ミニ・レビュー
日本の音楽シーンを席巻したオレンジレンジのヒット曲を、石野卓球、高木完、ケンイシイ、RYUKYUDISCOら豪華クリエイター陣がリミックス。キャッチーな楽曲がさらにフロア・キラー・チューンに変貌を遂げる、ベスト・アルバム的選曲もグッドな好盤。
ガイドコメント
豪華リミキサー陣による、ORANGE RANGE初のリミックス・アルバム。ORANGE RANGEのヒット・ソングの数々を、石野卓球、ケン・イシイ、ハイファナ、高木完ほか全14アーティストの豪華競演で楽しめる。
収録曲
01以心電信 (Takkyu Ishino Remix)
ハード・ドライヴィングした人間味あふれたギターとプログラミングによる無機質なトラックとのアンバランスさがユニークな、電気グルーヴの石野卓球のセンスが爆発したリミックス。7分弱という長さをまったく感じさせないアッパーなテクノ・チューン。
02ロコローション (Space Cowboy Remix)
キャロル・キングとジェリー・ゴフィンによるオリジナルはシンプルな8ビートのオールディーズ。それらにインスパイアされた彼らのナンバーをさらにテクノ風ディスコ・アレンジに料理して、リトル・エヴァともグランド・ファンクともキャロル本人ともまったく違ったエッジの効いた独自のサウンドに仕上げている。
03キリキリマイ (cherry blossom front mix:Cube Juice)
Cube Juiceによるテクノ・リミックス。シンプルな8ビートを、オフ・ビートを強調したリズムをベースに料理。シンプルであるが故にミニマル・ミュージックのようなグルーヴが伝わってくる踊れるリミックス。
04パディ ボン マへ (Kan Takagi REMIX)
元東京ブラボーの高木完によるリミックス。ナチュラル・トーンのギターとヴォコーダー風のエフェクトなど、どこか80年代の感覚が漂うオルタネイティヴな仕上がり。80年代に流行したシンセ・ベース風のサウンドが心地よく響くナンバー。
05ラヴ・パレード (NEWDEAL REMIX)
NEWDEALことHITOSHI OHISHIによるリミックス。バス・ドラだけによるイントロが否が応でも緊張感を盛り上げている。オフ・ビートを強調したトラックに、ポルタメントを使用したシンセや、ヴォイス・シミュレートによってスペーシーな雰囲気たっぷり。
06GOD69 (RYUKYUDISKO REMIX)
沖縄の双子のテクノ・バンド、RYUKYUDISKOによるリミックス。イントロのヘヴィなエレキ・ギターから一転して、細かなハイハットのビートが駆け巡るアッパーなテクノ・サウンドへ突入する。後半はどことなく沖縄っぽい雰囲気が漂うトラックに。
07お願い!セニョリータ (Shin's Rockin' Techno Remix:SHIN NISHIMURA)
DJ、リミキサー、クリエイターとして活躍する、SHIN NISHIMURAによるリミックス。エレキ・ギターから一転してのテクノ・アレンジは、「GOD69」と同じスタイル。生ではまずないようなドラムとベースのパターンは、リミキサーならではのアイデア。
08*〜アスタリスク〜 (Ken Ishii's Seventh City Remix)
DJ、リミキサー、クリエイターとして活躍するKen Ishiiによるリミックス。ハイ・テンポの16ビートのリズム・トラックがどことなくユーモラス。バックでは白タマのシンセがかぶせてあり、そのバランスが面白い。ちなみに「Seventh City」とはデトロイトのこと。
09はい!もしもし…夏です! (Dogday Afternoon 6T's Comeback Special:Katchin' vs.Makoto Ayukawa)
DJのKatchin'によるリミックス。スネア4つ打ちのリズムに、シンセによるストリングス。これでベースが1度5度6度を中心としたラインを弾けばまさにモータウン。テクノっぽいリミックスが多いアルバム『Squeezed』のなかで、生っぽいリミックスが新鮮。
10Natural Pop (Takagi Masakatsu“girls”remix)
映像作家の高木正勝によるアコースティック・ピアノとヴォーカルというシンプルなリミックス。実際にはピアノだけで弾き語るともっとゆったりとしたバッキングになるだろう。アルペジオを中心としたピアノはアンビエントな雰囲気も漂う。
11上海ハニー (KAGAMI remix)
フィジカルなダンス・トラックをクリエイトすることでしられるKAGAMIによるリミックス。イントロから沖縄っぽさを存分に倍増させているコーラスがユニークなテクノ&ディスコ・トラック。中間部ではアヴァンギャルドな展開になるのが意外。
12チェスト (introソーキReMIX:HIFANA)
ブレイクビーツ・ユニットのHIFANAによるリミックス。バウンス16ビートのトラックながら、ハイハットの変わりに細いスティックのようなサウンドのものでリズムを刻むところがユニーク。三線、ラジオがサンプリングされ、沖縄色満載のナンバー。
13花 (AGERO'S TWIST DA WEDDING MIX)
混合ユニットのAGEROのリミックス。沖縄で「花」といえば20世紀は喜納昌吉、21世紀はオレンジレンジ。ほとんどがテクノとパンクが入り混じったインストゥルメンタルにアレンジされており、踊るのにぴったり。
14BETWEEN (ペチュニアロックスREMIX:NAOTO (ORANGE RANGE))
ギタリストのNAOTOによるリミックス。ノイジーでオルタネイティヴなリミックスで、他のトラックにはない歪みっぷりが潔い。フリーキーなスタイルは、灰野敬二に通じるものがあるかも。