ミニ・レビュー
沖縄発の人気バンドの4枚目のアルバムは、“信頼”というテーマを掲げたじっくり聴かせるメロディアスな歌の宝庫。ミクスチャー的な文脈で語られたこともあったが、むしろ往年の歌謡曲、歌ものロックや王道ポップスの正統な担い手と見るべきだろう。すがすがしい。
ガイドコメント
人気5人組バンドの4thアルバム。新里英之(vo)と仲宗根泉(key)と名嘉俊(ds)の3人が歌う「モノクロ」や黒人ゴスペルをフィーチャーした「NAO」など、これまで以上にアグレッシヴな仕上がりの意欲作。
収録曲
01モノクロ
想いが芽生えはじめたときの初々しい気持ちが伝わってくる、胸に秘めた“片想い”を歌った曲。男女によるツイン・ヴォーカルがお互いを呼び合うようにして重なっていき、合間に入るラップが主人公の日常を感じさせる。
02ポーカーフェイス
風を切って走っていくドライヴのシーンが頭に浮かんでくるロック・ナンバー。爽やかな疾走感に乗せて、些細なことからすれ違ってしまった、無言のままの彼女に訴えかける。語りかけてくるようなメロディが特徴的。
03canvas
弾力のあるリズミカルなピアノに導かれるようにして、伸びやかなメロディがじわじわと空に広がっていくような印象のナンバー。ドラマティックな楽曲だが、一つ一つ言葉を大切に歌うヴォーカルからは、人肌の温もりが感じられる。
04あなたにキス
隣に寄り添うようなギターと空を突き抜けていくようなサウンドに乗せて、愛する人への気持ちを歌う。素直な歌詞やヴォーカルから、真っ直ぐな想いが伝わってくる。“フゥ、フゥ”というコーラスがユーモラス。
05I JUST DO IT FOR YOU
男女ツイン・ヴォーカルによる掛け合いが心に染み入るバラード。お互いどんなに想い合っていても、人はそれぞれ一人であるということを噛み締めながら、それでも求め合う気持ちを繊細かつ力強く描いた、美しい曲。
064WD
エッジの効いたギターと風通しの良いドラムが爽快なロック・チューン。前向きな歌詞と力強いピアノの旋律が、ポジティヴなパワーをくれる。雨上がりに空が晴れわたっていくようなイメージを思い起こさせる曲。
07scene
軽やかなバンド・サウンドに大らかなストリングスが重なり、景色や未来を色鮮やかに染めていくような曲。歪んだギターがスパイスを効かせ、伸びやかなメロディやヴォーカルとともに、心が晴れわたっていくようだ。
08 (Te to Te)
大人っぽいムードを漂わせるギターのフレーズが印象的。二人のこれまでの想い出を振り返りながら、これからの想いを馳せる歌詞を、男女ツイン・ヴォーカルで分け合いながらしっとりと聴かせる優しい雰囲気の曲。
09森
心を“森”に喩えて歌にしたラブ・ソング。“森に出て君を探してさまようの”というフレーズが切なくも可愛らしい。相手への想いやすれ違いなど、等身大の言葉で恋愛が歌われ、つま弾かれるギターが優しい。
10NAO
エモーショナルなメロディに乗せて、狂おしいほどの“片想い”を歌う。ひた向きに鳴らされるピアノと叙情的なストリングスに導かれ、徐々に気持ちが高まっていき、ゴスペル隊によるコーラスが加わる壮大な曲。
11HY♥SUMMER
HY自身のプライヴェート感覚満載の曲。夏の太陽や海が目の前に浮かんでくるような情景描写に気分も弾け、軽快なアレンジに心も軽くなる。ご機嫌なラップも心地良いメロディも楽しめる、夏にピッタリのナンバー。
12この物語
自分自身やすべての人に対してエールを贈るような言葉を、パワフルなバンド・サウンドが力強く支える。不安や弱さも受け止める包容力を感じさせながら前を向く力をくれる、感謝の気持ちにあふれた温かな応援歌。