ガイドコメント
プロデュース&ジャケットをアンディ・ウォーホルが手がけた1967年発表の1stアルバム。ルー・リードの美しいメロディにニコが寄り添い、幻想的なノイズと壮絶なヴィオラが重なる……。ニューヨーク・パンクを代表する歴史的名盤。
収録曲
01SUNDAY MORNING
ロック史上に大きな足跡を残したデビュー・アルバム、通称“バナナ・ジャケット”のオープニングを飾る曲。メランコリックなサウンドとニコの気怠い歌声が、永遠の憂いをくっきりと描き出した伝説的な1曲だ。
02I'M WAITING FOR THE MAN
叩きつけるような鍵盤音がダイナミックなサウンドを演出しているロックンロール・ナンバー。ルー・リードのサウンド・メイクだけでなく、詞のセンスも光っている。ヴェルヴェッツの初期衝動そのものといっても良いだろう。
03FEMME FATALE
絶望の淵にいるようにも聴こえ、祈りのようにも聴こえるニコの歌声が、闇と光の両面から世界を映し出している。時代の先を行くルー・リードの才能と、カリスマ性を帯びたニコの歌声が絶妙に交差した1曲だ。
04VENUS IN FURS
深遠なる闇を現出させた雰囲気で覆われる初期ヴェルヴェッツの代表曲。引き裂くようなストリングスの音とシタールによるサイケデリックなトリップ感。そして呪術的ともいえるルーによる詞の詠唱。これ以上の暗黒を描き出した曲はそうないだろう。
05RUN RUN RUN
オーソドックスなコード進行を見せながらも、ギター・ノイズやインプロ的な演奏を随所に取り入れるなど、アーティスティックな面が目立つ1曲だ。実験期に差し掛かる片鱗がすでに現れているのがなんとも興味深い。
06ALL TOMORROW'S PARTIES
ルーズなリズムの中で反復され、増幅していくサイケデリック・サウンドが、高度のトリップを引き起こす1曲。アヴァンギャルド・ミュージックの祭典“オール・トゥモローズ・パーティズ”のタイトルもこの曲が元ネタ。
07HEROIN
怒濤のストリングス・ノイズと緩急のついたダイナミックな曲構成など、渾身のパンク・スピリットを感じさせる1曲。強烈な酩酊感とゾクゾクするほど殺気立った演奏は、後にソニック・ユースなどに受け継がれている。
08THERE SHE GOES AGAIN
どこかひねくれているようで、実は至極ストレート。アーティスティックな前衛性とポップネスを同居させた、まさにヴェルヴェッツしか奏でられないロックンロール。荒々しいルーの歌声と美しいコーラス・ワークの対比もなかなか面白い。
09I'LL BE YOUR MIRROR
メランコリックなギターやタンバリン、ニコの歌声だけでほとんど構成されたシンプルな曲だが、それだけにメロディの美しさが際立っている。ルー・リードの早熟なソングライティング力をうかがわせる1曲だ。
10THE BLACK ANGEL'S DEATH SONG
ジョン・ケイルによるストリングス・ノイズと、ポエトリー・リーディングの域まで達しているルーのヴォーカルで構成された1曲。かなりアヴァンギャルドではあるが、この実験精神がロックの新たな可能性を生み出したのも確かだ。
11EUROPEAN SON
ギター・ノイズや物が壊れる音のサウンド・コラージュがなされるなど、かなりカオティックなサウンドを打ち出した1曲。この後に現代音楽へ傾倒し、実験期に入るヴェルヴェッツを暗示しているようにも聴こえる。