ガイドコメント
人気ヒップホップ系グループの3rdアルバム。本作にはジャム・バンド・シーンで多大な人気を誇るデイヴ・マシューズ・バンドをフィーチャーし、ロック・ファンのマニア心をくすぐるサウンドを聴かせてくれる。
収録曲
01BACK 4 U
オーソドックスなヒップホップ・マナーを踏襲した線の太いビートに、メロウなピアノの上モノが乗る良質トラック。鳥肌が立つようなチャリ・ツナの渋いバリトン・ヴォイスも魅力だ。ジュラシック5の帰還を祝う、アルバム『フィードバック』のイントロダクション。
02RADIO
エレクトロ&オールドスクール・マナーに乗せて、MCたちが自らのヒップホップ・ライフを振り返る。トラックは、NYの6人組ヒップホップ・ユニット、クラッシュ・クルーが残した『オン・ザ・レディオ』がネタになっている。
03BROWN GIRL
タンゴ調の変則的なリズムに乗る、女性ヴォーカルのコーラスがセクシーな楽曲。コーラスはドイツのディスコ・ユニット、ボニーMの「栗色の髪の少女」(Brown Girl In the Ring)が引用されている。プロデュースはスコット・ストーチによるもの。
04GOTTA UNDERSTAND
カーティス・メイフィールドの甘く切ない声のネタ使いが実にニクい。ビートよりも声が前面に出た結果、耳にやわらかいビター・スウィートな雰囲気に仕上がっている。プロデュースはシアトルのトラックメイカー、ビーンによるもの。
05IN THE HOUSE
80年代ディスコ・ファンク風のハンドクラップが曲を盛り立てる、オールドスクール調ナンバー。思わず踊りたくなるようなファンキーなベース・ラインと、4MCによるカラフルなマイクリレー&ユニゾンが好相性だ。
06BABY PLEASE
LAのDJ、エグザイルがプロデュースした陽気なバウンス・ソング。単弦ギターがファンキーなリフを奏でるトラックに、4人のテクニカルなラップが盛り込まれている。ジュラシック5には珍しい、女性をテーマにしたリリックも特徴的だ。
07WORK IT OUT
デイヴ・マシューズ・バンドとのコラボによる、アルバム『フィードバック』先行シングル。控えめなサンプリングと柔軟な生演奏とのセッションが、ナチュラルに溶け合った良作。前向きなリリックが心地良い気分を演出してくれる。
08WHERE WE AT
ジャズ・テイストのドラムとピアノがマッチした、DJヌーマークの真骨頂。ところどころで聴けるモス・デフの声も、スパイシーなフックとして機能的に作用している。ジュラシック5の渋さが前面に押し出された、アダルトなヒップホップ・ナンバー。
09GET IT TOGETHER
スカを彷彿とさせる、裏打ちのビートが斬新な楽曲。ジャマイカ音楽ネタを多用していながら、クールで渋い雰囲気に仕上がっているのが面白い。「マトモに生きようぜ」というリリックが、J5のくだけた真面目さを象徴している。
10FUTURE SOUND
J5を語る上で重要なキーワードである「ジャジィ」という単語が、最も端的に現れた楽曲。無駄のないドラム、ピアノ、コーラスによる薄味のトラックには、スキルフルなフロウがよく映えている。洗練されたクールなトラックだ。
11J RESUME
「カット・ケミスト不在」の穴を埋めるJ5の屋台骨、DJヌーマークのスクラッチとサンプリングによる、38秒のインタールード。短い中にもセンスが光る、ファンキーなターンテーブル・アクションが収められている。
12RED HOT
アルバム『フィードバック』において、最もアッパーなナンバー。NYのファンク・バンド、ザ・タップ・キングスの「Nervous Like Me」をサンプリングしただけあって、ギターとベースのフレーズは熱いファンクそのものだ。
13TURN IT OUT
豪快に歪んだブリブリのシンセ・ベースがボトムを支え、ハンドクラップが彩りを添える。大胆にPファンクの要素が盛り込まれたトラックに合わせて、「本能を見せるんだ」というリリックが乗るJ5流パーティ賛歌。
14END UP LIKE THIS
過去の記憶と変化について語られたリリックが、切なく耳に残る佳曲。高音シンセ&ピアノに合わせて、流麗な女性ヴォーカルのコーラスがサンプリングされている。チルアウトに最適なメロウ・チューン。
15CANTO DE OSSANHA
アルバム『フィードバック』のラストを飾る、偉大なブラジル音楽家、バーデン・パウエルの名曲をカヴァーしたインスト。爪弾かれるボサ・ノヴァ・テイストのアコースティック・ギターが、涼風のように耳をかすめるサマー・チューン。
16WHAT'S GOLDEN
アルバム『パワー・イン・ナンバーズ』のボーナス・トラックのライヴ・ヴァージョン。オーソドックスなオールドスクール・スタイルの名曲で、ライヴ録音らしい奔放なラップが痛快だ。
17CONCRETE SCHOOLYARD
シングル曲のライヴ・ヴァージョン。ミドル・テンポの落ち着いた曲調にシンプルなマイクリレーが渋く光り、ピースフルなパーティの様子がよく伝わってくる。後半部で一瞬だけ、DJヌーマークのスクラッチを聴くことができる。