ミニ・レビュー
男女ポップ・デュオの約3年ぶりとなるアルバム。AOR、ハード・ロック、ジャズ・グルーヴ、ボサ・ノヴァ、ダブなど実に多彩なサウンドを試みつつ、どの曲も秀逸なメロディとエレガントなヴォーカルで、洗練されたポップスに昇華させている。その手腕はやはりさすが。
ガイドコメント
国岡真由美(vo)と宮内和之(g)による男女ユニットのBBMC移籍第1弾アルバム。傑作と評された『Formula 21』に続き、彼ららしいエッジの効いたクールなサウンドを披露。ライヴ会場のみで販売された幻の2曲も収録。
収録曲
01Quiet Dawn
タイトル通り“静かな夜明け”をイメージさせる、アルバム『RIGHT NOW!』のイントロダクション。神秘的な雰囲気が漂うサウンドに国岡と宮内のハーモニーがたゆたう、朝焼けという不思議なひとときの中で聴きたい1曲だ。
02Morning Dew
いかにもICEらしい、グルーヴィなギター・リフが特徴的なロック・チューン。「今はすぐに過去に変わる」から「限りある時間をもっと大切にしよう」という、ICE流のメッセージが歌われている。「グッドモーニング」という国岡のヴォーカルが永遠を感じさせるよう。
03Hummingbird‘68
アルバム『RIGHT NOW!』に収録の約1分半のインストゥルメンタル・ナンバー。ギターのみによる演奏で、アコースティック・ギターが最高に気持ちよく響く。事務所のトイレで録音されたものらしく、自然なリバーブが絶妙な効果を生んでいる。
04Daydreamin'
晴れわたった夏の朝に聴きたくなる清涼感あふれるナンバー。国岡真由美の爽やかなヴォーカルとアコースティック・ギターを中心とした透明感あるサウンドとの組み合わせが絶妙で、ICEのポップな魅力をアピールしている。
05EAR
アルバム『RIGHT NOW!』に収録の、宮内和之の別プロジェクト“BLIND HEADZ”による作品。エッジの効いたギター・サウンドにあわせて、国岡のヴォーカルもクールでシリアスな色を出している。ロック色の強い、ハード&ワイルドなナンバー。
06BABY BLUE
ギターの宮内和之がリード・ヴォーカルを担当する、英詞によるロック・チューン。デビュー前からのICEバンドのレパートリーで、宮内の男臭いヴォーカルに重なる国岡のコーラスとが絶妙に絡む、ライヴでも人気の高い名曲。
07WENDY (Namely You)
ICEの魅力のひとつであるスウィートなテイストを全面に打ち出したナンバー。陽光が差し込む春の日を想起させるような幻想的なアレンジが光る。不思議なムードで包み込むサウンドとコーラスに漂う国岡真由美のヴォーカルは本当に魅力的だ。
08Straight Ahead (Go! Shinji、Go!)
タイトルが示す通り、ジャズ・テイストが濃厚なインストゥルメンタル・ナンバー。ここでは、ICEバンドのベーシスト、Shinji Ogawaが大活躍している。女性コーラス“E-cups”によるスキャットも交え、どこか1960年代のサスペンス映画風のサウンドだ。
09Skyscrapers〜摩天楼〜
アルバム『RIGHT NOW!』の前曲インスト「Straight Ahead」を引き継いだ、ジャズ/フュージョン風の手触りのナンバー。摩天楼を上空から臨むような浮遊感あるコーラスと都会を縫うように走るギター・フレーズが印象的。間奏のギターやキーボードのソロも聴きどころだ。
10GET IT ON (真夜中を駆け抜けろ!)
真夜中のクラブ・シーンでの喧騒を描いたダンス・チューン。ジャズ・ファンク調の雰囲気を醸し出すサウンドと街を泳ぐようになめらかにすべるヴォーカルが実にスタイリッシュ。クールな佇まいをサラッとやってのけるのは、ICEならではの魅力だ。
11ロック・キャンドル
日本のダブ・ミュージック・シーンを牽引する、Dub Master Xによるスロー・ダブ・チューン。艶かしくアンニュイな国岡のヴォーカルが、ダブのミックス効果によって、キャンドルの炎がゆらゆら揺れるように幻想的な光景が楽曲を包んでいる。
12INTO THE SUN
サンタナなどのラテン・ロック風のテイストを隠し味にしたようなナンバー。タイトル通り、太陽の下が似合う音作りだが、ギラギラな灼熱の夏ではなくどこか陰りのある夏を、マイナー調のメロディで演出しているところがICEらしい。
13AKATSUKI〜暁〜
アルバム『RIGHT NOW!』の終盤を飾るインストゥルメンタル・チューン。太陽が昇る少し前のほの暗い瞬間を、見事に表現している。宮内の表現力豊かなギターの音色が素晴らしく、楽曲のポテンシャルの高さがうかがえる1曲だ。
14Quiet Dawn (Dub's Eazy Remix)
“静かな夜明け”をイメージさせる、アルバム『RIGHT NOW!』のオープニング・ナンバーを、Dub Master Xがダンサブルなヴァージョンにリミックス。ドラムの軽快なリズムに導かれるようにギターも浸透度を増して、爽快さが加わった実に心地良いヴァージョン。