ミニ・レビュー
BUMP OF CHICKENの藤原基央による、ナムコの『TALES OF THE ABYSS』のゲーム音楽。BUMP OF CHICKENの世界とはまたひと味違う、インスト音楽の世界が楽しめる。また主題歌「カルマ」は、BUMP OF CHICKENが全面参加。
ガイドコメント
BUMP OF CHICKENの藤原基央がナムコのRPG『TALES OF THE ABYSS』の主要BGMを書き下ろしたサントラ盤。主題歌「カルマ」をはじめ、ゲーム・ストーリーと密接にリンクした世界観が堪能できる。BUMPファン、ゲーム・ファンどちらも注目だ。
収録曲
01譜歌 (quartet)
ナムコのRPGゲーム『TALES OF THE ABYSS』で繰り返し奏でられる「譜歌」を弦楽四重奏でレコーディング。丁寧なストリングス・アレンジによって、藤原基央がメロディに込めた豊かな感情を見事に表現している。
02meaning of birth
BUMP OF CHICKENの「カルマ」の変奏曲。打ち込みによるオーケストラ・アレンジの特性を活かした、広大な地平を想い起こさせる壮大な雰囲気は、“生まれた意味”を追い求める冒険者のテーマに相応しい。
03promise
スローにアレンジした「カルマ」を打ち込みによって作り出した弦楽四重奏で演奏し、まるで教会の中で演奏されているかのような厳かな空気感を表現。藤原基央の作曲家としての新たな魅力を垣間見せてくれる楽曲だ。
04time to raise the cross
「abyss」をアレンジしたピアノのアルペジオをイントロに、吹奏楽器を前面に押し出した、東洋風な響きを持つ主旋律に突入。リズムを強調したアレンジは、ロック・バンドのメンバーならではのものといえるだろう。
05in between 1 and 0
「カルマ」のメロディ・ラインの一部を抜粋して作られた小品。オリジナルとはコード進行を変えることによって、同じメロディでもまったく違った表情を見せてくれる。歩き始めた赤ん坊のような、ゆったりとしたテンポが耳に優しい。
06a place in the sun
低音を強調したリフレインと、転調を繰り返すメロディ・ラインの絡みが重厚かつ迫力満点。「time to raise the cross」と「finish the promise」を繋ぐ重要曲だ。
07mirrors
「カルマ」のメロディをピアノと鉄琴で演奏。音の隙間を活かしたアレンジによって、旋律の中に潜む儚さや切なさを浮き彫りにしてみせている。右チャンネルで鳴らされる、心臓の鼓動のようなリズムが耳に心地良い。
08finish the promise
テクノやハウスを通過した現代的なループ・サウンドの上に、伝統的なオーケストラの音を乗せた意欲作。「time to raise the cross」「a place in the sun」と続いてきた3部作の完結編。
09譜歌 (song by Tear)
『TALES OF THE ABYSS』に登場する“Tear”こと声優のゆかなによって歌われる、荘厳かつ崇高なナンバー。歌詞はゲームの中で登場する古代語“フォニスコモンマルキス”で綴られている。
10promise (live)
弦楽器のチューニングをイントロにすることによって、レコーディング時の緊張感が伝わってくる「カルマ」の変奏曲。ケルティック・ハープの音色が隠し味。BUMP OF CHICKENの「カルマ」の前奏曲という役割も果たしている。
11カルマ (BUMP OF CHICKEN)
疾走感あふれるビートと、ギターの鋭いカッティング、そして分厚いコーラスががっちりと噛み合って生まれた、かつてないほどドラマティックなロックンロール。藤原基央の堂々としたヴォーカルには、どこか神々しさが漂う。
12abyss
『TALES OF THE ABYSS』の導入部分で使われた、“はじまり”を予感させるミステリアスなナンバー。ピアノのアルペジオにフルートが重なるシンプルなアレンジの中に込められた豊かな感情が、耳を引きつけてやまない。
13譜歌 (solo)
「譜歌」のヴァイオリンによる独奏ヴァージョン。ハーモニーを奏でる楽器がないことによって、メロディ・ラインのシンプルな美しさが際立つ仕上がりとなった。演奏者の息遣いまでもが聴こえてきそうな臨場感だ。