ミニ・レビュー
米ロック・バンドの4年ぶり8枚目のアルバム。これまでの路線にあるポップなギター・ロックだが、より力強くしかも完成度の高い演奏だ。またベーシストでもあるロビーの塩辛い歌声も聴き応えがあり、全体の中でいいアクセントに。ベテランらしさが光る佳曲ばかりだ。
ガイドコメント
「アメリカで最も有名な無名バンド」から「ベスト・アメリカン・ロック・バンド」に飛翔したグー・グー・ドールズの通算8作目となるアルバム。本作は、さらにスケール・アップした会心の内容だ。
収録曲
01STAY WITH YOU
ジョンとプロデューサーのグレン・バラードによる共作で、アルバム『レット・ラヴ・イン』の疾走感あふれるオープニング・ナンバー。落ち着いた広がりを見せる爽快かつどこかドリーミーなサウンドは、彼らの得意とするところ。
02LET LOVE IN
“愛を受け入れよう”というメッセージに、結成20周年を迎える彼らの余裕にも似た面持ちを感じさせるメロディアスなミディアム・ナンバー。アメリカン・ミュージックの職人、グレッグ・ワッテンバーグが作曲に参加している。
03FEEL THE SILENCE
彼らの最大の魅力と言っても過言ではない、ジョン・レズニックの歌心にあふれたヴォーカルが前面に出たミディアム・スロー・ナンバー。もの悲しくも情緒的なメロディに溶け込む詩的な歌詞に、静かな感動を覚える。
04BETTER DAYS
アルバム『レット・ラヴ・イン』からの先行シングル。“必要なのは誠実と信頼と安らぎ”という明確なメッセージを持った力強く壮大なバラード・ナンバー。憂いを含んだジョンの抑揚の効いた歌声が、曲をよりいっそう感動的なものにしている。
05WITHOUT YOU HERE
「君がいなかったらこれ以上はありえない〜」と高らかに歌うジョンのメロウなヴォーカルが印象的な、“愛”をテーマにしたバラード・ナンバー。曲が進むにつれて美しく感動的に盛り上がる展開に、心を奪われること必至だ。
06LISTEN
ジョンとロビーが共作し、ロビーがリード・ヴォーカルをとったミディアム・ロック・ナンバー。「何で耳を貸さないんだ〜」と繰り返すしわがれた歌声が印象的で、やりきれなくどうしようもない思いが伝わってくる。
07GIVE A LITTLE BIT
スーパートランプの名曲のカヴァーで、アコースティック・ギターが刻む軽快なメロディを思わず口ずさみたくなるポップ・ナンバー。2005年に発売されたDVD『ライヴ・イン・バッファロー』に収録されたものと同テイク。
08CAN'T LET IT GO
透き通るようなジョン・レズニックの歌声に聴き惚れる、メロディアスなミディアム・ナンバー。アコースティック・サウンドでまとめられた至極シンプルな楽曲でありながら、全体に不思議な力強さがみなぎるエモーショナルな一曲。
09WE'LL BE HERE (WHEN YOU'RE GONE)
“君がいなくなっても僕たちはここにいる”というメッセージ、物憂げなアルペジオに哀愁が漂うミドル・ナンバー。エッジの効いたエキサイティングなギター・ソロが、曲をクールに、そしてスマートなものにしている。
10STRANGE LOVE
心地良い8ビートと単音のピアノの音色になんともいえない浮遊感を覚える、ジョンとロビーの共作ナンバー。ロビーがヴォーカルをとっており、その特徴的な渋い歌声と爽やかなメロディが作り出す絶妙な空気感が面白い。
11BECOME
“愛”を基調にした曲が多いアルバム『レット・ラヴ・イン』を締めくくるにふさわしい壮大なラヴ・バラード。表情豊かなサウンドとジワジワと胸に迫る感動的な展開は、プロデューサー、グレン・バラードと見出した新境地だ。
12BETTER DAYS
アルバム『レット・ラヴ・イン』からの先行シングルとなった楽曲のアコースティック・ヴァージョン。切ないピアノの旋律とバックに鳴るアコギの音色が、バンド・テイクとは一味違った趣を見せている。