[Disc 1]
01ガラスのジェネレーション
「つまらない大人にはなりたくない」のフレーズでも知られる初期の代表的ナンバー。学生運動などに興じた世代との決別がテーマ。サウンドはピアノを主体とした軽快なポップ・ロック調だ。80年10月発表の2ndシングル。
02アンジェリーナ
80年、巷に似非ロック・サウンドしか聴こえなかった時代に颯爽と登場した佐野元春のデビュー・シングル。「たった1小節に信じられないくらいの言葉を詰めこんで歌うヤツがいる」と業界内に一大センセーショナルを巻き起こした歴史的な1枚。
03ナイトライフ
81年2月発表の3rdシングル。夜11時までに帰宅しければいけないガールフレンドのことを歌ったポップ・ナンバー。歯切れのいい歌詞と明るい曲調が、不満を感じながらも幸せであることを物語っている。
04サムデイ
83年にリリースされた、日本の音楽史上に残る永遠のエヴァーグリーン。“いつかきっと”と歌いながらもその“いつか”なんて永遠に来ないかもしれない。青春時代、誰しも経験した不安定でそれでも前向きなメッセージが込められた一曲。
05ダウンタウンボーイ
ドラム・フィルで始まる8ビート・ポップス。日本人好みのスムーズなコード進行と佐野元春らしい耳なじみの良いメロディが魅力。クライマックスを作るブリッジ部分やエンディングの伸びやかなヴォーカルなどが聴きどころ。
06彼女はデリケート
軽快なロックンロール・ナンバー。佐野元春のシャウトや厚いブラス・セクション、バック・ビートを強調するハンド・クラップ、にぎやかなバック・コーラスと歓声など、全編パーティのような雰囲気に満ちている。
07シュガータイム
ややオールド・ファッションのミディアム・ポップス。微妙にバウンスするバッキング・ピアノや良質なメロディのブリッジ・パートなどが特徴的。随所でメロディの合間を埋めるストリングスはシンプルだが印象に強い。
08ハッピーマン
チャーミングなピアノ・フレーズで始まるロックンロール・ナンバー。エフェクトによる独特の響きのヴォーカルや飲み屋の客のような歓声などが特徴的。3rdアルバム『SOMEDAY』からのシングル・カット曲。
09スターダスト・キッズ
サックスの伸びやかなフレーズで始まるライト・ポップ・チューン。モータウンにも似た軽快なグルーヴや一度終わりそうになる中盤のブレイクなどが特徴的。歌い出しのヴォーカルなど、ジョン・レノンのような響きだ。
10グッドバイからはじめよう
ハープとストリングスをフィーチャーした優雅なピース。やや漠然とした別れの歌で、深い悲しみも感慨もなく淡々と“別れ”を受け入れる様子が描かれている。佐野元春の祖父の死をテーマにしているといわれる。
11トゥナイト
1年滞在したNYの街を歌ったミディアム・ポップ。イントロのヒネリを効かせたフレーズや洗練されたアンサンブルなど、以前とは明らかに異なるサウンドを披露。その洋楽的洗練は歌いはじめの1フレーズに象徴されている。
12コンプリケイション・シェイクダウン
ラップを採り入れたことで注目されたファンク・ナンバー。シンセを駆使したコンテンポラリーなサウンド作りが特徴的。日本語ラップは押韻もなく内容もやや抽象的だが、当時の先駆的な試みとして非常に意義は深い。
13ヴィジターズ
4thアルバムのタイトル・ナンバー。抑揚の少ない平坦なAメロや1音1音に絶妙な揺らぎをつけた独特の節回しなどが特徴的。バックの演奏はシンプルなコード弾きを主体としたストレートな8ビート・ロック。
14ニューエイジ
4thアルバム『VISITORS』のラストを飾るミディアム・ロック・チューン。ラップに限りなく近いヴォーカルや洗練されたバック・コーラスをはじめ、声を使ったヴァラエティ豊かなパフォーマンスが聴きどころ。
15ヤングブラッズ
85年、国際青年年のテーマ・ソングとしてリリースされ、佐野元春のキャリアで最大のヒット作となっている爽快なナンバー。猛々しいホーン・セクションに優雅に絡みつくストリングス、そして佐野のヴォーカルも力強い。
16ストレンジ・デイズ-奇妙な日々
佐野元春が立ち上げた“M's Factory”レーベルからの記念すべき第1弾シングル。アコギとシンセののどかなイントロで始まるポップ・ナンバーで、かけ声などを交えたにぎやかで楽しげなサウンドに仕上がっている。
17シーズン・イン・ザ・サン-夏草の誘い
5thアルバム『Cafe Bohemia』収録の爽快なポップ・チューン。個性的なサウンドで気の利いたフレーズを随所に挟むシンセが印象的。バックの女性ヴォーカルは石川セリの妹、ROMYこと石川ひろみ。
18ワイルド・ハーツ-冒険者たち
ブラス・セクションのシンプルなフレーズが印象的な軽快なポップ・ロック・ナンバー。佐野元春のリラックスした歌い方やオクターヴ・ユニゾンによるサビ・フレーズなどが魅力。86年9月発表の19枚目のシングル曲。
19警告どおり 計画どおり
20ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
6thアルバムのタイトル曲。重厚なブラスとピアノを主体としたロック・ナンバーで、モータウン風の強烈なビートとシンプルなブラス・フレーズが特徴的。バックの演奏はエルヴィス・コステロ周辺の一流ミュージシャンを起用したというから、納得。
[Disc 2]
01約束の橋
TVドラマの主題歌になったことで広く知られる佐野元春の代表的ロック・ナンバー。力強い8ビートと華やかなブラス、キャッチーなメロディが魅力。6thアルバム『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』からの1stシングル。
02シティチャイルド
6thアルバム『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』収録のロックンロール・ナンバー。ヒネリの利いたコード進行や難解な歌詞、にぎやかなバッキング演奏などが特色で、それらが絶妙に融合することで独特の世界が築き上げられている。
03雪-あぁ世界は美しい
スロー・テンポのファンタジックなナンバー。白銀の世界を連想させるクリアなシンセ・サウンドや終盤の自由奔放に歌い上げる佐野元春のヴォーカルなどが特徴的。PVを収録したビデオとのセットでリリースされた。
04ホーム・プラネット-地球こそ私の家
05ジャスミンガール
7枚目のオリジナル・アルバム『TIME OUT!』に収録されているミディアム・ポップ・ロック。オーソドックスなバッキング・アンサンブルと全編シャウト気味に歌う佐野元春のヴォーカルのコントラストが魅力。
06ぼくは大人になった
7thアルバム『TIME OUT!』のオープニングを飾るファンク・ロック・ナンバー。シャウトから口笛まで、豊かな表情を見せる佐野元春のヴォーカルと1フレーズだけの贅沢なサビ・メロディが聴きどころ。
07また明日
8枚目のアルバム『sweet 16』のラストに収録されている穏やかなポップ・ナンバー。矢野顕子を迎えてのデュエット曲で、佐野元春が全編にわたりソフトなヴォーカルを披露。矢野はバッキングに徹している。
08誰かが君のドアを叩いている
09彼女の隣人
ドリーミーなシンセ・サウンドと美しいメロディが魅力のライト・バラード。情感豊かな佐野元春のヴォーカルも充分味わい深いが、マクサンヌ・ルイスによる終盤のソウルフルなバッキング・ヴォーカルがひときわ輝いている。
10十代の潜水生活
11楽しい時
バンジョーやトロンボーンなど、多彩な楽器が参加した2ビート基調の軽快なポップ・ナンバー。“悲しいとき”に対峙するものとしての“楽しい時”をテーマにした歌。テレビ朝日系『ビートたけしのTVタックル』のエンディング曲。
12ヤァ!ソウルボーイ
13ヤング・フォーエバー
11thアルバム『THE BARN』からの先行シングルとなった軽快な8ビート・ポップ・チューン。曲の冒頭から強力にグルーヴをプッシュするドラムや、微妙に力の抜けた佐野元春のソフトなヴォーカルなどが魅力的。
14ドクター
2ビート基調の良質ポップ・ロック。ブルースやジャズなどのフレイヴァーも採り入れたゴキゲンな演奏とファルセット中心のヴォーカルが特徴的。本曲収録のアルバム『THE BARN』からバック・バンドが一新された。
15だいじょうぶ、と彼女は言った
12枚目のアルバム『Stones and Eggs』からの先行シングル。洗練されたメロディが際立つ良質なポップ・ロック曲で、ベテランらしい落ち着きのあるヴォーカルと愛情に満ちた歌詞が深い感動を与える。
16イノセント
感謝の気持ちをストレートに表現したポップ・ロック・ナンバー。元々は佐野元春がファンに向けて書いた曲だが、普遍的なテーマなのでその対象は聴き手次第といえる。懐の深い歌詞だけでなく、楽曲の完成度も極めて高い。
17君の魂 大事な魂
8分の6拍子基調のミディアム・ポップス。サックスやゴスペル風コーラスなどを採り入れたリッチなサウンドとドラマティックな展開が魅力。適度に抑制を効かせたヴォーカルで、スケールの大きい歌詞でもしっかりとした説得力を持たせている。
18月夜を往け
エピックからリリースされた最後のシングル曲。佐野元春らしいクオリティの高いポップ・ナンバーで、派手な演出はないが、3分強の演奏時間の中にベテランならではの豊富な知識と研ぎ澄まされた感性が注ぎ込まれている。
19ガラスのジェネレーション 2006 (Additional recorded version)
80年10月に2ndシングルとして発表された初期代表曲の2006年ヴァージョン。リメイクではないので佐野元春のヴォーカルも曲調も基本的には変わらないが、細かい修正や音圧が改善されているので、サウンドに厚みが出た印象。