ミニ・レビュー
3,000万枚を超えるセールスを誇るカントリー系ガールズ・ポップ・グループの4作目。プロデューサーにリック・ルービンを迎えての意表を突く70年代ウエストコースト・ロック風サウンドと爽やかな歌声は前作以上のヒットになるのは確実で、メッセージ性を持った歌詞に成長の跡もうかがえる。
ガイドコメント
カントリーの枠を飛び越え、大物ガールズ・バンドの地位を確立したディクシー・チックス。プロデュースにリック・ルービン、ゲストにレッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャドが参加した話題作。
収録曲
01THE LONG WAY AROUND
シンプルでいて、高度にソフィスティケイトされたアレンジの耳あたりのよいサウンドで、しっとりと聴かせるポップ・ソング。3人のコーラスのハーモニーと聴き惚れるようなメロディ展開、そしてサビの美しさは圧巻。
02EASY SILENCE
澄み切った水の流れのようなファルセット・ヴォイスとテクニカルなコーラス・ワークが、感動的なまでに美しいバラード。音数の少ないシンプルなサウンドが、楽曲としてのクオリティの高さ、そして圧倒的な声の魅力を際立たせている。
03NOT READY TO MAKE NICE
マイナー・コードのアコースティック・ギターによるシリアスな雰囲気が印象的なミディアム・バラード。か弱く切ない歌声とパワフルでエモーショナルなシャウトが交錯するヴォーカルは、強さと脆さをあわせ持った彼女たちの魂そのものかも知れない。
04EVERYBODY KNOWS
カントリ・グループという自分たちの印象を払拭するかのような、アップ・テンポなリズムと洗練されたポップ感に満ちたロック・ナンバー。乾いたドラムの音色とギターが絡み合うクールなサウンド、そして、美しいコーラス・ワークが絶品。
05BITTER END
アコースティック・ギターを基調としたスロー・テンポのカントリー・ソング。牧歌的な雰囲気と都会的な洗練されたサウンドが入り混じった、不思議な魅力にあふれている。美しいファルセットが幻想的に響くサビに、思わず聴き惚れてしまう。
06LULLABY
タイトルどおり、子守唄のようにノスタルジックでゆったりとした曲調と語りかけるようなやさしいヴォーカルが心地いいバラード。ほぼアコースティック・ギターのみによるシンプルな構成が、美しいコーラス・ワークを引き立てている。
07LUBBOCK OR LEAVE IT
パワフルなスピード感と突き抜けるような爽快感に満ちたポップ・ロック・ナンバー。印象的でカッコいいギター・リフや、軽快でタイトなリズム隊、そして幻想的な弦楽器やサビの美しいメロディと、曲全体が聴きどころの捨てるところナシの快作。
08SILENT HOUSE
澄み切ったコーラスと憂いを感じさせるヴォーカルの対比が鮮やかな、大人のポップ・ナンバー。シンプルな音が、美しいヴォーカルが、そして紡ぎ出された言葉たちが、彼女たちの持つ弱さと力強さを吐き出しているようだ。
09FAVORITE YEAR
シェリル・クロウとの共作が話題を呼んだポップ・ナンバー。流れるようなメロディとシンプルながらも印象的なアコースティック・ギターの音色、そして完璧なハーモニーによる歌声と、すべてにおいて完成度の高い楽曲だ。
10VOICE INSIDE MY HEAD
アコースティック・ギターによるシンプルなサウンドと瑞々しいヴォーカルが美しく絡み合う、軽快なポップ・ソング。しっとりとした雰囲気のAメロ・Bメロや、泥臭さを感じさせるサビのメロディによるコントラストが鮮やかだ。
11I LIKE IT
ブルージィかつファンキーなポップ・ロック・チューン。軽やかなピアノの調べと爽やかなコーラスが織りなす上質のサウンドは、耳あたりがよく、どんなに聴いても飽きのこない仕上がり。洗練された上質の大人のポップスだ。
12BABY HOLD ON
郷愁をそそる繊細なアコースティック・ギターの調べが印象的なスロー・バラード。美しく感動的なメロディが胸に響き、心が洗われるよう。澄み切ったヴォーカルとコーラスのハーモニーは鳥肌モノで、絶品と言うにふさわしい一曲だ。
13SO HARD
気だるさを演出するコード進行と目が覚めるほどに美しいメロディのコントラストが新鮮な、大人のカントリー・ロック。古めかしさと新しさが高度に融合した、オリジナリティに富んだサウンドが素晴らしい。キャッチーで軽快なサビもグッド。
14I HOPE
ファンキーでサイケでポップでアンニュイな、表現不能の魅力に満ちた不思議なロック・ナンバー。R&B風のコーラスも素晴らしく、ジャンルという枠組みをあざ笑うように飛び越える彼女たちのトリック・スターぶりが際立った圧巻の一曲。