ミニ・レビュー
新メンバーのTORUを迎え、4年半ぶりに登場した5枚目のアルバム。スカ・パンクのイメージを拡大解消し、堂々たるパンク・ロックの王道を歩む厳選されたメロディックな10曲を収録し、TORUも甘いヴォーカルとせつなくキャッチーな作風で大きく貢献してる。
ガイドコメント
50万枚売り上げた『FRESH BRASH OLDMAN』、30万枚売り上げた『GRAVITY』に続く、4年半ぶりのオリジナル・アルバム。新レーベル「SCHOOL BUS RECORDS“NEXT”」第1弾作品。
収録曲
01777
ナナナのコーラスが入るから「777」……というだけの安直なネーミングではない。「人生はしょせんギャンブル、だったら自分らしい生き方をしようよ」というメッセージが込められた、ポジティヴなナンバー。
02LAZY MUSIC
「LAZY MUSIC(のろい音楽)」というタイトルとは裏腹に、イントロから「ギュ、ギュイ〜〜ン!!」というハウリング音で迫るそのギャップに圧倒される。唸りまくるエレキ・ギターも印象的な、アグレッシヴなアッパー・チューン。
03WHO IS “BAKA”?
活動再開後、最初に作られたという、彼らにしては珍しく全編日本語詞の楽曲。いきなり「バカは誰だ!?」と告げるフレーズに、思わず「ハイ、僕です」と手を挙げてしまいそうな、ストレートな潔さがこの曲の魅力だ。
04ONE MORE TIME
伝説的なグランジ・バンド、ニルヴァーナのフロントマン、カート・コバーンへの想いがぎゅうぎゅうに詰め込まれたたナンバー。叙情的なセンチメンタリズムが楽曲全体を包み込むような、珠玉のトリビュート・ソング。
05PASSING
長かった活動休止期間のブランクをまったく感じさせない、暑苦しい夏を吹っ飛ばすような、ポップ感あふれるキャッチーなナンバー。TAKEMURAいわく“パッションフルーツ的な”TORUのヴォーカルも、聴きどころとなっている。
06BLACK DRIVER
スチャ、スチャという典型的なスカ・ビートなのにもかかわらず、マイナー・スケールでつくられた楽曲のためか、どこか歌謡曲っぽい印象を受けるナンバー。“日本人の日本人による日本人のためのスカ・パンク、ここにあり”といった野趣が感じられる。
07HELLO STRANGER
akioの脱退、TORUの加入、2002年10月からの長期活動休止など、山あり谷ありだったSNAIL RAMP。だからこそ「自分の運命を受け入れよう、自分の運命を笑い飛ばそう」というリリックが、前向きでポップなパンク・サウンドの上で踊る、心に響くナンバー。
08BACK IT UP!
トランペットやサックスなどが入っていないホーンレスであるがゆえに、ソリッドなバンド・サウンドが楽しめるナンバー。初期のSNAIL RAMPを彷彿とさせるタテノリの演奏は、ライヴでキッズを熱狂させること必至だ。
09EVERYTHING
前作『GRAVITY』で脱退したAKIOに代わって加入したTORUがメイン・ヴォーカルを務めた、エヴァーグリーンなナンバー。彼のスウィート&ビターな歌声が、開放的でドライなロック・サウンドの上で、爽やかな印象を残している。
10SPICE
英語詞志向のSNAIL RAMPが日本語詞にも積極的に取り組んだ、アルバム『TV MONSTER』のラスト・ナンバー。カーテンコール的な役割のあるこのトラックでも、「ビビらず飛び込んでゆけ」という日本語のリリックが飛び込んでくる。