ミニ・レビュー
1年半ぶり、通算34枚目のアルバム。最近のユーミンは肩の力が抜けてイイ感じ。タイトル通り、(広い意味での)“夏の少女”というテーマはあるが、難しいこと抜きで、ここは彼女独自の清涼感に身を任せたい。CMでお馴染みの(7)(9)(11)を聴くと今さらながら、ほとばしる才気に驚く。
ガイドコメント
通算34作目となるアルバム。つい口ずさんでしまうユーミンらしいキャッチーなメロディとノスタルジックかつロマンティックな歌詞が魅力。NHK『探検ロマン世界遺産』のテーマ曲ほか、タイアップ曲を多数収録。
収録曲
01Blue Planet
サーフィンをテーマにした軽快な16ビート・ポップス。サーファーが波乗りを通して何度でも挑戦すること、希望に向かって進むことを高らかに歌い上げる。サビがハッキリしないほど、どのメロディもキャッチー。
02海に来て
落ち着いた8ビートが心地良いミディアム・ロック。愛する人に出会う前の自分を思い起こし、いかに孤独で強がりだったかを知る大人のラブ・ソング。ユーミンならではの粋なコード進行で最後まで引き付ける好楽曲。
03哀しみのルート16
1960年代風サーフ・ミュージック・ナンバー。雨の降る高速道路をひた走る車の中で最後の時間を過ごす、恋人のお別れソング。目まぐるしく展開する構成とレトロなメロディ、斬新なコーラス・ワークなどが聴きどころ。
04もうここには何もない
明け方の海岸を舞台にした恋人の別れを描いたナンバー。別れたらすべてが意味のないものとなってしまうと感じる、一種の虚無感がテーマ。上下の激しいメロディやドラマティックな曲展開、映画のような間奏などが特徴的。
05あなたに届くように (Album Version)
NHK『探検ロマン世界遺産』主題歌のアルバム・ヴァージョン。見知らぬ土地でふと身近だった人を思い出した時の、懐かしいような切ない感覚をテーマにした歌。メロディ、歌詞ともにアレンジが加えられ、いくぶんエスニックな仕上がりに。
06Many is the time
ユーミンお得意の哀愁系ラテン・ポップ・ナンバー。かつての恋人を忘れられず、色々条件を挙げてはひたすら“声をきかせて”と願う切ない失恋ソング。派手な曲展開やサプライズがない分、じっくり聴き込める1曲。
07虹の下のどしゃ降りで
JR東日本とau by KDDIのCMソングになった、雨が好きになりそうなラブ・ソング。かっこよくて、スウィートで、耳あたりも最高……これまでのユーミン・ナンバーの良いとこ取りのような癒し系ナンバーだ。
08Escape
軽快なブラス&ピアノ・ロック・チューン。アクション映画のようなスリリングな脱出劇を描いたフィクショナル・ナンバーで、サウンドもブラスやストリングス、ホンキー・トンクほか、各種効果音が盛りだくさん。至極賑やかな雰囲気が漂う。
09Forgiveness
許すことをテーマにしたライト・バラード。子供がケンカをしても帰り道で仲直りするように、愛する者を持つ限り許すことを大切にしたいと歌う。テレビCMにも使われたインパクトの強いサビ部分が味わいどころ。
10ついてゆくわ (Album Version)
ミディアム・バラード曲。タイトル通り、恋人同士や夫婦など、女性側からの深い愛情をテーマにした歌(シングル・ヴァージョンとは歌詞が一部異なっている)。オーソドックスなアレンジだが、サビの美しさが秀でている。
11時空のダンス
神秘性あふれるスペクタクル・チューン。“伝説の波”をテーマに、生命を超越した未知の世界に突き進むという物語。宇宙を連想させる空間的なサウンドと極めて印象に強いサビのコーラス・メロディが味わいどころ。
12Smile again (Yuming Version)
愛知万博用に書かれたナンバーのソロ・ヴァージョン。空港のゲートでガラス1枚隔てて引き裂かれる恋人の悲しみを綴った壮大なバラードで、ストレートな言葉と親しみやすいメロディが魅力。世界の現実を示唆する1曲。