ミニ・レビュー
関西を中心に活動を続けるスカ・ポップ・バンドのファースト・フル・アルバム。切なさとダンス感とパーティっぽさが同居した彼らの楽曲は、“スカ”というジャンルを超え、あらゆるシーンでバカウケする魅力をしっかり備えている。キャッチーなユミのヴォーカルも、いい。
ガイドコメント
ムラマサ☆の待望の1stフル・アルバム。天性の愛らしい歌声、ホーン隊を含む心地よいサウンドという、ムラマサ☆サウンドが詰め込まれた、究極のパーティ&ラヴァーズ・チューン満載の会心作。
収録曲
01Distance
ムラマサ☆の1stアルバム『twinkle』のオープニング・チューンは、めまぐるしくノートが変化するリフからスタートするポップ・ナンバー。要所のホーンがいいアクセントになっている。
02夢で逢えたら
ヘヴィ・メタルにも通じるギター・リフから一転して、曲のテンポが倍速になると元気いっぱいなサウンドが繰り広げられるポップ・チューン。ロックンロール・マナーにのっとったギター・ソロが微笑ましい。
03←Temptat↑on→
シンプルなギター・リフによるポップ・スカ・ナンバー。最高速のBPMのため、わずか2分半で終わってしまう。「風のように現われて風のように去っていく」……。瞬時にインパクトを残していくような雰囲気を持ったナンバーだ。
04HECTIC!!!!!!!!
一聴すると普通のポップ・ナンバーかと思いきや、中盤に出てくるギター・リフがエキゾティックでユニーク。エッジの効いたドラムとベースが疾走感を見事に演出している。さりげないスラップにも注目したいナンバー。
05in the Air
アコースティック・ギターをフィーチャーしたポップ・ナンバー。フォーク・ロックっぽいイメージだが、オーヴァードライヴしたギターも存分に入っていて、この上なくハードなナンバーに仕上がっている。
06LUCKY GIRL!!
タイトルの「LUCKY GIRL!!」を繰り返すサビが印象的なナンバーで、聴き終わった後も頭の中をぐるぐる廻ってしまう。ワウワウを使用したギター・ワークが、どことなくユーモラスな雰囲気を漂わせている。
07銀色の月
音程の怪しさも、天性の愛らしさで帳消しにしてしまうユミのヴォーカルは、「上手い下手」よりも歌うことの楽しさを教えてくれる。難しいメロディ・ラインに奮闘している様子が微笑ましい。
08粉雪
オルゴール音(キーボード)によるインタールードから一転、ハードなギター・リフが突き刺さるポップ・ナンバー。ブレイクやリズム・チェンジなどを要所に導入し、カラフルなサウンドへと仕上げている。
09雨が止んだなら
極力音をそぎ落としたシンプルな前半のアレンジが潔い。ユミの真っ直ぐなヴォーカルとメロディ・ラインのポップさが際立っていて、ホーンが入ってきたあとも、あくまで歌を主役にしたサウンドに好感が持てる。
10午前五時の汽車に乗り
アルバム『twinkle』の前曲「雨が止んだなら」がシンプルなら、こちらのサウンドはゴージャス。ハイ・テンポでの16ビートのカッティング、途中で曲のテンポが倍速になってサビをさらに盛り上げるなどのバラエティ豊かな編曲が映えるナンバー。
11小さな星
ミディアム・テンポのポップ・ナンバー。オーヴァードライヴしたサウンドとクリアなサウンドを使い分けるリョウタのギター・ワークが、よりいっそうカラフルな楽曲に仕上げている。
12SUMMER OF LOVE (TIKAMITI ver)
元気いっぱいのスカ・パンク・チューン。上手い下手よりも勢いたっぷりで楽しさが伝わってくる。クレジットにはないが、2ndシングル収録の隠れた名曲「KISS MY BABY」が続いて収録されている。