ガイドコメント
デヴィッド・ヨハンセンが在籍したニューヨーク・パンクの代表的バンドであるニューヨーク・ドールズの1973年発表の1stアルバム。トッド・ラングレンがプロデュースを担当し、「人格の危機」や「キスを求めて」といった名曲を収録。
収録曲
01PERSONALITY CRISIS
オープニングからデヴィッド・ヨハンセンによる張り裂けんばかりの雄叫びが炸裂する、アグレッシヴで豪放なロックンロール・ナンバー。荒ぶる魂と聴き手に襲いかかるギミックなしの迫力に圧倒されてしまう。
02LOOKING FOR A KISS
冒頭の「俺が愛していると言ったなら、それは中途半端な気持ちじゃない」と吐き捨てるように言うセリフが最高にクールな、彼らの代表曲の一つ。卑猥でやさぐれたダーティな雰囲気が、パンク・ロックの誕生を予感させるナンバー。
03VIETNAMESE BABY
ジョニー・サンダースのドライヴ感あふれるギターが耳に残る、シンプルで攻撃的なロックンロール・ナンバー。当時終結に差しかかっていたベトナム戦争への思いをリアルに吐き出した、政治的メッセージの強い作品。
04LONELY PLANET BOY
ため息を吐き出すようにして歌うデヴィッド・ヨハンセンのヴォーカルが印象的な、ミディアム・スローのアコースティック・ナンバー。寂しげなサックスの音色も手伝って、曲全体が奥深い空気感に包まれている。
05FRANKENSTEIN (ORIG.)
タイトル通り、終始いかがわしい雰囲気が漂う楽曲。執拗に繰り返される同じメロディと、聴き手に食ってかかるようなルーズな歌声で、身体ごとニューヨーク・ドールズのエキセントリックな世界に引きずり込まれそうになる。
06TRASH
痛快なビートとノリノリのコーラス・ワークでキャッチーに攻める、激しくも爽快なナンバー。のちのラモーンズをはじめとするNYのパンク・バンドへ多大な影響を与えたであろう、彼らの楽曲の中でも特に人気の高い作品。
07BAD GIRL
デヴィッド・ヨハンセンの荒々しいワイルド・ヴォイスとジョニー・サンダースのヒステリックに唸るギター・サウンドが見事に融合し、爆発的な勢いをもって一気にたたみかける。切れ味抜群のエキサイティングなロックンロール・ナンバー。
08SUBWAY TRAIN
優しさととげとげしさが同居した、ミドル・テンポながらも激しく絡みつくドラマティックなナンバー。いまやパンク・ロックのシンボルともいえるジョニー・サンダースのメロディアスなギター・センスが光っている。
09PILLS
大御所ボ・ディドリーのカヴァー曲。原曲に敬意を表し、ブルースハープが心地良く響く混じりっ気なしの正統派ロックに仕上げている。パンク・ロックの祖といわれる彼らの原点をうかがい知ることができる。
10PRIVATE WORLD
気持ちが沈んでしばらく立ち上がれそうにない憂鬱な気分を 、“自分だけの世界が欲しい” と叩きつけるようにして歌うデヴィッドのヴォーカルが印象的。やり場のない怒りをストレートに表現した、彼の繊細な一面が読み取れるナンバー。
11JET BOY
ジョニー・サンダースがポップ&ハードに掻き鳴らすギター・リフに弾んだ手拍子がテンポ良く重なり合う、疾走感あふれるナンバー。「Jet Boys fly〜」のメロディは、一度聴けば頭から離れなくなるほどキャッチー。