ミニ・レビュー
2005年UK年間アルバム・セールスで突然の第7位。アコースティック・ギター中心のシンプルなサウンドで、2006年ブリット・アワーズのベスト・ブリティッシュ・フィメール・ソロ・アーティスト部門を受賞した、いまもっとも旬なスコットランド出身の新人だ。
ガイドコメント
イギリスの人気女性シンガー・ソングライターの日本デビュー盤。パンチの効いたロックなナンバーから大人の雰囲気に満ちたバラードまで、様々な表情を見せる。サウンドはアコギを基調としたポップ・ロック。
収録曲
01OTHER SIDE OF WORLD
ケイティーの友人カップルの関係をモチーフに描かれたフォーキーなミディアム・バラード。彼女が演奏するアコギの音色とハスキーなヴォーカルを生かすように、極力エレクトリックな音を排除した楽器同士のハーモニーが秀逸だ。
02ANOTHER PLACE TO FALL
ケイティーが影響を受けたブルースの、“暗”の部分を受け継いだヴァースで始まるが、サビはベースが入ってきてグルーヴィなサウンドに。ブルージィなヴォーカルとエッジの立ったサウンドとのコンビネーションが印象的。
03UNDER THE WEATHER
9.11テロ事件にインスパイアされて描かれた歌詞は、人間には結局人間が必要、というもの。アコギの優しいサウンドと時折ジャニス・ジョプリンを思わせるコブシの効いたヴォーカルが、世界の悲しみを鎮めるかのようだ。
04BLACK HOESE AND THE CHERRY TREE
ケイティーの代名詞“ループ・ペダル”奏法を採り入れ話題になった、イギリスでのデビュー曲。パーカッションのように弾かれるアコギと力強い節回しのヴォーカルが表現するのは、善と悪をテーマにした不気味な寓話の世界。
05MINIATURE DISASTERS
荒っぽいハンド・クラップのループやラウドにかき鳴らされるアコースティック・ギターのオーガニックなグルーヴが、楽曲を包み込むナンバー。彼女のパーソナルな部分に焦点をあてたという歌詞は、“自分らしさ”にこだわった強い意志が溢れている。
06SILENT SEA
“孤独であることの不気味さ”を歌った、ブルージィなバラード。終始ささやくような息づかいがはっきり聴こえるヴォーカルの平穏さと感情の揺れをこめた歌詞の不穏さは、まさに夜の海のような不気味な静けさをもっている。
07UNIVERSE & U
しっとりと甘く情熱を伝えるR&Bシンガーさながらのヴォーカルが、胸を震わせる一曲。フォーキーなバンド・サウンドにムーグのノスタルジックな音色をフィーチャーし、ドリーミーな雰囲気を放つラブ・ソングに仕上げている。
08FALSE ALARM
バンド・メンバーでもあるMartin Terefeと共作した、友情を失った時の喪失感について描いたバラード。やわらかいメロディ・ラインを温かいヴォーカルが伝えてくれる。終盤に向かって盛り上がるバンド・アンサンブルは鳥肌ものだ。
09SUDDENLY I SEE
デビュー・アルバム『アイ・トゥ・ザ・テレスコープ』の日本先行曲となった、カントリー調のアップ・テンポなナンバー。ジャニス・ジョプリンを彷彿とさせるハスキーなヴォーカルで、魅力的な女性像について軽やかに歌っている。
10STOPPIN' THE LOVE
マイクを何本も立てライヴ風に録音された、彼女の友人によるゴスペル風コーラスやハンド・クラップが生み出す“生”のヴァイブスを注入した、オーガニックなラブ・ソング。ブルージィで穏やかな雰囲気をまとった極上のヴォーカルが堪能できる。
11HEAL OVER
友達のために作ったという、現実を受け止めるためのケイティー流の応援歌。アコギの音色のみで語りかけるようなヴォーカルが印象的。終盤バンド・サウンドも入り、静かな曲にダイナミックな展開を作り出している。
12THROUGH THE DARK
ピアノの弾き語りでしっとりと歌われるバラードは、“深夜のバーでピアノを奏でる”イメージで作られたもの。ほかの楽器はドラムとベースのみという最小限の編成で、先の見えない切ない愛をムーディに歌っている。
13BOO HOO
デビュー・アルバム『アイ・トゥ・ザ・テレスコープ』に収録のボーナス・トラック。ざっくりしたアコギとスライド・ギターを重ね、カントリーとブルースをミックスしたような独特のサウンドを作り上げている。
仕様
CDエクストラ内容:サドゥンリー・アイ・シー (Video)オリジナル・アートワーク紙ケース