メジャー・デビュー・アルバムのクロージング・ナンバー。