ミニ・レビュー
徳島出身の女の子三人組バンドのファースト・フル・アルバム。キュートなヴォーカルとキッチュなサウンドで同性からも共感を得られそうな仕上がり。赤色をバックに三人の顔をかたどったジャケットは内容に比してハードな印象だが。
ガイドコメント
チャットモンチーの1stフル・アルバム。ライヴでおなじみの名曲「ひとりだけ」などの未発表10曲と2ndシングル「恋愛スピリッツ」に加え、「ハナノユメ」「恋の煙」もアルバム・ミックスで収録。
収録曲
01東京ハチミツオーケストラ
エッジの効いたギターに乗せて、橋本絵莉子の透明感あふれる不思議ヴォイスが炸裂。地方から上京してきた少女のドキドキ感や不安感をユーモラスに歌いあげる、ガールズ・ロックらしいキュートなナンバー。
02さよならGood bye
サビの伸びやかなメロディと橋本のキュートかつ透明感あふれるヴォーカルが心地よいミディアム・ナンバー。グランジ風でもあり、プロデューサーであるいしわたり淳治(ex.SUPERCAR)の影響が感じられる。
03ウィークエンドのまぼろし
せつないメロディに「青春」を思い起こさせるような詞世界がリンクしている。歌詞がきわだって聴こえてくる橋本の輪郭がしっかりとしたヴォーカルに、聴くほどに味の出てくるアレンジが光るミディアム・ロック・ナンバー。
04ハナノユメ (ALBUM Mix)
衝撃的な歌詞のサビからはじまるイントロに、耳馴染みのよいメロディが頭の中でリフレインする。ギター、ベース、ドラムスの骨太なアンサンブルに、力強い橋本のヴォーカルが胸に響くパワー・ポップ・チューン。
05どなる、でんわ、どしゃぶり
歪んだギターが重厚な、オルタナティヴかつ普遍的なロックの魅力に満ちあふれた楽曲。大人っぽくけだるい橋本のヴォーカルが胸に届いて、切なさでいっぱいになる。別れ話をテーマにした歌詞は情景が妙にリアルで、共感を呼ぶ。
06一等星になれなかった君へ
エッジの効いたギターではじまるイントロが印象的なミディアム・ロック・チューン。ロマンティックでせつない詞を歌う、伸びやかでキュートな橋本のヴォーカルが、突き抜けたサビにマッチしていて、じつにさわやか。
07おとぎの国の君
伸びやかで情感のこもった橋本の高音ヴォーカルが胸に刺さる、壮大なミディアム・バラード。失恋した「僕」の気持ちがせつなく描かれた詞世界は、ロマンティックでちょぴりキュート。聴くほどに引き込まれていくナンバー。
08恋の煙 (ALBUM Mix)
恋する女の子の気持ちを等身大に描いた歌詞を、骨太かつ爽快な疾走感のあるロック・サウンドに乗せたパワー・ポップ・チューン。たたみかけるように連なるサビのメロディは、一度聴くと脳裏に焼きついて離れないほどの中毒性がある。
09恋愛スピリッツ
朴とつとしたア・カペラの導入部から一気にパワフルなサウンドへと急展開していくキャッチーなロック・ナンバー。恋人の二股交際を疑い、微妙に揺れる女心を、せつなくシャウトしている。
10終わりなきBGM
恋のはじまりをさわやかに綴った歌詞がキュートなポップ・ロック・ナンバー。なんでもありのごちゃ混ぜアレンジに、どんどん変調して展開していく曲構成がおもしろい。イントロの鈴の音が幻想的に響いて、印象的なアクセントとなっている。
11プラズマ
男女の感覚の相違をユーモラスに描いたキュートな歌詞を、軽快なギター・サウンドに乗せて歌うミディアム・ロック・ナンバー。女の子らしい橋本のヴォーカルがハマっていて、女性3人組によるサビ・パートでのコーラスも可愛らしい。
12メッセージ
大好きな人との別れを綴った歌詞がせつない、橋本の透明感のあるヴォーカルに胸を締めつけられる、ノイジーで壮大なラブ・バラード。しだいにクライマックスへと向かっていく展開は、聴くほどにせつなさを増長させていく。
13ひとりだけ
歪んだギター・サウンドのイントロから一転して、かわいらしい橋本のヴォーカルが、静かで淡々と孤独な思いを歌い上げるミディアム・バラード。後半、ヴォルテージが上昇していくにつれて情感を増すヴォーカルが胸に響く、オルタナティヴ・ロック・チューン。