ミニ・レビュー
前作の大ヒットで認知度がグンと上昇した、グラスゴーを拠点とするバンドの4作目。堅実な作りだが、楽曲・サウンドともに一段と質が高まり、確かな聴き応えを与える。特にマーサ・ウェインライトとのデュエット(8)は秀逸。UKロック・ファンは必聴。★
ガイドコメント
イギリスの人気ロック・バンド、スノウ・パトロールの大ヒット作『ファイナル・ストロー』に続く4thアルバム。プロデュースにジャック・ナイフ・リーを迎え、スケールの大きな骨太な楽曲を聴かせてくれる。
収録曲
01YOU'RE ALL I HAVE
アルバム『アイズ・オープン』からの1stシングル。“混沌を手なずけて明るさに変えよう”という歌詞が印象的なギター・ポップで、解放感のあるサウンドとほんの少し感傷的なメロディのバランス感覚が絶妙。
02HANDS OPEN
ヘヴィなリフを持つナンバーで、ヴォーカル/コーラス/サウンドがひとつになって突き進むサウンドから、バンドとしての一体感を味わえる。メンバー同士の意思疎通・関係が上手くいっている、そんな印象を抱かせる曲。
03CHASING CARS
ギャリーの詩人としての感性が存分に発揮された、ロマンティックな曲。スロー・テンポでじっくり聴かせるナンバーだが、徐々に盛り上げていく展開の妙もある。バンドが大きく成長したことが見てとれるようだ。
04SHUT YOUR EYES
どことなく60年代のサイケデリック・ロックを想い起こさせる、浮遊感を持ったナンバー。単なるノスタルジックに留まらない現代的なサウンド/アレンジも施され、確かな聴き応えを与えてくれる。
05IT'S BEGINNING TO GET TO ME
エコー&バニーメンを彷彿とさせるイントロにグッと惹きつけられ、その勢いのままラストまで一気に聴かせる、爽快感に満ちたチューン。UKロック・ファンなら絶対気に入ること間違いなしの、折り紙つきの1曲。
06YOU COULD BE HAPPY
別れた恋人に対して幸せになって欲しいと願う偽りのない心境が、ストリングスを交えたシンプルなサウンドをバックに静かに歌われる。ほろ苦くも心安らぐ気持ちにさせてくれる佳曲。
07MAKE THIS GO ON FOREVER
ピアノとオーケストラを巧みに採り入れたドラマティックな曲展開と、愛する人に振り回され救済を求める男の姿を丁寧に描いた詞が見事に一致した、壮大なスロー・ナンバー。じわっと胸に染みてくる1曲。
08SET THE FIRE TO THE THIRD BAR
マーサ・ウェインライトをゲストに招いたナンバー。不穏な空気すら感じさせる幽玄な音世界の中、互いの口唇を重ねあうがごとく濃厚なデュエットを披露。ロマンティックだが、どこか妖しげな雰囲気を醸し出す秀作。
09HEADLIGHTS ON DARK ROADS
アルバム『アイズ・オープン』中でもっともシンプルかつストレートなロックンロール・ナンバー。新奇な部分はないが、ブリティッシュ・ロックの伝統を継承していくのは俺たちだ、という気概が楽曲の隅々から伝わってくる。
10OPEN YOUR EYES
淡々と刻まれていくギター・リフとそれに呼応するギャリーのヴォーカルが徐々に熱を帯びていき、エンディングへと盛り上がっていく。圧倒的な存在感、昂揚感でアルバム『アイズ・オープン』のハイライトとなるナンバー。
11THE FINISH LINE
ベルファスト出身ならではのアイリッシュ風味を採り入れた、美しく幻想的なメロディが印象的。アルバム『アイズ・オープン』のクロージング・ナンバーに相応しく、いつまでも余韻に浸っていたいと思わせる楽曲。
12-
アルバム『アイズ・オープン』本編とボーナス・トラックをつなぐブリッジ、あるいはインタールード的なトラック。サウンドやメロディといった音楽的なものは一切なく、子供のざわめきや家の中から聞こえる音声のみで構成されている。
13IN MY ARMS
日本と英国盤のみに収録されたボーナス・トラック。ギターのフレーズが印象的なミディアム・チューンで、起伏に富んだメロディを骨太のリズム・セクションが支え、安定感あるサウンドを構築している。
14WARMER CLIMATE
穏やかな表情を持つ日本・英国盤のみのボーナス・トラック。ギャリー・ライトボディの巧みに抑揚をつけた歌唱が素晴らしく、ヴォーカリストとしての魅力がじっくり味わえる。サウンド・アンサンブルも見事。
15SPITTING GAMES
2006年2月、代官山UNITで行なわれた来日公演からのライヴ音源。スタジオ・ヴァージョンより逞しさを増したサウンドやヴォーカルが聴ける。日本盤のみのボーナス・トラックで、ファンには嬉しい贈り物。
16HANDS OPEN
日本盤のみ収録のボーナス・トラック。緻密なスタジオ・ワークとはまた違う、ライヴならではのラフな臨場感・ワイルドな魅力が味わえる。2006年2月、代官山UNITでの来日公演からの音源。
17YOU'RE ALL I HAVE
疾走感あるナンバーがさらに加速度を増した、そんな印象を抱かせる来日公演時のライヴ音源。バンドの勢いや好調さがパフォーマンスやオーディエンスの反応から伝わってくる。日本盤のみの収録音源。