ミニ・レビュー
ピアノを弾き語りする自作自演の女性歌手だが、歌詞にけれんがないところを見ると、本来的には“歌っているのが楽しい”タイプなのかも。武部聡志の編曲も、それに見合ってあくまでオーソドックス。中では70年代ユーミンを思わせる(4)の軽快さに味が。
ガイドコメント
実力派女性シンガー・ソングライターの2ndアルバム。中森明菜や今井美樹など、数々のアーティストに楽曲を提供する彼女が自身の代表曲をセルフ・カヴァー。中でも中島美嘉が歌った「桜色舞うころ」は聴きごたえあり。
収録曲
01誰かが誰かを
ピアノのみをバックに歌われる楽曲。常に希望を失わない気持ちを、優しくも内に秘めた力強さで、聴く者の心へ伝えあげていく。シンプルな曲だが、不安や辛さを感じた時に、温かく励ましてくれるような、そんな1曲。
02relationship
“人との絆”という船に乗って、人生という名の航海を行く姿を描いた曲。優しさ、希望という言葉がピッタリくるようなバックのサウンドのムードも見事で、落ち込んだ時に元気をもらえるような曲だ。ラストの一人多重コーラスも秀逸!
03君の唄
世界初となる『星の王子さま』の公式イメージ・ソング。優しく語りかけてくれるような美しい曲。バックに流れるティン・ホイッスルの音と歌詞が星空のイメージにピッタリ! 秋の夜長に空を眺めて聴くと、どっぷりとハマれそう。
04三月生まれ
リズミカルなピアノとギター。アメリカ西海岸のAORを彷彿とさせる洗練されたサウンド。中盤のストリングスとスキャット・ヴォーカルがジャズの匂いを少し感じさせる。この曲をBGMに、夜の高速を流してみたくなる。
05それから
恋人と付き合い始めた頃の気持ちの一片を描いた、誰もが共感できる詞に心を動かされる。70〜80年代のAOR、フュージョンを彷彿とさせるアレンジによるバック・サウンドが心地良い。その雰囲気が歌詞にピッタリだ。
06夢うつつ
終わってしまった恋から脱け出さなければと頭の中では理解していながらも、それができない切ない思いを歌ったバラード。バックのピアノとアコースティック・ギターが、切ない思いに追いうちをかける。
07ぬくもり
あやふやな関係に心揺れながら、それでも彼の温かい心を信じようとする女性の心模様を描いた曲。雪が降り落ちてきそうな感じの優しいイントロと痛切な歌詞が切なく心に響く。冬という季節を見事に表現している作品。
08あなただらけ
ボサ・ノヴァ調のアレンジを施した、暑い季節に木陰の涼しい風を受けて聴きたくなるナンバー。曲調がキュートな歌詞の世界に見事に合っている。彼女独特のセンスの良さが発揮されている曲。
09いついつまでも
“わがままなところがある彼氏に翻弄されながらもずっと一緒に歩いていきたい”という決心を表現した曲。アコースティック・ギターとピアノの響きが温かみを感じさせる。歌謡曲的なアレンジだが、古臭さをまったく感じさせない。
10かざうた
バックの演奏がまったくない、歌声のみの完全なアカペラ曲。スローな曲ながらリズムも音程も全くブレない歌唱力も見事だが、なによりも一言一言聴くものの心にしっかり響いてくる、絆の大切さを描いた歌詞の世界が素晴らしい。
11しあわせ
春風のようなイントロから「しあわせ」と始まるこの歌は、その“しあわせ”というものについて語られていく。ストリングスも自然と溶け込んでいき、清々しい曲に仕上がっている。NHKドラマ『ダイアモンドの恋』の主題歌。
12桜色舞うころ
中島美嘉に提供した曲のセルフ・カヴァー。まるで空の星が降って来るようなイメージのストリングスがとても美しく切ない。バックのアレンジと優しく感情を込めた歌も絶品! 一人夜空を眺めながら聴くと、涙がとまらないはず。